関東近県で最も素晴らしい星エリアのひとつ、長野県は乗鞍まで日帰り遠征を強行した。朝まで完璧な快晴!昨年からずっと行きたいと思い続けてようやく実現した。20cmF7 BINOで行くのはこれが初めて。
GoogleMapナビによると、神奈川県の自宅から片道4時間半。往復9時間!まあ僕の運転の場合はグーグル予測をだいぶ巻くのが常だが(^^)、それでも乗鞍日帰りはなかなかキツイ。しかし翌日の午後から用事があるので、どうしても帰らなければならない。
目的地は乗鞍高原 第3駐車場 (やまぼうし駐車場)。数年前にここでAPM120SDにて素晴らしい星空を体験した。ところが今回久しぶりに訪れてみれば、なんと駐車場に自動販売機が設置されているではないか!2台も!前からあったっけ?自販機は一晩中強烈な光を放って星空観望の大きな弊害になってしまう。星の名所でありながら、乗鞍の担当者さんは光害をご存知無いのか!?涙 いや、僕みたいな星屋を追い出すため?(^^) ああ、日本有数の星空スポットがまたひとつ消えた。
しかし到着した時にはもう陽も暮れかけている。ここから新たなスポットを探す時間も無いし、道路は所々雪に覆われていて、あまり自由に登って行くとスタッドレスでもFR車はマジでスタックして身動きが全く取れなくなる。(経験ありw)仕方無いのでできるだけ自販機から離れ、自販機の方向にクルマを停めて強烈な光の直射を眼に浴びないように遮光し、強行する事にした。
今晩は朝まで快晴が続くので、割とゆっくり組み立てて、写真を撮ったりしてしばらく遊んでいた。徐々に明瞭に浮かび上がってくる満天の星は流石だ!ここの標高は1560mだったかな?標高は大した事はないが、山梨エリアの2ランク上の空が広がっている。あの自販機が無ければもっと凄いはずだが、、、涙
最近、割としょっちゅう遠征に行っていて、見るモノは変わり映えしない。(^^) ここのM33は流石で、時計回りに銀河の腕が渦巻いているのが分かるし、M31アンドロメダがこちら側に大きく腕を伸ばしていて、さらに手前の淡い巨大な光の帯がM110にまで届こうとしていて度肝を抜かれた。巨大な銀河が3Dに見える、、、ってそんな訳あるか?(笑)だいぶ昔にNinja-350で見せてもらったそれより、遥かに凄い。
燃える木もノーフィルターで木の枝が良く見えるし、馬頭もNAV-12.5HW(0.89°、112x、EP1.8mm)で見てみたらどうなのだろう等、いろいろ実験した。流石に射出瞳2mmを切るとHβフィルターを入れると真っ暗で何も見えない。逆にフィルターを外した方が、そこに穴が空いているのが分かる。20cm口径でノーフィルターで馬頭を狙えるのは双眼ならではじゃないかな?その後は冬の散開星団めぐりなんかを深夜2時頃まで楽しんだ。
手袋装着でiPadが使いにくい問題を解決!
タッチ対応とうたうどの手袋も、僕が試した限り赤の塩ビシート越しにマトモに使える物が一つもないので、仕方なく手袋に穴を空けて人差し指だけ素手で触っているのだが、氷点下では指がマジで寒い。それに指先が手袋の影に隠れて狙った所を触るのが難しく、誤タッチを連発する。もはやタッチスクリーンじゃ無い方が使いやすいんじゃないかと、Mac版のSkySafariで、MacBook Air+マウス操作を検討していた。
ところがエレコムのミニ・ボールマウスでiPadを操作出来る事を初めて知った!Bluetoothにマウスを登録して、設定>アクセシビリティ>タッチ>AssistiveTouchをオンにするだけ。これでポケットに忍ばせたボールマウスで、拡大、縮小、移動、Info閲覧等、手袋をしたまま超快適にiPadをリモート操作出来るじゃないか!
ポケットに入れておけば低温で誤動作する事もないだろうし、ボールマウスなので床面も必要ない。もしかしたらフルサイズのボールマウスを鏡筒に貼り付けておいても使いやすいかもしれない。これは革命だ!
スクショには写らない様だが、画面上に丸いポインタが出現し、タッチで出来る操作は全てマウスでも出来た。ズームもピンチせずともコロコロで超快適に触れる。これはイイ!ただMac版と違ってSkysafariのショートカットは無いので、ボタンにSkysafariコマンドを割り当てることはできない。(iOSの各種コマンドは用意されている。)
僕はこれを使っているが、物凄く小さく軽いのでポケットに入れておいても何の負担も無い。ケースまで付いている。もう製造終了しているらしく、これはもう在庫限り。
レコーディング・スタジオ御用達のケンジントンのフルサイズもiOS対応と書いてある。僕はこっちはiPadで試していないが、フルサイズの方が手袋装着時に操作しやすいかもしれない。でもポケットには入らないかな。
防寒を制す!
撤収する頃にはマイナス5度になっていて、無風だがやはり寒い。USBヒーター付き靴下を充電するのを忘れて(^^)、装着して間も無く電池が切れて足の指先がキツくなってきた。僕以外に誰も居なかったので、夜半には耐えかねてクルマに避難してエンジンをかけて暖を取った。
今回の乗鞍遠征で必要性を感じて、帰宅後にだいぶ以前から立てていた作戦をいよいよ実行してみた。
極寒地ではフル装備でも、クルマから出た瞬間からアウターを通して、ひんやり冷気が肩や腕から伝わってくる。バイクの寒さ対策も大変だが、天文も何時間も外気にさらされるので、時間の経過と共にダウンが冷やされ、ミドルレイヤーが冷やされ、見る見る体温が奪われていく。人間の放射冷却を1°でも止めるのに、アルミシートが劇的に効果があるのは実証済みだ。
コロンビアがこれに関する特許?かなにかを持っているそうで、熱反射ゴールドを貼ったアウターや靴などが充実している。着眼点が素晴らしい!僕もブーツはコロンビアのアルミシート付き(以前のシルバーモデル)を愛用しているし、オムニヒートインフィニティのダウンジャケットも一着買ってみたが、確かに温かい!
オムニヒートのインナーまであったので、これも注文してみた。(^^)
ただ、コロンビアは登山などの一般用途向けで、通気性や蒸れ防止などを配慮しているため、細かい穴が無数に空いていてアルミ使用率は全体の数十%に留まる。それと、どのアウターも内側にゴールドが敷いてあるのだが、確かに着た瞬間はこの方が温かいと思うが、僕の素人考えでは、アルミによって人間の体温を遮断、反射するため内側に貼ってしまうと、体温によって温かい空気層を形成するダウン本来の機能を発揮出来ない気がしなくもない。
なので、天体観測用途にはダウンジャケットの大外から、アルミ100%で覆い尽くすのが理想的なのだ。
それを実行する作戦がこれ。
雨用のポンチョの裏地に、アルミシートを貼り付けてダウンアウターの上から被るだけ(^^)。アルミだけ被っても微風でめくりあげられてしまうが、ポンチョの重みで身体に密着する。
ポンチョを選んだのは、何と言っても工作が楽だから。ポンチョの左右のボタンを外して開くとほとんど正方形になり、実に都合の良い事に、このアルミシートとほぼ全く同じサイズなのだ。
首を通す穴だけアルミの真ん中に空けて、アルミとポンチョは8箇所を安全ピンで止めただけだが、なかなか良さそうだ。被るだけなので脱ぎ着も楽だし、しまう時は丸ごとかなり小さく折り畳めてクルマのトランクに放り込んでおける。
これで少なくとも上半身の放射冷却はほとんど抑制出来そうだ。内側に電熱ジャケットでも着ていれば熱効率も格段に上がるはず。このアルミシートは望遠鏡に巻いているのと同じもので、望遠鏡も人間も極寒地ではホイル巻きが欠かせない?(^^)
ただ、足腰はポンチョと体の間に外気と同じ温度の空間が広がってしまうので、立っている時間が長いと恐らく効果は限定的だ。(座っていれば膝までアルミが密着状態になるので問題無し。)本当は上下に別れたレインコートだと完璧だが、レインコートの中にアルミを裁断して張り巡らす工作など僕には無理。
最初の予定では、裏地用に下のアルミポンチョを買っておいたのだが、乗鞍で寒くて試しに着てみようとしたら、首のサイズが小さすぎて無理に着ようとしたら真っ二つに裂けてしまって、一度も使う事なくゴミになってしまった。(笑)こりゃ耐久性が低すぎて駄目だ。二個も買ったのに、、、。
そして今回、一番寒さがコタえたのは足先だった。それなら、、、
コロンビアのブーツがこんなになってしまった。(笑)なんだか宇宙服みたいになってきた。
中にUSB電熱インソールが敷いてあるが、本当に冷え切ってしまうとブーツの底面から冷気がモロに伝わってきて、温かさのほとんどを冷気に奪われてしまう。コロンビアブーツも元々アルミが敷いてあるのはサイドだけ。それなら、、、
今度はインソールの下にもアルミを敷いてみた。これでゴム底から伝わる地面の冷気を遮断するのみならず、ヒーターが発した熱を床面から反射するのでさらに足を温めてくれる目算だ。USBヒーターの代わりに、ハクキンカイロ・ミニでも仕込んでおけば、煩わしいケーブルもいらないし、氷点下でも一晩中、足湯に浸かってる状態になるのでは?(^^)
面倒なのでブーツの裏面までアルミでぐるぐるにしてしまったが、このブーツは天体観測用に買ったので普段は使わないし、観測時も野山でそれほど歩き回ったりしないので、多分大丈夫なはず。
最初からアルミ敷きのインソール発見!ハクキンカイロとの組み合わせならこれで完璧。
アイピースの結露も防ぐ!
望遠鏡本体はレンズヒーターとアルミシートのおかげで一晩中、曇る事がなかったが、アイピースが失神し始めた。もう6時間くらい氷点下でアイピースケースを放置している。アイレリーフの長いMasuyama 32mmは大丈夫だが、Masuyama 26mmやNAV-12.5HWはアイガードに顔が触れるほど近づくのだが、そうすると人間の体温に反応してすぐにレンズに曇りが生じてしまう。放射冷却により空気の温度を通り超えて物質の温度が冷やされ、物質表面に露(結露)が付き始める露点温度に達しているのだ。
これを防ぐアプローチはアイピースもホイル巻きにするか、アイピースにも電熱線を巻くかだが、いずれも長時間経てば出番待ちのケース中で露点温度に達してしまう。なのでアイピースケースごとわずかに温めて、アイピースを外気と同じ温度に保ち露点温度に到達させない作戦を考えた。
昆虫用のUSBヒーター。
選択肢がいろいろあったが、熱し過ぎるとかえって像質劣化を起こしてしまうので、触ったらほんのり温かいくらいのヒーターが理想的だが、中には温度調節もできる様だ。いずれもまだ試していない。
発想を変えて、使用するアイピース全てに最初から熱線を巻いておくのはどうだろう?
これは50cmドブソニアンの津村さんのアイディアだが、使用するアイピースを全て接眼部にぶら下げておいて、アイピースを交換しても望遠鏡のバランスが変わらない画期的な手法を実現されていた。屈折双眼望遠鏡でもこれができるかも?と以前から妄想していて、眼の前にアイピースが並んでいるので交換が圧倒的に楽になるし、フィルターも含め全部のアイピースを一晩中温めておくのはアリかもしれない。
そして次なる双眼望遠鏡の候補が固まりつつある!
今回の乗鞍遠征は、ある実験を兼ねていた。射出瞳径の違いにより、どれくらい暗くなるのか、Deep Galaxyがどこまで見えるのかを調べたかった。何故なら、こいつの導入を本気で検討しているから。(^^)
鏡筒比較
185APO | 140APO | 120APO | Blanca125SED | TS APO150-37 | TSA120 | |
焦点距離 | 1,295mm | 980mm | 840mm | 975mm | 1,200mm | 900mm |
F | 7 | 7 | 7 | 7.8 | 8 | 7.5 |
重量 | 17.2kg | 10.9kg | 6.5kg | 7.3kg | 9.5kg | 6.7kg |
最大径 | 214mm | 168mm | 146mm | 140mm | 186mm | – |
鏡筒長【縮小時】 | 1,081mm | 735mm | 622mm | 779mm | 1,000mm | 870mm |
4799USD | 1999USD | 1499USD | 2848.74EUR | |||
価格 | ¥691,056 | ¥287,856 | ¥215,856 | ¥305,800 | ¥444,688 | ¥445,500 |
※1ドル=144円で計算
Askar 120APOの軽さとコスパがとても魅力的だ。3枚玉アポなので色収差も申し分ないだろうし、鏡筒が短いので飛行機遠征も現実的だ。それならAPM120SDを手放さなければ良かったのでは?というツッコミは無しでお願いします。(笑)
倍率=焦点距離➗アイピース焦点距離
F値=焦点距離➗口径
射出瞳径=口径➗倍率
これだけ知ってればとりあえずいろんな事が分かるが、つまり同じ口径ならF7だろうがF8だろうが同じ倍率なら同じ射出瞳になるし、同じF値ならどの口径でも同じアイピースで同じ射出瞳になる事が、十年目にしてようやく分かった笑。
TS Apo125f78なんてのもあって、Blanca 125SEDと同じOEMだろう。現状でも120APOとほぼ同価格帯。笠井さんが12月から大幅値上げとなった今、EURJPYがもう少し下がると送料を入れても結構割安になるかもしれない。MORE BLUE さんからカーボン三脚のスペシャルエディションなるモノも出ていて、カーボン厚が1.3mmから2mmと一気に剛性アップした様で物凄く気になっている。(^^) カメラや望遠鏡はいろいろ変わったとしても三脚は生涯の友となる事が多い。
それにしても乗鞍はちょっと遠かった。無理やり朝6時に神奈川に帰宅出来たが、居眠りせずに帰れたのは奇跡?そろそろ僕もジジイのカテゴリに入るのだから、無茶は禁物だ。(^^)
無料駐車場には自販機が設置されてしまったが、乗鞍BASEなど有料の美しい広大なキャンプ場もある。次回はゆっくりキャンピングカーでもレンタルして来てみたい。