Sは使いにくかったよ!ダメだったよ!
、、と書いておいて内緒にしようか迷うほど、実はSはよかった(笑)37.5MピクセルによりM10以上の描写性能があるのに、写りすぎる感じがしないのだ。
人影の少ない深夜の南青山を、ライカSと少し歩いた。Ilko式の構えを覚えてから、手ブレを防げるだけでなく、右手の負担を心配しなくて済むようになった。ストリートでも全然問題なかった。腰巻きホルスターの恩恵もあり、腕力を鍛える必要はなさそうだ^_^
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 800) ©2018 Saw Ichiro.
雨も結構降っていたが、Sだとちょっとくらい濡れても気にならない。一応、クルマに乗り込んでからタオルで軽く拭き取った。
Sの高感度ノイズ
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 1600) ©2018 Saw Ichiro.
S Typ 006のISO800以上の質感は、少なくとも僕の目にはブローニーフィルムを連想させる。ソールライターなどのold school artの質感の片鱗を感じさせるもので、高感度は弱いが好感度は高い^_^ というかM9ラブの人は無茶苦茶気に入る描写と思う。
ちなみに上の写真をSの背面液晶で見ると、ゴミにしか見えない。(Sの液晶は実際以上にノイジーに表示される。)
敬愛して止まないソールライターの作品4点をネットで拾った。昨日久しぶりに眺めたが、やっぱりこの人は天才。彼から受けた影響は小さくないが、彼の真似とかしても残念な気持ちになってくるw。
僕が居住する葉山エリアには、現在はすでにブローニーを現像出来る写真屋が近所に一件もなく、逗子駅前のフジ写真屋もいちいち静岡かどこかの富士フィルムの工場に郵送するらしい。現像するのに毎回一週間かかる。現像後のフィルムを全部スキャンして取り込むのも面倒だ。
デジタルライカSでこういう絵が手軽に撮れるとは、事前に予想していなかったので嬉しい誤算だ。昼間でもNDフィルターつけてISO1600を使いたいくらいだ(笑)
もちろんこれはLightroomのノイズリダクションの恩恵もある。Embeddedプロファイルで取り込むと、ISOに合わせて自動的にここの適用値が10とか25とか変動する。ベース感度のISO100は、ノイズリダクションはデフォルトで10になる。ここをゼロにするとほんのわずかにシャープネスが上がる気がしないでも無いが、しばらく初期設定のままで運用してみる。
ISO1600から、さらに露出を現像で無理に持ち上げると、かなりノイジーになってくる。ノイズを抑えたい場合は出来るだけ明るめに撮っておいて、後から下げる方がベターな結果になるのは、M9と同じ。下の二枚は1600で撮影して、現像でさらに露出を一段以上持ち上げた。この日は念のため1/125sで全部撮ったが、手ブレ競争にはさっぱり自信の無い僕でも、イルコ式で1/30sくらいまでなら全然常用できそうだ。
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 1600) ©2018 Saw Ichiro.
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 1600) ©2018 Saw Ichiro.
色の出方はM9よりもややジェントルと言えると思う。それはM9は青と赤が異常なまでに強烈な彩度を放つが、Sはそういう現象は見られない。ちなみに夜のM10は、黄色の暴走が見られる。この問題に関して、僕の写真をドイツ本国ライカ社で解析して下さり、既に原因がほぼ特定されたとのご報告を頂いた。ライトルーム側のM10プロファイル設定に問題がある可能性があり、そのうちファームアップで改善されるかも。ライカ・プロダクトに少しでも貢献出来たらめっちゃ嬉しい。
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
S Typ 006のCCDの色の深みはM9テイストだ。と言っても色味が地味とか派手とか、そういう印象を起こさせないニュートラルな印象だが、なぜか青空や海の青は、LightroomのEmbeddedプロファイルだと、やや薄い。
ちなみにSのjpg撮って出しの絵は、色の深みやダイナミックレンジ、コントラスト面でも、あらゆる点でRawより劣る。白黒もMと違ってRawよりjpgの方がローコントラストなので、基本はSはRawのみでの運用になるだろう。
しかし海と空の青に限って、jpgの方がなぜか鮮やかに出るのだ。そのため日中のSのカラープロファイルを日向と日陰の二種類を作成しておいた。これで空の青がぐっと深くなる。カラーチェッカー・プロファイルの方が、その他の細かい部分でも、やっぱりベターな結果になる様だ。
Raw。
撮って出しjpg。
SpiderPRO カメラホルスター
求めれば解決策がみつかるものだ。2kg超えのカメラを軽快に持ち歩くのに、これ以上に優れた手段は無いと思った。これで現実的に、苦痛を伴わずにライカSと歩けるようになった。
実際にマウント部をSに装着してみて、数々の細かい配慮に感心してしまった。マウントが緩んだ際に増し締めするレンチが、マウントに内蔵されていてその収納方法が秀逸。ちょっと緩んでもボディが回転しない工夫がなされていたり、各部の剛性感が非常に高かったり、ベルトごと外れない様に安全装置がついていたり、至れり尽くせり。
激安の中華模倣品と迷ったが、見た目は模倣出来ても、オリジナルの精神まではコピーできないものだ。ちょっと高価だがオリジナルを選んで良かった。
S専用テザリングUSBケーブル
これがどこにも取扱いが無い。特にS Typ 006用はマップカメラにもヨドバシにも無かった。ライカJAPANオフィシャル・オンラインストアでも取扱無し。S-Eって現行モデルだよね?^_^
銀座のライカプロフェッショナルストア東京に電話してようやく在庫発見。着払いで送って頂いた。
Typ 006用はUSB2.0で¥15,120。(送料別)ただのUSBケーブルだと思うのだが、ライカブランドは何でも高い。Typ 007用USB3.0版は、3万円超えだ。それぞれ互換性は無い様だ。でもプラグの剛性感が高く、いかにもプロの道具として相応しい。
こちらが中判の本来の使い方と思うが、一定の条件を満たすと超高解像っぷりを見せてくれる。ニッシンDi700A + Air1の一灯ライティング。普通に寄れるのとF22まで絞れるのが新鮮。Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/22, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
M10のWifi転送は、煩雑な設定のプロセスと、エネルギーをM10のバッテリーに依存するのが欠点だった。SのテザリングはLightroomにPlug-insをインストールするだけで、簡単にテザリングを運用出来る。USBを接続して、ライトルームのメニューからテザリング開始するだけ。ライトルームからシャッターも切れるので、リモートレリーズ・ケーブルは買わなくていいかも。
Taijiro Ito氏。背景が真っ黒になっちゃったので、背景にもう一灯立ててみた。Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/5.6, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
同じ設定で同じ位置でM10で撮った比較。解像度は24MピクセルのM10も全く引けを取らない。Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/5.6, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
レイテンシーは一枚につき2秒程度か。ストレス無くどんどん転送され、実に快適だ。テザリングでMacに転送された画像は、SDカードには記録されない。基本的には何も問題ないのだが、100枚くらいテザリング撮影してみたが、3%くらいの割合で、ファイルが壊れて表示出来ないというエラーが出た。なんでだろう。
スヌートを買ってみたので、実験がてら悪そうなセルフィーを撮ってみた^_^ 2秒タイマーにセットして、手元でライトルームのレリーズを押してる。
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/11, 1/4, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
Sのバッテリー充電器
左、M用バッテリーチャージャー。右S用。
Mは一般的なメガネプラグなので、MacやiPad用のミニメガネプラグが流用出来る。旅でも荷物が嵩張らなくて有り難かったが、Sは無駄に長いケーブルごと持ち歩かなければならない。しかも接続部がプラスチックで、誤って蹴飛ばしたり踏んづけたら破損確実だ。旅先でバッテリーチャージャーを壊したら、予備が無ければアウトだ。機構が成熟していない。
バッテリー二本を充電出来る、便利そうなお立ち台充電器が別売りだが、54,000円って。ちなみにSバッテリーは22,680円。1回のバッテリー充電で1,000枚以上の画像を撮影できると公表されている。Typ 006はライブビューもムービーも無いので、バッテリーの持ちは良さそうだ。
LEICA Summarit-S 70mm ASPH. f/2.5 CS
Macで画像を開いてみると、お、ノクチっぽい?とかルクスっぽい?と思う瞬間もある。非球面レンズの鮮烈なシャープネスと、ライカ独特の3Dルックがしっかり備わる。発色も鮮やかで、現行Mレンズオーナーを十分に納得させる描写性能と思う。
M10の時は僕はいつも彩度とコントラストを少し上げているが、今日のSの全ての作例は、露出とWBの微調整以外、何もいじっていない。いじる必要を感じなかった。
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
どちらかと言えばライカらしい写実的なレンズで、フワトロのボケを求めるのとはちょっと違うかな、玉ボケがレモン型になるが、これを嫌がる人もいるが僕はそこはどうでもいい。
Mレンズとの違いを実感するのは、50cmまで寄った瞬間だ。最短70cmレンズと1mレンズの違いの大きさは多くのMユーザーが体感するが、それと同様に50cmと70cmも、これがまたデカイ。
本体のフォーカルプレーン・シャッターはストロボ同調速度が1/125sなのに対し、CS(セントラルシャッター)バージョンは、1/1000sまで同調出来る。そもそもライカのハイスピード・シンクロに対応したストロボ自体が少ないし、CSが本当に自分に必要かは現時点では分からなかったが、一応CS付きを選択した。
しかしレンズの重量が、ノーマル740g、CSバージョン890gと150g差がある事に、購入後に気づいた。ただでさえクソ重いSの常用レンズとして、軽い方を選択するのは十分合理的な判断と思う。
Lightroomでは自動的にレンズ・プロファイルが適用され、ディストーションが補正される。ちなみにjpg撮って出しは、補正無しの画像が出て来る。
Sのよい所は、レンズ沼が浅い事だ^_^ Mは新旧無限の選択肢があるが、純正Sは片手とちょっと数えるほどしか存在しない。しかも中古市場はMレンズと価格帯は似たようなものだ。いや、ハッセルレンズとか手を出すなら同じかw
画角違いで純正3本も揃えたらもうそれで十分だろう。しかもレンズが重いのでたくさん持ち歩く気にもなれないので、本気で広角が欲しくなるまでは70mm一本でじっくり遊んでみる。