X1D II 50c – Hasselblad, XCD 4/45P ©2021 Saw Ichiro.
このブログで今まで散々ライカを推してきたし、今でもLeicaは大好きだけど、最近のライカの価格高騰ひどくない?ちょっと調子に乗ってない?(笑)もう100万円以下のレンズは出さないわけ?日本はデフレが30年も続いてるの!日本のサラリーマンは給料が全然上がらないの!!(僕はサラリーマンじゃないけどw)そんな事するなら今日は下剋上の記事書いちゃうよ(^^)。
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 4/45P ©2021 Saw Ichiro.
こんなご時世でも「ナントカの注射の後遺症?で新しいレンズが増殖して困る」とか言って(笑)毎月のようにMレンズを追加購入し続ける先輩諸氏が僕の周囲には何人か居て、羨ましいにもほどがある(^^)。
でもちょっと冷静に考えてみる。カメラレンズに100万円は適正なのか?確かに光学製品の場合、望遠鏡でも双眼鏡でも格付けによりとんでも無い価格差があるのは普通だ。
Hasselblad X1D、¥1,254,000が数年後、X1D2になっていきなり半額の¥643,500で発売になったのは、紛れもなく驚異のライバル、富士フイルム FUJIFILM GFX中判シリーズの出現により、市場競争原理が働いた結果だ。ライバルが出現すると、いつまでもあぐらをかいて言い値の商売を続けられなくなるのは自由主義社会の宿命だし、それはユーザーにとって良い事しか起こらない。
それが、Leicaには起きない。Leicaのプライスがどんどん上昇していく理由の半分は、市場原理が機能していないからだ。試しにアポズミクロン50(ノクチの時かな?)を出す時に、勇気を出して100万円のプライスタグを付けてみたら、先輩諸氏が平気でじゃんじゃん買ってくれるもんだから(笑)この価格でも売れる事にLeica社は気がついてしまった。ライカに本当のライバルが未だ不在なのだ。
昔エプソンがレンジファインダー機を世に送り出した栄光が日本にもあるが、そんな勇者はもう日本には居ないのか?
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.
確かにLeicaレンズは誰よりも小型、軽量で、ゴーストもフリンジも出ないし(例外ありw)超高解像だし猛烈3Dだし、発色も素晴らしいし、いつもその時代のお手本としてその優秀さは自他共に認める所だろう。でも技術的には、日本製でそれを超えるレンズを作れないはずがない。ゲルマン技術者のライバル足り得るのはこの地球上で日本民族が最も驚異な事は、我々が自覚していなくても海外の皆さんの方が良くご存知だ。
それでも日本が超えられない(超えたくない)理由はただ一つ。コストがかかり過ぎて、値段が上がると売れないから。
本当はビジネスさえ度外視すれば、カメラ業界も、望遠鏡業界も音響機材も、世界一の商品を作る事は実は意外なほど難しくないとイチローは思っている。自分の理想の製品を作って、儲けにならないプライスを付けるだけで、その商品は世界を席巻する。ところがこの「金儲け」を無視する事が、誰にも出来ないほど人間には難しい。だからその殻を破りさえすれば、勝手に不戦勝一位になると思うのだ。
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.
まあそんな話はさておき(^^)、僕の場合は最初は画質を求めてLeicaを手にしたが、次第に自分がイメージする写真を作る元素材として、僕にとってはLeicaが面白かったし、都合が良かった。
一方、別にカメラにそれほど興味は無くて、でも家族写真とか出来る限り美しく残したい、でも現像とか面倒。手っ取り早く上質な写真が欲しい人に対して、オススメすべきは本当にLeicaなのか?いやむしろ、デジタル中判の方が早くないか?
Leica M型、Q、SLは、より小型センサーのフルサイズ機であって、デジタル中判のHasselblad X1DIIと本当に対等に比較出来るのは、ライカで言えば同じ中判のSしか無い。現在Leica S3の価格コム最安値は240万円だ。1/4の価格と半分の重量で同じ中判の最右翼、X1DIIが手に入るだけでなく、カラーマネジメントをAdobe LightroomやCapture Oneなど他社アプリに依存せざるを得ないLeicaに対し、ハッセルは自社アプリPhocusにより、完璧な色再現という強烈なアドバンテージがある。これでは競争力としてライカが不利なのは否めないし、ライカ自身も、自社アプリの色再現は喉から手が出るほど羨ましいと思っているに違いない。
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.
X1DIIのレンズ・ラインナップの価格帯も、12万円〜高くても60万円までで、Leica Mレンズのだいたい半額で揃える事が出来るし、ラインナップ自体多くないので沼も浅い(^^)。フリンジ耐性、逆光耐性、3D感はレンズによりLeicaが一歩リードするが、それ以外はハッセルの日東光学レンズの品質は申し分無い。AFは遅いしサイズはデカイけど。あれ、結構負けてる?w
Leica M10M+アポズミクロンなら中判とも勝負出来るよ!(解像度なら)という実験も以前このブログでやったが、ハッセル中判はボディもレンズもMの半額なのだ。それでいて、RAWで撮影して、PCに読み込んで、コントラストスライダーをちょっと上げるプリセットでPhocusに入れて出すだけで、Leica顔負けの上質な絵が手に入る事は、僕が散々体験済みだ。
そう、実はHasselblad X1D2はコスパの高い、隠れたダークホースなのだ。(多分、富士GFXシリーズもね)レンズ一本に100万円も出費しなくても、同等かそれ以上に幸せになれる道が我々庶民には用意されている。僕のX1D2の第一印象は最悪だったが(笑)しばらく使ううちにその事実を認めざるを得なくなった。今日の様なただ娘とデートして歩いた写真とか、多分最も手軽に、ちょっと素敵な思い出写真を残せる。
XCD90はパープルフリンジは思い切り出るけど(^^) X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.
今でもLeica M型は道具としてメチャカッコいいと思うし、その個性も大好きだけど純粋に写真だけを考えた時に、M11やM12が出た時に本当にもう一度フルサイズ判に戻ってその絵に満足出来るのか、ちょっと自信が無くなってきているのが正直なところだ。
先日、このブログを整備した時にギャラリーも作り直したのだが、自分で選んだ写真の中のカメラ別の割合を調べてみた。結果は、Leica SとX1D2による写真点数が圧倒的だった。やっぱりどうしても僕は中判の絵が好きらしい。なんかね、解像度云々ではなくどこにも歪みや淀みがなく色の分離感、鮮度感も相まってヌケがいい感じがする。一度こちらに慣れてしまうとフルサイズの画角が窮屈に感じる様になるのは、フルサイズに慣れた人がAPS-Cに戻れなくなるのと同じだ。
ちなみにハッセルでカラーチェッカーを使った事はないし、その必要性を感じた事も一度もない。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 ©2020 Saw Ichiro.
一方、撮った写真を自分スタイルにガッツリ加工する人は、Phocusがいじれる範囲はジェントルで限定的だし、LightroomやCapture Oneの方がアプリとして全てにおいて洗練されている。そもそも最初から気に入らない要素が少ないので絵を壊したい気持ちが起きないX1Dよりも、Leicaの方が多分クリエイティブになりやすい。カラーチェッカーを上手に運用する事で、Leicaでも正しい色はもちろん手に入る。カメラに興味ない人がそんな面倒なことするかはさておき(^^)
それに、ハッセルブラッドのFacebookグループは、ライカの様な盛り上がりが全く無く、自身の作品の発表の場が無い事もちょっと物足りなさは確かにあるし、せっかく出会った多くのライカ仲間と写真遊びが出来ないのがつまらない。(Leicaグループは当然、ライカで撮った写真しか投稿出来ないルール。)それは僕だけの話だが。
まあとにかくライカユーザーの皆さんも、ユーザーサイドでこういう声をどんどん上げて行かないと、Leicaの鼻はどんどん伸びていって、いよいよ自分が買えなくなってしまう事に気がついたのでw、今度から頑張ってLeicaをコケ下ろす事にしよう!
(ウソ^^)
Leica Sもメチャいいけどね!(^^) Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH ©2018 Saw Ichiro.