Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/30, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
プロでもなんでもない門外漢の僕が、カメラについて勝手に考察し、写真について公言するなどと言う事は誠に恥ずかしい行為であって、こんなブログは知人には決して知られたくない気持ちもあったりするが、しかしだからこそ、僕と同様にライカに迷い着いたばかりの人にとってちょっと面白い何かがあり得るかもしれないと、自分に言い聞かせたりする。
Leica M typ240のカメラ・キャリブレーション・プロファイル比較。デフォルトのAdobe StandardとEmbeddedの違い。
Adobe Standard Profile. Leica M typ 240 + Leica 35mm f/2 SUMMICRON-M ASPH (ƒ/4.0, 1/250, ISO 200) ©2017 Saw Ichiro.
Leica M Embedded Profile. Leica M typ 240 + Leica 35mm f/2 SUMMICRON-M ASPH (ƒ/4.0, 1/250, ISO 200) ©2017 Saw Ichiro.
羽織の青の濃さ、インナーの紫の色味、唇の発色が違う。Embeddedの方が実際に近かった。Adobeはやや色褪せた感じになる。リアルタイムにプロファイルを変更しながら見比べると驚きの違いだが、タテに並べてみると言うほど気にならないか?
今度はカラーチェッカーパスポートを使った、自作カラープロファイルを当ててみる。
ColorChecker Passport。カメラの固有のクセや現場の光の状態を補正し、実際の色に近づける便利ツールだ。文字通りパスポートサイズ。
Original Profile. Leica M typ 240 + Leica 35mm f/2 SUMMICRON-M ASPH (ƒ/4.0, 1/250, ISO 200) ©2017 Saw Ichiro.
どれも彩度、ホワイトバランスやサチュレーションはいじっていない。プロファイルだけでこれだけ違う。実は、この時はまだColorChecker Passportは持っておらず、後から別の環境で作った日中のプロファイルを当ててみたので、恐らくこれはちょっと不正確だ。正確な色を確実に再現するには、現場ごとにプロファイルを作成する必要がある。
次はM10のLeica M10純正プロファイルとAdobe Standardを比較してみる。Lightroom 6を導入したので、やっとColorChecker PassportでM10のカラー補正をやってみた。
Adobe Standard. Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/250, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
Leica M10 Profile.
ColorChecker Passport.
グレーカードを撮る代わりに、現場の光の元でカラーチェッカーを一枚撮る。これをプロファイルに登録する。人肌の血色の微妙なコントロールは上から2段目をホワイトバランス・selectorでクリックする。Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/60, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
Adobe Standardは向かっている方向がかなり違うが、M10の色味は元々非常に鮮やかで美しいので、必ずしもカラーチェッカーで劇的に改善される感覚は薄いかもしれない。実際、見た目は暖色系の明かりの元なので、強制的に白を真っ白に見せようとするカラーチェッカーが功を奏するかは、その場面による。
Adobe Standard. Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/60, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
M10 Profile.
ColorChecker Passport.
ちょっと赤、オレンジ系が強めに出る以外は、M10の発色はカラーチェッカーの発色に肉薄する。M10の発色が鮮やかに見える訳だ。でもやっぱりカラーチェッカーはM10にも有効と思った。
最後に、アドビの面目を取り戻す一枚。
M10 Profile. Leica M10 + Leica Summitar 50mm F2 (ƒ/2.0, 1/60, ISO 1600) ©2017 Saw Ichiro.
Adobe Standard Profile.
それぞれ白壁を使ってホワイトバランス・selectorツールで再調整も試みたが、ちょっと違いが大きすぎる。M10 Profileは、非常に暗いタングステン下では人肌がガッツリ変色してしまう。M10の場合は、Adobe Standardが有効になる場面も多々ありそうだ。
ちなみにこちらはM10のjpg撮って出し。この時はカラーチェッカーは撮り忘れた。
ColorChecker Passportは、複数のカメラの色味を統一出来るメリットもあるし、シビアな色再現が要求される場面では欠かせないツールだ。しかしそうなると、M9とM typ240とM10で、色の好みでモデルを選ぶ意味が余りなくなるし、色が好きという理由でライカを選ぶ意味も薄れる。
いつも同じスタジオで撮影する人なら、一つだけプロファイルを作っておけばOKだが、外では刻一刻と色温度が変化する。特に早朝と夕方は目まぐるしく変わる。いろんな所で撮るなら野外なら天候別、時間別に、自宅や職場もズラッとプロファイルを作っておく事を、僕も含め誰でも考える様だ。
でもグレーカードでマニュアル・ホワイトバランスを撮るプロセスの代わりに、カラーチェッカーを一枚撮るだけなので、基本は毎回現場でプロファイルを取る習慣をつける方が確実だろう。
FUJIFILM GFX 50SとLeica M10を撮り比べてみた。同じISO400で絞り優先(開放)。LeicaはいつものSummilux 50 f1.4、フジにはフジノンレンズ GF63mmF2.8 R WRが付いていた。
今まではLeica M10の色味が、なんか日本製っぽい、キャノンぽいと感じていたのだが、背面液晶を比べただけだが、表現の仕方にこれだけ違いがあって驚いた。液晶を見ている限り、どちらが良いとか優劣は感じない。どちらも恐ろしく解像している。フジの方が総じて露出が明るい。妙に明るい。M10が表示しているのはjpgでRawを取り込むと実際はもっと明るい事も考慮しても、カメラが考える適正露出がこれだけ違うと面白い。いや、M10の液晶がやっぱり暗いだけか?
僕は日本カメラ全般に、日本の学校教育の指針の様な、どこか優等生的な雰囲気を感じる。安定性、信頼性、コスパ的にも多くのプロが日本製を選ぶのも当然だ。ライカはグレてる。偏ってるし、尖ってる。それでも僕がライカの絵に惹かれてしまうのは、自分の性格や深層心理に起因するのか?
いずれにせよここまで違うとカメラ選びから既に自らの個性の一端を担う事は、もはや疑い様もない。まあカラーチェッカーを使えば、色味に関してはほとんど同じ結果になりそうだが。