2017年8月29日 ichiro

M Typ240とSummaron 35mm/f3.5

M10購入のために手放してしまったM Typ240。シルバークロームも非常に美しかった。M10を手に入れてようやく、今なら両者を客観視出来るが、MにはMでしか撮れない質感があった。

どちらが上とかも言いにくく、如何ともしがたい魅力が両者ともにある。普通はデジタル製品の場合、新機種が出たら過去の製品はほとんど無価値になってしまうが、ライカは一概にそうとも言えない所が悩ましい。そしてMとズマロンとの組み合わせは、何を撮っても勝手にカッコよくしてくれる、魔法?の組み合わせだった。
ちなみに上の写真はハッセルブラッドで撮った。


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/3.5, 1/60, ISO 1600) ©2017 Saw Ichiro.

高性能な35mmを求めたら普通はSummilux 35mm ASPH.あたりに行き着くはずだが、50mmがメインで、35mmは時々しか使わない僕の様な人種には、ズマロン35mmは理想的なレンズだ。なにせ小さくて軽いから、いつでもバックに放り込んでおける。見た目もビンテージ感満載でカッコイイし、絵も最高だし、何より安い。確か僕は4万くらいで素晴らしい状態のモノをヤフオクで落札した。

ライカ入門として35mmを勧める人が多いが、それはある意味理にかなっている。50mmよりも被写界深度が圧倒的に深く、適当に合わせてもピントを外しにくいからだ。特にズマロンF3.5は顕著で、かなりルーズに撮りまくれるので、たまに使うとなんて楽なんだろうと思う。5m辺りにピンを置いておけば、むしろほとんどの場面でピント合わせは必要無いくらいだ。

僕にとって35mmは主に室内用だから、F3.5というのは暗い室内での用途としては矛盾しているとも言える。M10なら高感度耐性が高いので問題無いが、F2.8ズマロンも存在するので、本当に室内メインの人はそっちの方が無難かもしれない。まあ高感度ノイズもズマロンの絵を引き立ててくれるので、僕は全然気にしない。F3.5モデルとF2.8モデルの写りの違いは、僕は比較した事が無いので分からない。

前回の記事でズマロンの味と書いておきながら、全然そういう雰囲気の写真では無かったので、以前Mで撮ったものをいくつか紹介します。あるスタジオの写真撮影とウェブ制作を頼まれた時に撮ったものだが、現代のレンズではこうならない。M Typ240でなくても、また違うものになっていたに違いない。M10でズマロンを使うとどうなるのかは、もう少し研究が必要だ。


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/3.5, 1/45, ISO 2000) ©2017 Saw Ichiro.


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/5.6, 1/60, ISO 2000) ©2017 Saw Ichiro.


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/5.6, 1/60, ISO 2000) ©2017 Saw Ichiro.


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/3.5, 1/45, ISO 2000) ©2017 Saw Ichiro.


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/3.5, 1/60, ISO 2000) ©2017 Saw Ichiro.

全体的に、タングステン色が強めに出ていたので、彩度は落としている。

周辺減光が嫌な人は、ズマロンはNGだ。ちなみに僕は、逆光のフレアも、周辺減光も大好きなのである。ある時、現代レンズを常用していた頃、気づいたらほとんどの作品に周辺減光を強めたり汚したりしている自分に気がついた。だったら最初からそういうレンズを使えば良いのだ。

Summaron 35mm/f3.5は僕の頭の中で描いている、何か漠然としたカッコ良い感じを、ほとんど無加工で具現化してくれる。だからこいつは最高に気に入っている。

Leicaに手を出す以前、CARL ZEISS JENA DDR MC FLEKTOGON 35mm / f2.4(M42)ばかり使っていた時期があった。というより、もはやこれしか使わないので、他の現代のZeiss等を全て手放して、これ一本しか持っていなかった時期が長い。その時も同じ感覚だった。何を撮っても「作品」にしてくれるのだ。

ズマロンとフレクトゴンは絵作りは違う系統だが、得られる濃厚なオールド感はどこか似ている。絞りが壊れて、開放しか使えなくなっても、フレクトゴンだけを使い続けた。絞りを治そうと思って分解したら、元に戻せなくなってお釈迦になってしまった。フレクトゴンを失って、写真自体やらなくなってしまった。

フレクトゴンの場合は無限遠が何故か弱いので、風景はやらないと決める必要があったが、もしフジXシリーズやLeica TL2などAPS-C機を使うチャンスがあったら、またフレクトゴンを使ってみたい。しかしフルサイズセンサー機で使うなら、今なら僕はズマロンを選ぶ。

横浜能楽堂でも、迷わずズマロンを手に取った。


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/3.5, 1/60, ISO 1600) ©2017 Saw Ichiro.


Leica M typ 240 + Leica Summaron 35mm/f3.5 (ƒ/3.5, 1/750, ISO 200) ©2017 Saw Ichiro.

Leica M10で夜景を撮る
好きな写真家:ソール・ライター
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Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

このブログに訪れて下さっている方の中には、まだLeicaを所有していないが、実際ライカってどうなの?と興味がある方も多いと思う。もしも今日、貴方は念願のLeicaを手に入れたとする。その日は恐らく、何ヶ月経っても、何年経ったとしても、貴方にとって忘れられない一日になるに違いない。

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

最初は誰しも「ライカ+自分」の実験段階から始まる。もう少し発展すると、次第に「自分+ライカ」つまり道具の恩恵にあやかりつつも、主体は人間である事を意識する様になるし、またそうあるべきだ。最後は「自分+カメラ」、もはやライカであるかどうかは重要では無い段階に、至らなければならないと僕は思っている。

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世界で最も愛されるカメラ(改定)

世界で最も投稿されているカメラをFlickrのカメラファインダーで見てみると、本日付けでダントツでiPhoneだ。2位がキャノン、3位ニコン、4位SAMSUNGのギャラクシー、5位のソニーと続く。フジは7位でライカは15位だった。

Leicaレンズの話

レンズ選びの参考になるかも

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今度はSummilux 50mm F1.4 を考え直してみる

ズミクロンを押した直後に恐縮だが^_^、先日のJLUGの集まりで先輩方のレンズを触らせて頂いた勢いで、久しぶりにズミルックス50を購入してしまった。初代と現行第4世代を経て、今回は第2世代を選んだ。そして悟った。やっぱズミルックス50はむちゃくちゃ面白い!

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ズミクロン(Summicron 50mm/f2)を考え直してみる

APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.登場以降、なんとなくその廉価版的な存在になりつつあるノーマル・ズミクロン50が、今どんな意義があるのか再考してみる。ちなみにアポ50が価格コムで現在99万円、ノンアポが30万と3倍以上の価格差がある。

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Leicaレンズ沼の攻略法(入門編)

「ライカを買いたいが何がオススメか」と問われたら、ほとんどのライカ・ユーザーは、待ってましたとばかりに、うざいくらいにウンチクを披露しながら懇切丁寧に教えてくれるはずだ(笑)僕も含め、普段からそんな事ばかり考えてる連中だ。

ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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構図の添削3

JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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構図の添削2

前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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カルティエ・ブレッソンの教えをM10でやってみる

いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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写真は「滅びの美学」

以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

L1020739

Hasselblad X1D II

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Leica S

M9-P

Leica M9

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Leica M Typ240

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Leica M10

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道具編

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天体観測

Leica M10で夜景を撮る
好きな写真家:ソール・ライター