X1D II 50c – Distagon 50mm F4 T* (ƒ/4.0, 1/4000, ISO 3200) ©2020 Saw Ichiro.
カメラを新調すると大体、ライカだからこう撮るべきとか、中判を活かした絵にしなければとか、本人もおっかなびっくりカメラを触っているし、外野からも余計なウンチクを刷り込まれたりして(^^)、なんとなく変な殻に閉じこもった常識的な写真に囚われてしまう。
我々凡人が記念写真や説明写真の領域から脱するためには、ライカの美点、ハッセルの美点等の先入観、常識をまずはぶち壊す所から始めなければならない。だからこれからは、なるべく中判の良さが台無しの写真を撮る様、心がける。(笑)
X1D II 50c – Distagon 50mm F4 T* (ƒ/4.0, 1/60, ISO 3200) ©2020 Saw Ichiro.
僕の場合は、なるべくISO3200以上で撮る奇策に出た。(^^) X1D IIのISO3200〜6400あたりの高感度ノイズが、ほどよく解像度が落ちて好みの質感になってくれる。ISO12800を超えると、ちょっと偽色が煩くなってくるのでB&Wにする前提ならまあOK。昼間でもNDフィルターを入れてシャッタースピード最速にしてでも、ISO3200(笑)。
こいつ、カメラの使い方分かってんのか?と常識人から揶揄にされるくらいが丁度いい。
ちなみにこれらは、ハッセル500シリーズのクローズアップリング・アダプタを使用している。X1D II 50c – Distagon 50mm F4 T* (ƒ/4.0, 1/60, ISO 3200) ©2020 Saw Ichiro.
X1D II 50c – Distagon 50mm F4 T* (ƒ/4.0, 1/60, ISO 3200) ©2020 Saw Ichiro.
X1D II 50c – Distagon 50mm F4 T* (ƒ/4.0, 1/4000, ISO 3200) ©2020 Saw Ichiro.
LEICA M10M vs Hasselblad X1D II
こんな写真を撮っていながら、以前このブログでもご紹介したLeica大先輩の小山さんにお願いして、Leica M10モノクローム(以後、M10Mと書く)とX1D IIの解像度対決を撮って頂いた。僕にとっては解像度はほとんど関係ないがw、LeicaフェイスブックグループでもM10Mユーザーが激増していて、今最も注目されているMなだけにとても興味深い。
X1D IIが5000万画素のデジタル中判、モノクロ専用機のM10Mがカラーフィルターを省いた4000万画素。X1D IIはカラー機なので、Gが2500万、R、Bが1250万画素という内訳だそうで、理論的にはM10Mの方が解像度が高い可能性があるらしい。
レンズはHasselblad XCD 3,2/90(Leica判換算68mm相当)とLeicaの解像番長、アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.だ。
ベース感度がM10MはISO160なので、公平のためにISO200同士、開放f値も異なるのでf4.0同士でシャッタースピードはカメラの自動判定による比較だ。M10MはLightroomのRawストレート、X1D IIは元々カラーなので、モノクロ化したストレート現像で小山さんが作成して下さったモノをお借りした。
左がLeica M10 Monochrom, APO-SUMMICRON-M 50 mm f/2 ASPH(ƒ/4.0, 1/4, ISO 200) 、右がX1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.0, 1/6, ISO 200) 、いずれもAdobe LighroomのRawストレート現像。
ピントはスピーカーの上端(ウッド部)・ネットに合わせたとの事。X1D IIの方が露出が若干暗めに出ているが、これはカメラの自動露出の判定結果だ。同じf4.0でもだいぶ被写界深度が異なる点が面白い。コントラストもだいぶ違う。
次にf8.0同士の比較。
これらは双方LightroomによるRaw現像だ。Lightroom側には、M10Mの専用カラープロファイルはあるが、X1D IIは無いそうだ。ちょっと気になったので、Rawデータをお借りして、ハッセル純正のPhocusで両方を現像してみた。
Phocusで現像すると、M10Mのコントラストの強調が見られない。つまり、悪さをしているのはカメラ側では無く、やっぱりLightroomのカラープロファイルという事だ(^^)
ちょっと露出を揃えて、100%拡大してみる。
Leica M10M f4.0。
Hasselblad X1D II f4.0。
撮影した際には三脚固定している?と思われるが、M10Mの方はシャッターを押す時の振動でもしかしたら手ブレが発生しているかもしれない。X1D IIの方は文句無しに解像している。ちなみに頂いたデータは手違いでX1D IIのf8.0のRawがなかったので、M10Mのf8.0の100%表示も並べてみる。
Leica M10M f8.0。
こちらの方がM10Mとアポズミクロン50の本来の実力に近いと思われるが、本来アポズミクロンはもっと解像していても良い気もしないでもない。このデータだけを見る限り、一応ハッセルの中判センサーの面目は保った格好だが、データサイズがM10Mの一枚51MBに対し、X1D IIは109.1MBと倍以上だったり、取り回しの良さ、速射性や操作性なども含めると、やはりM10Mの存在意義は大きい。
或いはストリートの速射性にこだわらず、純粋に緻密なモノクロ写真を求めるならX1D IIがあるなら敢えてM10M+アポズミクロンを導入する意味はそれほど無いとも言えるし、このLeicaセット200万円コースに対して、ハッセル一式は100万円で収まる。さらにカラーも撮れるという意味では、意外とハッセルはコスパが良いという考え方もある。(ライカが高すぎるだけかw)
ちなみにM10M専用プロファイルを持つLightroomとCapture Oneでの比較。左がLightroom。
以前、カラーでテストした時にはCapture Oneに確かなアドバンテージを感じたが、モノクロの場合はどうか。現像時に毎回コントラストを上げるのが面倒な人は、Lightroomがいいかもしれない(^^) 階調を楽しみたい、或いはコントラスト量を自分で決めたい方はCapture Oneが良さそうだ。これだけコントラストが違うと、解像度の客観的な比較は難しい。
ちなみにさらに気になったので、Capture OneとPhocusをM10MのRaw現像で比較してみた。左がCapture One、右がPhocus。PhocusでLeicaが現像出来る所が面白い。ちなみにX1D IIのRawデータはCapture Oneでは認識されない。
やや、Capture Oneが優勢か?まあこの程度なら、ほとんどAppの各項目の初期設定値の考え方の違いと言えるかもしれない。
実は今、僕のX1D IIは小山さんにお貸しし、僕はM240をお借りしている。今回は室内撮影のため遅いSS比較だったので、近日中に小山さんとお会いする機会があるので、もう一度テストしてみたい。
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/250, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.