2018年5月31日 ichiro

構図の添削3

JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

辛口でお願いしますとの事だったが、この企画は一歩間違うと人様に喧嘩を売っているような、公開処刑の体になる恐れもある(笑)しかも僕よりずっと長いライカ・キャリアをお持ちの大先輩だ。僕の写真なら何を言われてもなんともないが、人によりプライドが傷つけられたと感じたり、ご不快になったりする繊細な方も当然いらっしゃると思う。

しかしそれをご承知の上でこの企画に乗って下さったと言うことは、揺るぎない写真観をお持ちであり、大らかなご性格や大人の心のゆとりの現れと考え直した。なので今回も僕の時と全く同様に、容赦なくビシビシ言って頂く事にする(笑)

せっかくの貴重な機会なので、貴方も是非、構図の改善点を一緒に考えて頂ければ幸いです。

 

例題1


M9+アスフェリカルズミルックス35mm. by 小山 裕之さん

この一枚を改善するとしたら、貴方ならどうするだろうか。ちなみにここは僕の事務所のすぐ近所で、三浦半島の立石という所だ。巨大な岩が海の真ん中に立つ面白い場所で、夕方にはいつも多くの写真家が海にカメラを向けている。

出来るだけピーチ先生のお言葉を正確に伝えるために、記憶に残るやりとりをそのまま書いてみる^_^

 

「ピーチ先生、まずはこの一枚です!お願いします!!」(ビール飲みながら、チラ見。)

「うーん、、、、いいと思う」(自分の携帯を見始めるw)

「え!?いやそんな事言わずに何か言って下さい。御本人も辛口にと仰ってますので、、、」

「だってそんな事、失礼じゃん。知らない人でしょ?」

「いやいや、一度JLUGの会でもお会いしてるし、ズバッと切って下さいとも言われました!」

「えそうなの?うーん、いいと思うけど、じゃあ強いて言うなら、、、」

と、その言葉を皮切りに、彼女はベラベラ喋り始めた(笑)

 

 

キレイだし良いとは思うんだけど、この場所から撮った他の人も、多分みんな同じ感じで撮ってると思う。これの面白さは岩と太陽のコラボレーションと思うけど、岩と太陽が全く同じ大きさで並列で並んでいて、どっちが主題なのか分かりにくく、かえって目が散るので緩急をつけたほうがいい。海や空の描写が広すぎて、岩の迫力を殺していると思う。何も語っていないエリアが多いので少し単調にも見える。

もし太陽を主題にするなら、もっと美しいグラデーションや夕日の鮮やかさを強調しないと、いつもの普通の夕方に見える。あと30分待てばもっと真っ赤になったと思う。(彼女もこの場所はよく知っている)なので岩を主題として、岩の大きさを明確に強調した方がもっと面白くなると思う。

そのためには右に居る人と岩のサイズ感の対比を強調したり、もっと下からのアングルで手前の波打ち際をフレームに入れたりして岩の大きさを感じさせないと、立石を知ってる人ならわかるけど、初めて見る人は、チョコンと小さい岩が出てる様に見えるかも。だから岩をもっと画面いっぱいに入れたい。(近づけないので、恐らくクロップか、50mm〜のレンズという意味かと^_^)それで岩の肩に被せるように太陽を入れると、コラボがもっと良くなると思う。縦構図でもいいと思う。

「せ、先生、今日も辛口ですね、汗 僕は良い写真と思ったのですが、、」

「だって辛口でいいんでしょ?」

「あ、はい!ありがとうございました!!」

 

例題2


M9+アスフェリカルズミルックス35mm. by 小山 裕之さん

 

「次はこちらでございます!!」

「あ、かっぱえびせん咥えてる!」(笑)

「これは凄い躍動感があっていいと思う。鳥の群れが大きな斜めの構図を作ってて迫力があって好き。何か言うとしたら、、」

 

 

「左端と左下のなんだか分からない、ちょっと写ってるゴミを消して。一番手前のかっぱえびせんの鳥の羽に、後ろの鳥が被ってて羽の形が不明瞭になっててもったいないから、後ろの一羽は居ない方がいいと思う。」

「そ、それはカモメに頼まないと、、、」

「消せばいいじゃん」

「あ、はい仰るとおりです!」

「鳥が凄くいいのに下の海がほとんど同じ色味がゴチャゴチャしていて、そこが全体にモヤモヤ感を与えていてもったいない。全体的にグレーの割合いが多すぎるから、海と陸の黒をもっと黒く、白をもっと白くしたら、空の抜け感の方にもっと目が行きやすくなると思う。あと水平線が半端に斜めなのが気になる。意図的に斜めにするならもっとやらないと。」

「仰る意味は分かりますが、恐らくこのシーンは咄嗟にカメラを向けて、そんな事まで考慮する余裕など無かったかと思われます!むしろこれだけ鳥が鮮明に写っている事自体が奇跡的かと思われます!例えば、海と森のコントラストを上げて、下のもやもやエリアをもっと真っ黒くしてしまうのはアリですか?」

「それでもいいと思う。あと一番先頭の、右上の一匹を真ん中で敢えて切ってみて。」

「え!?どうしてですか?」

「その方が、フレームの外に飛び出してくる様な、全体の迫力感がもっと出ると思う」

「おおお、なるほど!ありがとうございます!!」

 

例題3


M-P(typ240)+ASPH.SUMMICRON28mm. by 小山 裕之さん

 

「ピーチ先生、これが最後です!」

「これは全体的に青の色味で統一されていたり、前の物体の朽ちている感じと空の美しさの対比が感じられたり、後ろのスカイツリーとの新旧対比もあったりして、とてもいいと思う。これはこれでいいので、2枚めに撮るとしたら、、」

 


 

真ん中の物体の形が面白いからそれを見せたいんだけど、物体、青い空、白い雲、マンション、スカイツリー、斜めの橋と、構成要素がちょっとたくさん写りすぎていて目が散る感じがする。見えたくないものまで見え過ぎてる。真ん中の物体をもっと大きく撮って、形の詳細をもっと緻密に見せてもいいと思う。

左端の、微妙な光の線は切るなら切る。スカイツリーをこんなにボカして入れるなら、なくてもいいかも。知ってる人じゃないとスカイツリーだって分からないと思う。入れるとしてももっと端っこにさり気なく入れるか、逆にもうちょっとしっかり存在感を出す方が面白いと思う。

マンションとか余計な要素をフレームから外して、中心の物体の面白さを強調するとしたら、例えば凄い下からのアングルにして、青いラインが上まで伸びてる構図とかも良さそう。

「なるほどピーチ先生、今日も勉強になりました!ありがとうございました!!」

 

僕もピーチ先生の構図の添削を今まで30枚くらい話を聞いたが、イラっとは来るものの(笑)繰り返し聞いてるうちに、だんだんそれが自分の感覚の一部として消化してきているのを感じる。一年前の自分の写真を見返すと、ここは絶対文句言われるな、とか聞かなくても分かるし、うわ、これはこうすべきだった!という失敗が既に自分で気がつける様になってきていて、やっぱり建設的な批評は物凄く有り難いと僕は思っている。

小山さんもどうかその辺りをご寛容に捉えて頂ければ幸いです^_^ 心より感謝申し上げます!

 

PS:ご不快なご気分になられていない心配していたが「小気味よくて面白かった、僕がちょっとここはどうかな~、と思っていた点をしっかりとピーチ先生ご指摘だったので、流石と思いましたよ、またお願いしたい(笑)」とのご連絡を頂いた。是非!^_^

構図の添削2
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Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

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世界で最も愛されるカメラ(改定)

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Leicaレンズの話

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ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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構図の添削3

JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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構図の添削2

前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

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Hasselblad X1D II

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道具編

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天体観測

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