2020年3月24日 ichiro

ハッセルブラッド純正レンズを買ってみた。XCD 3,2/90

僕のX1D II 50c をIkuya S.さんがFujifim X-T20にて斬新な背景色で撮って下さった。ありがとございます!

オシャレを楽しんだり、お気に入りのカフェで素敵な時間を過ごしたり、たまにちょっと贅沢してみたり、写真や音楽に打ち込んだり、そういった一見無駄とも思える、生活必需品でない社会との文化的な繋がりが実はとても大切だったりして、そういう非合理性を一切排除して社会に何か価値のあるアイディアやクリエイティビティを提供する側にはなり得ないと、僕は思っている。どの分野においても。

帰国不能になる前に僕は日本に居たが、全ての飲食店が営業停止、外出すら制限されたりして、ウィルス騒動が欧米では日本よりも深刻な様だ。騒動が一段落した後は、今度は経済的なサバイバルゲームになるかもしれないが、こんな時だからこそ、可能な限り平常な生活を続けたいし、少しづつでも写真も撮っていきたい。

今日もいつも通り、下らない素人レビューを少し書いてみる。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/30, ISO 1600) ©2020 Saw Ichiro.

純正レンズXCD 3,2/90をゲットしてからというもの、Hasselblad X1D IIが実に快適だ(笑)電子シャッターにまつわる不具合から開放されて、とても便利に使えている。

通常はMFモードにしておいて、背面ボタンを押している間だけAFがフォーカスを探してくれる、Leica Sでやっていた使い方で運用出来ている。少なくともS-Eよりはフォーカスは速い気がする。例の構え方で(^^)、例え5000万画素の90mmレンズという厳しい条件としても、シャッタースピードがいくら遅くても手ブレの確率を格段に減らす事が出来る。

伊豆の朝の散歩道より。現像では露出を若干暗くしただけだが、このレンズはもっと硬いと思いきや、意外と優しい質感で撮れる所がお気に入りだ(^^) X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.0, 1/125, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.

XCD 3,2/90の特性は特段、固くも柔らかくもなく中庸で優秀なレンズだ。反面、ズミルックスの様な強烈な個性や面白みも特に無いので、レンズに対する愛というか思い入れみたいな感覚は個人的には生じにくい。3D感もオリジナルの大画面ではちょっと感動的だが、2048pxまで縮小すると言うほどでも無いし、残念な程に画質劣化を感じる。

どうもX1Dのネット上の作例が全体的にLeicaに見劣りする気もするし、撮り手としてもなんとなくLeicaよりもオリジナルと縮小jpgとの差が大きいと感じるのは、もしかしたら専用現像ソフトPhocusのコンバーターの問題だろうか。Phocusのオリジナルサイズの色味やシャープネスは申し分無い。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.4, 1/100, ISO 1600) ©2020 Saw Ichiro.

シャッター音がレンズごとに異なる点が面白い。少なくともXCD90のシャッターは、静かな場所で聞くと内部で何か引っかかっていた金属部品が外れて壊れてしまった様な、カキン!という変な音がする。でも雑踏の中では雑味がかき消され、一度いい音ですね、と人様に言われた。

ともあれ、人を撮ると顔の形がとても自然に映ったり、階調がメッチャ豊かだったり中判の恩恵はしっかり享受していて、X1D IIは僕のニーズを満たしてくれている。


by Ikuya S. with Fujifilm X-T20

フードを装着すると結構長くて、見た目はLeica Mレンズの感覚からするとだいぶ大袈裟になる。フード付けっぱなしなら、バッグのスペースはMモデル2台分を専有しそうだ。フード自体は金属製で造りは良いが、より軽量小型な社外品に替えてみる事も検討している。

早速仕事でも撮りまくったが、相手が動かない被写体なら全く問題ない。でも大凡2、3時間くらい?休まず撮り続けるとバッテリー残量に赤が付く。半日やるなら予備バッテリーは2本あってもいいかもしれない。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/45, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.

ご親切にメッセージを下さった方が何人かおられて、前回書いた不具合の原因を教えて下さった。返信しようとしたがメールがエラーで帰ってきてしまうので、この場を借りて御礼申し上げます。

以前書いた高感度シマシマ問題は、高感度だからではなく環境光に含まれるフリッカーが原因で、純正レンズでも電子シャッターを使うと同様にフリッカーのシマシマが現れるそうだ。ローリングシャッター速度が300msのソニー中判センサーの電子シャッター使用時の宿命という事だった。ISOが3200までしか無いのも電子シャッター縛りで、純正レンズだとISO25600まで普通に使えた。

Leica S-Eと決定的に違う所は、ISO3200でもほぼノイズフリーで普通に使える所だ。S-Eの高感度ノイズはそれはそれで味わいがあったが、2014年のS-Eリリースから6年を経て、さすがに中判も進化を感じる部分だ。白飛びや黒潰れも圧倒的にX1D IIが強い。

永福町の踏切より。開放のつもりが気づかないうちにダイヤルに触れて、ちょっと絞ってる事がよくある。笑 X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.0, 1/40, ISO 3200) ©2020 Saw Ichiro.

シャッタータイムラグの問題は電子シャッターでは絶望的だが、純正レンズは問題無かった。でもブラックアウトが長過ぎる問題は純正レンズでも同様で、連射撮影モードではさらに遅くなる。

MFアシストの件も純正レンズでは解決されて、レンズのゴム?リングにちょっと触れるだけで確実にEVFが拡大表示され、レリーズに触れると戻り、とても快適だ。当たり前だがw

嵐の前の静けさ。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3.2/90 (ƒ/4.0, 1/400, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.

という事で、普通に使えるカメラになった。メデタシメデタシ、、、となりそうな所が、ここに来てHasselblad CFV II 50cの出荷が始まったと読者の方が教えて下さった。しかも電子シャッターに頼る事なく、500C/Mのフィルムパックと置換して普通にVレンズのレンズシャッターが使えるという!これはヤバイ(笑)

両目と片目では人間の空間把握能力に大きな差が出ると僕は考えていて、ウェストレベル・ファインダーで両目で構図を作りながらじっくり取り組んでみるのは、確かに面白そうだ。それにハッセルもレンズが高いので、CFV IIに加えて、必要なオールドVレンズを中古で揃えればトータルコストは格段に抑えられる。

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/20, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.

でも実際、純正のXCD90のAFも今のところ快適だし、5000万画素の高解像度もしばらくは楽しいだろう(^^)。それに飽きて来る頃にやっと写真の本質の方に目が向いて来て、でも我慢出来ずに古いレンズに走り出すのは、もうライカで散々やって分かりきっている。(^^)

X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/90, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.

500Cボディで運用するなら、結局カメラサイズがデカくなるのは避けられない。EVFファインダー無しで日中本当に困らないだろうかとか、あのガチャポン!という壮大なミラーアクション・ノイズと振動を発する500Cのシャッターも撮影場所を選ぶし、一枚撮る度にレンズシャッターを開くためのフィルムレバーを巻く儀式が、最初はアナログ感を楽しめても果たして2020年にそんなスロー・ライフを続けられるのかとか(^^)、再びいろいろ悩ましい。

しばらく仕事が忙しく、ストロボ撮影など時間が出来たら試してみたい。

助手席でウトウトしていたが、慌てて走行中の窓から撮った。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/125, ISO 1600) ©2020 Saw Ichiro.

X1Dの純正レンズ
クローズアップ・レンズテストとHasselblad CFV II 50Cの考察

Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

このブログに訪れて下さっている方の中には、まだLeicaを所有していないが、実際ライカってどうなの?と興味がある方も多いと思う。もしも今日、貴方は念願のLeicaを手に入れたとする。その日は恐らく、何ヶ月経っても、何年経ったとしても、貴方にとって忘れられない一日になるに違いない。

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

最初は誰しも「ライカ+自分」の実験段階から始まる。もう少し発展すると、次第に「自分+ライカ」つまり道具の恩恵にあやかりつつも、主体は人間である事を意識する様になるし、またそうあるべきだ。最後は「自分+カメラ」、もはやライカであるかどうかは重要では無い段階に、至らなければならないと僕は思っている。

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世界で最も愛されるカメラ(改定)

世界で最も投稿されているカメラをFlickrのカメラファインダーで見てみると、本日付けでダントツでiPhoneだ。2位がキャノン、3位ニコン、4位SAMSUNGのギャラクシー、5位のソニーと続く。フジは7位でライカは15位だった。

Leicaレンズの話

レンズ選びの参考になるかも

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今度はSummilux 50mm F1.4 を考え直してみる

ズミクロンを押した直後に恐縮だが^_^、先日のJLUGの集まりで先輩方のレンズを触らせて頂いた勢いで、久しぶりにズミルックス50を購入してしまった。初代と現行第4世代を経て、今回は第2世代を選んだ。そして悟った。やっぱズミルックス50はむちゃくちゃ面白い!

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ズミクロン(Summicron 50mm/f2)を考え直してみる

APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.登場以降、なんとなくその廉価版的な存在になりつつあるノーマル・ズミクロン50が、今どんな意義があるのか再考してみる。ちなみにアポ50が価格コムで現在99万円、ノンアポが30万と3倍以上の価格差がある。

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Leicaレンズ沼の攻略法(入門編)

「ライカを買いたいが何がオススメか」と問われたら、ほとんどのライカ・ユーザーは、待ってましたとばかりに、うざいくらいにウンチクを披露しながら懇切丁寧に教えてくれるはずだ(笑)僕も含め、普段からそんな事ばかり考えてる連中だ。

ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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構図の添削2

前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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カルティエ・ブレッソンの教えをM10でやってみる

いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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写真は「滅びの美学」

以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

L1020739

Hasselblad X1D II

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Leica S

M9-P

Leica M9

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Leica M Typ240

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Leica M10

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道具編

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天体観測

X1Dの純正レンズ
クローズアップ・レンズテストとHasselblad CFV II 50Cの考察