かれこれ20年近く仲良くさせて頂いてるオーダージュエリー「工房一閃」の、8分間のプロモ・ムービー制作に挑んだ。だいぶ前にこのブログでもチラっとご紹介した作家の照沼さんは日本の皇室御用達、まさに日本の匠だ。僕も以前に何度か皇室御前イベントのチーフエンジニアを仰せ付かった事はあるが、なにせ動画に関してはヨチヨチ歩きに毛が生えた程度だ(^^)。ここは気合いで乗り越えるしか無いが、それでも自分たちが楽しんでやるのが一番大事なのに変わりない。
そこで僕が用意した超綿密な絵コンテは、これで全部(笑)。しかも下の2コマはボツにした(^^)
全行程をいろんなバリエーションで素材を撮っておいて、あとは音楽に合わせて編集の時に遊びながら考えるスタイル。だってジュエリー制作工程で何をどうするのかなんて全く知らないし(^^)。ライトはGODOX SL150WIIを真俯瞰から。ビューティーディッシュ等は付けずに直接光でトライしたが、被写体までの距離が近い事もあり、f11前後、1/25sで回す限りISO100で十分光量は有り余った。
レンズはほとんどSigma純正105mm F2.8 DG DN MACRO。ほぼ新品状態で防湿庫に放置していたレンズが、水を得た魚の様に活躍してくれた。シグマのカミソリ・マクロと言えば、一昔前まではカリッカリの解像番長であまり良いイメージは無かったのだが、現代の105mmは描写が自然な柔らかさを有していて麗しい。もちろんシャープネスも十分で、僕の知るシグマから1枚も2枚も進化している。
特にこの手のジュエリー撮影には等倍マクロが必須で、Fuji GFX100Sの導入も検討しているが残念ながらここまで寄れるマクロが無い。
音声は前半は先日ご紹介したAndyCine、ピアノ曲からはゼンハイザーXS ワイヤレスデジタルポータブルラベリアセット。編集は全てDavinci Resolve。カラーチェッカーがアプリ内で簡単に運用出来る様になっていて素晴らしい。
今回の撮影で一番難しかったのは、ずっと似た様なデスクワークが続くために、見る人を飽きさせない努力をカメラ側で絶え間なく続ける必要がある。自分の中では2回連続で同じ方向から見せてはイケナイ・ルールがあって、ちょっと撮ったら右に左に、前から後ろから頻繁に三脚をリセット、再セットアップを繰り返した。いろいろと雲台と三脚に難儀したが、その話は長くなりそうなので次回まとめてみる(^^)。
ドローンはDJI Mavic Air2。これはイチローがずっと借りパクしているものだ。(笑)意外と何度も使う用事があって、だいぶ操縦も上手になってきた。
取り合えずはこれで十分だけど、映画の様に旋回しながら被写体を自動的に追ってくれるクイックショット機能が便利なのに、このモードだけH.264, FHD1920×1080 30fpsの画質固定で、最高画質が選べないつまらない意地悪がされている。今回はその画質固定の撮って出しで使用したが、本気で撮るならハッセルレンズを装備する上位機種を買えという事だろう。ハッセルは自社でレンズを作る技術は無いので、ハッセルレンズという事はこれも日東光学製?
ジンバル以上のスムーズなムービングワークが必要で、簡易的な手動スライダーも用意した。造りはしっかりしていてズッシリ重いローラーを回す機構になっていて、想像以上にちゃんと使えた。本当はモバイルでリモート・コントロール出来る電動スライダーが望ましいが、だんだん自分が何屋なのか分からなくなってくる。w
一日中カメラを回す電源として、これが問題なくSigma fpLで使えた。
映像には途中、イチローが役者としても写っているが(^^)、実際このリングのオリジナルはイチローのためにデザインして下さったもので、大変思い入れがある。僕は指輪に興味を持った事も無かったが、このブルーダイアを見せて頂いた時は、人生で初めて自分のためにダイヤが欲しいと思ったほどカッコイイ。
気をつけて見てみると、このサイズの指輪を普段から付けて歩いている日本人男性はほとんどいないが、海外の若社長はみんなデカい指輪を付けているのは当たり前だ。装身具を見ると、だいたいその人がどの様な価値観で生きてきた人物なのか分かると、誰かが言っていた。
見栄を張るのが目的ではないが、特に僕の様なズボラなオッサンにはこのリング一つで普段のだらしない格好やテキトーな髪型を帳消しにしてくれる副産物は、確かにある。w
もちろん全く同じダイアモンドは2個と無いが、工房一閃で複数の石の中から選ばせてもらえる。いつもカメラや機材にばかり散財している貴方も、たまには奥様に感謝の気持ちを伝えてあげるのは如何?(ついでに自分のもw)そうすればきっと、次のカメラの許可が降りやすくなるに違いない。(^^)
お問い合わせの際にはイチローの動画を見た、と伝えてあげるとウェルカムしてくれるはずだ。
工房一閃ウエブサイト
この写真もトップのサムネイルも、Sigma fpLのCinemaDNGファイルの中のRaw画像を一枚取り出したもの。違いは画角が16:9になっているだけで、通常のRawの様にCapture Oneで現像出来る。