2021年9月16日 イチロー

Leicaをコケおろす

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 4/45P ©2021 Saw Ichiro.

このブログで今まで散々ライカを推してきたし、今でもLeicaは大好きだけど、最近のライカの価格高騰ひどくない?ちょっと調子に乗ってない?(笑)もう100万円以下のレンズは出さないわけ?日本はデフレが30年も続いてるの!日本のサラリーマンは給料が全然上がらないの!!(僕はサラリーマンじゃないけどw)そんな事するなら今日は下剋上の記事書いちゃうよ(^^)。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 4/45P ©2021 Saw Ichiro.

こんなご時世でも「ナントカの注射の後遺症?で新しいレンズが増殖して困る」とか言って(笑)毎月のようにMレンズを追加購入し続ける先輩諸氏が僕の周囲には何人か居て、羨ましいにもほどがある(^^)。

でもちょっと冷静に考えてみる。カメラレンズに100万円は適正なのか?確かに光学製品の場合、望遠鏡でも双眼鏡でも格付けによりとんでも無い価格差があるのは普通だ。

Hasselblad X1D、¥1,254,000が数年後、X1D2になっていきなり半額の¥643,500で発売になったのは、紛れもなく驚異のライバル、富士フイルム FUJIFILM GFX中判シリーズの出現により、市場競争原理が働いた結果だ。ライバルが出現すると、いつまでもあぐらをかいて言い値の商売を続けられなくなるのは自由主義社会の宿命だし、それはユーザーにとって良い事しか起こらない。

それが、Leicaには起きない。Leicaのプライスがどんどん上昇していく理由の半分は、市場原理が機能していないからだ。試しにアポズミクロン50(ノクチの時かな?)を出す時に、勇気を出して100万円のプライスタグを付けてみたら、先輩諸氏が平気でじゃんじゃん買ってくれるもんだから(笑)この価格でも売れる事にLeica社は気がついてしまった。ライカに本当のライバルが未だ不在なのだ。

昔エプソンがレンジファインダー機を世に送り出した栄光が日本にもあるが、そんな勇者はもう日本には居ないのか?

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.

確かにLeicaレンズは誰よりも小型、軽量で、ゴーストもフリンジも出ないし(例外ありw)超高解像だし猛烈3Dだし、発色も素晴らしいし、いつもその時代のお手本としてその優秀さは自他共に認める所だろう。でも技術的には、日本製でそれを超えるレンズを作れないはずがない。ゲルマン技術者のライバル足り得るのはこの地球上で日本民族が最も驚異な事は、我々が自覚していなくても海外の皆さんの方が良くご存知だ。

それでも日本が超えられない(超えたくない)理由はただ一つ。コストがかかり過ぎて、値段が上がると売れないから。

本当はビジネスさえ度外視すれば、カメラ業界も、望遠鏡業界も音響機材も、世界一の商品を作る事は実は意外なほど難しくないとイチローは思っている。自分の理想の製品を作って、儲けにならないプライスを付けるだけで、その商品は世界を席巻する。ところがこの「金儲け」を無視する事が、誰にも出来ないほど人間には難しい。だからその殻を破りさえすれば、勝手に不戦勝一位になると思うのだ。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.

まあそんな話はさておき(^^)、僕の場合は最初は画質を求めてLeicaを手にしたが、次第に自分がイメージする写真を作る元素材として、僕にとってはLeicaが面白かったし、都合が良かった。

一方、別にカメラにそれほど興味は無くて、でも家族写真とか出来る限り美しく残したい、でも現像とか面倒。手っ取り早く上質な写真が欲しい人に対して、オススメすべきは本当にLeicaなのか?いやむしろ、デジタル中判の方が早くないか?

Leica M型、Q、SLは、より小型センサーのフルサイズ機であって、デジタル中判のHasselblad X1DIIと本当に対等に比較出来るのは、ライカで言えば同じ中判のSしか無い。現在Leica S3の価格コム最安値は240万円だ。1/4の価格と半分の重量で同じ中判の最右翼、X1DIIが手に入るだけでなく、カラーマネジメントをAdobe LightroomやCapture Oneなど他社アプリに依存せざるを得ないLeicaに対し、ハッセルは自社アプリPhocusにより、完璧な色再現という強烈なアドバンテージがある。これでは競争力としてライカが不利なのは否めないし、ライカ自身も、自社アプリの色再現は喉から手が出るほど羨ましいと思っているに違いない。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.

X1DIIのレンズ・ラインナップの価格帯も、12万円〜高くても60万円までで、Leica Mレンズのだいたい半額で揃える事が出来るし、ラインナップ自体多くないので沼も浅い(^^)。フリンジ耐性、逆光耐性、3D感はレンズによりLeicaが一歩リードするが、それ以外はハッセルの日東光学レンズの品質は申し分無い。AFは遅いしサイズはデカイけど。あれ、結構負けてる?w

Leica M10M+アポズミクロンなら中判とも勝負出来るよ!(解像度なら)という実験も以前このブログでやったが、ハッセル中判はボディもレンズもMの半額なのだ。それでいて、RAWで撮影して、PCに読み込んで、コントラストスライダーをちょっと上げるプリセットでPhocusに入れて出すだけで、Leica顔負けの上質な絵が手に入る事は、僕が散々体験済みだ。

そう、実はHasselblad X1D2はコスパの高い、隠れたダークホースなのだ。(多分、富士GFXシリーズもね)レンズ一本に100万円も出費しなくても、同等かそれ以上に幸せになれる道が我々庶民には用意されている。僕のX1D2の第一印象は最悪だったが(笑)しばらく使ううちにその事実を認めざるを得なくなった。今日の様なただ娘とデートして歩いた写真とか、多分最も手軽に、ちょっと素敵な思い出写真を残せる。

XCD90はパープルフリンジは思い切り出るけど(^^) X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.

今でもLeica M型は道具としてメチャカッコいいと思うし、その個性も大好きだけど純粋に写真だけを考えた時に、M11やM12が出た時に本当にもう一度フルサイズ判に戻ってその絵に満足出来るのか、ちょっと自信が無くなってきているのが正直なところだ。

先日、このブログを整備した時にギャラリーも作り直したのだが、自分で選んだ写真の中のカメラ別の割合を調べてみた。結果は、Leica SとX1D2による写真点数が圧倒的だった。やっぱりどうしても僕は中判の絵が好きらしい。なんかね、解像度云々ではなくどこにも歪みや淀みがなく色の分離感、鮮度感も相まってヌケがいい感じがする。一度こちらに慣れてしまうとフルサイズの画角が窮屈に感じる様になるのは、フルサイズに慣れた人がAPS-Cに戻れなくなるのと同じだ。

ちなみにハッセルでカラーチェッカーを使った事はないし、その必要性を感じた事も一度もない。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.

一方、撮った写真を自分スタイルにガッツリ加工する人は、Phocusがいじれる範囲はジェントルで限定的だし、LightroomやCapture Oneの方がアプリとして全てにおいて洗練されている。そもそも最初から気に入らない要素が少ないので絵を壊したい気持ちが起きないX1Dよりも、Leicaの方が多分クリエイティブになりやすい。カラーチェッカーを上手に運用する事で、Leicaでも正しい色はもちろん手に入る。カメラに興味ない人がそんな面倒なことするかはさておき(^^)

それに、ハッセルブラッドのFacebookグループは、ライカの様な盛り上がりが全く無く、自身の作品の発表の場が無い事もちょっと物足りなさは確かにあるし、せっかく出会った多くのライカ仲間と写真遊びが出来ないのがつまらない。(Leicaグループは当然、ライカで撮った写真しか投稿出来ないルール。)それは僕だけの話だが。

まあとにかくライカユーザーの皆さんも、ユーザーサイドでこういう声をどんどん上げて行かないと、Leicaの鼻はどんどん伸びていって、いよいよ自分が買えなくなってしまう事に気がついたのでw、今度から頑張ってLeicaをコケ下ろす事にしよう!

(ウソ^^)

Leica Sもメチャいいけどね!(^^) Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH ©2018 Saw Ichiro.

Sigma fpLでミュージックビデオ撮影に挑戦!
カメラに直接録音出来るベストマイクはどれか?
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Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

このブログに訪れて下さっている方の中には、まだLeicaを所有していないが、実際ライカってどうなの?と興味がある方も多いと思う。もしも今日、貴方は念願のLeicaを手に入れたとする。その日は恐らく、何ヶ月経っても、何年経ったとしても、貴方にとって忘れられない一日になるに違いない。

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

最初は誰しも「ライカ+自分」の実験段階から始まる。もう少し発展すると、次第に「自分+ライカ」つまり道具の恩恵にあやかりつつも、主体は人間である事を意識する様になるし、またそうあるべきだ。最後は「自分+カメラ」、もはやライカであるかどうかは重要では無い段階に、至らなければならないと僕は思っている。

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世界で最も愛されるカメラ(改定)

世界で最も投稿されているカメラをFlickrのカメラファインダーで見てみると、本日付けでダントツでiPhoneだ。2位がキャノン、3位ニコン、4位SAMSUNGのギャラクシー、5位のソニーと続く。フジは7位でライカは15位だった。

Leicaレンズの話

レンズ選びの参考になるかも

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今度はSummilux 50mm F1.4 を考え直してみる

ズミクロンを押した直後に恐縮だが^_^、先日のJLUGの集まりで先輩方のレンズを触らせて頂いた勢いで、久しぶりにズミルックス50を購入してしまった。初代と現行第4世代を経て、今回は第2世代を選んだ。そして悟った。やっぱズミルックス50はむちゃくちゃ面白い!

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ズミクロン(Summicron 50mm/f2)を考え直してみる

APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.登場以降、なんとなくその廉価版的な存在になりつつあるノーマル・ズミクロン50が、今どんな意義があるのか再考してみる。ちなみにアポ50が価格コムで現在99万円、ノンアポが30万と3倍以上の価格差がある。

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Leicaレンズ沼の攻略法(入門編)

「ライカを買いたいが何がオススメか」と問われたら、ほとんどのライカ・ユーザーは、待ってましたとばかりに、うざいくらいにウンチクを披露しながら懇切丁寧に教えてくれるはずだ(笑)僕も含め、普段からそんな事ばかり考えてる連中だ。

ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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カルティエ・ブレッソンの教えをM10でやってみる

いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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写真は「滅びの美学」

以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

L1020739

Hasselblad X1D II

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Leica S

M9-P

Leica M9

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Leica M Typ240

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Leica M10

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道具編

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天体観測

Sigma fpLでミュージックビデオ撮影に挑戦!
カメラに直接録音出来るベストマイクはどれか?