L.K. ストロボ一式を準備する時間が無かったので、暗いビデオライト一灯で絞り開放で撮った。Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/60, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
Phase One、Hasselblad、マミヤなど、中判デジタル代表機器のフォーマットサイズを後学のために調べてみた。
53.9 x 40.4 mm
Leaf Credo 80、60、IQ180、160、H5D-60
49.1 x 36.8 mm
Aptus-II 7、P 45+、H5D-50
43.9×32.9mm(通称4433)
Aptus-II 8、Leaf Credo 40、IQ140、H5D-40
(参考:購入前に知っておきたい中判デジタルの基礎)
ライカSは、45 x 30mmという独自フォーマットサイズ。4433の縦横比違いと言える。
ちなみに近年話題の中判ミラーレス軍勢は、Fujifilm GFX 50Sが4433、5,140万画素。ハッセルブラッド X1D-50cが、同じく4433に、5000万画素だ。日本ブランドはしっかりスペック競争を意識してる様に見える。わずかでもいいから画素数が他社を上回る事が、商売上大事なのかな。
一般的には、大きいフォーマットサイズは風景やインテリア写真などに適し、小さい方はポートレートやファッションフォトなど人間を撮る時に選ばれる。主たる理由は同じ焦点距離のレンズが、フォーマットサイズが大きいほど広角になるからだ。サイズが増すほど売価が高くなる傾向はあるが、大きい方がエライという訳では無い。
ライカの技術者達が45 x 30mmを選択したのは、大衆向けと言うよりも、写真の本質に根ざした明確な理由があるはずだ。単にファイルサイズ的に撮影テンポの向上やPC上のワークフローの効率化だけでなく、ボディ重量、サイズの小型化や小さいF値のレンズを作りやすい等、様々なポイントを熟慮しバランスされている。その辺の深い事情に精通しない我々コンシューマーはツベコベ言わずに^_^、出て来る絵が自分の表現にマッチするかのみを作例から判断すればいい。
しかし中判デジタルに関する日本語の記述の多くは、ライカSに関しては「他よりフォーマットサイズが小さめ」と一言書かれているだけ。これらを読めば誰しも自動的にPhase Oneに興味は集約されるはずだ。(僕も以前、そうだった。)
Sのフォーマットが小さめと言っても、ちょっと拡大すると既に毛穴観察機の様相を呈していてる。有効画素数も現行ライカ・ファミリーが採用する2400万画素で十分と世界中のプロが証言する中で、Sは3750万画素。Sは確かに無茶苦茶なクロップも余裕という点で優位性はあるが、もうこれ以上の画素数は、僕は多分一生必要にならない。というかSの将来の後継機も、これ以上の画素にしないで欲しい。Sの7512 x 4992pxの16bit RAWデータをPhotoshopでちょっと加工してPSDで保存すると、一枚1GBの世界だ。
ちなみにカメラから出てくる圧縮DNG(Raw)ファイルは、一枚40MG前後。非圧縮は70MB前後だ。Mは一枚30MB弱。
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/60, ISO 800) ©2018 Saw Ichiro.
ライカSのシャッタースピードダイヤル
S-EのSSダイヤルは、見た目がMより大きいだけで基本はほとんど同じものだが、実はMには無い使いやすい部分がある。Mはクリック感が比較的重く、回すにはしっかり摘んで回す感じだが、Sはレリーズから人差し指をちょっと動かして、指一本で軽くクルクル行ける。ジョグダイヤルに親指を伸ばすのと速射性は変わらない。だからMの様に、露出は絞りでコントロールすべき、という理論はSでは当てはまらない。
そしてもちろん、ファインダー内に表示される露出ガイドの向きと、ダイヤルの方向性が一致しているので、ダイヤルを目視する必要も無いし、数値を意識する事もない。ファインダー内の矢印に従い、直感的に操作出来る。(ダイヤルの方向性は任意に指定も可。)しかもSも、目視無しでクルクルやり過ぎて誤って一周してしまうのを防ぐために、SSダイヤルの折り返し地点でクリック感が重くなるのはM譲り。人知れずこういう事に手間とコストをかけるのがライカの美点だ。
Kodak CCDセンサー特有の発色の良さはしっかりと健在(補正無し)。M10やM240などのCMOSライカでこういう発色にしたい時は、彩度を持ち上げる事が多かった。Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
Autoがあるのにわざわざ内蔵露出計に従いながらマニュアルで操作するのは、無駄な事の様に見えてメリットが2つある。一度露出を決めたら近しいシーンでは同じ設定値で撮り続けられるので、測光動作が一度で済む。
そして今撮ったプレビューを見て半段下げたい、等の修正が必要になった場合、Autoの場合、現在のSS値をプレビューで確認し、記憶し、SSダイヤルをAutoからクルクル回してそこに行き着いてから、マイナス半段する事になるが、マニュアルは圧倒的に早い。現状から1クリック回すだけ。
1ショット目の速射性はAutoの方が速いとも言えるし、予め現在の天候に合わせておおよそのSSをセットして待機しておく事で、事実上問題ないとも言える。その辺りは臨機に行ってみる。
(*追記)
もっと基本的な事がもう一つあった。例え露出が不足したとしても、ここでは1/45s以下にはしたくない、といった人間の意思を柔軟に反映出来る。(ファインダー内に現在のf値とSS値が数字が表示される。)
ライカには最長シャッタースピード設定なるものがAuto ISOの中に一応あるのだが、これがまた不思議な動作をする。そもそもISOをAutoにしないと使えず、しかもこの設定はカメラが露出不足と判断した場合は、人間が決めた値をカメラが勝手に割ってしまう。面白い事に、その事を指摘してもライカ社内部の担当の方は、これが正しいと言って聞く耳を持ってくれないそうだ^_^。実験してみたら、Sも全く同じ振る舞いだった。
ファームウェア
僕のS-Eは2.4.1だった。最新は2.5.0。最新と言っても2016年の秋公開だから、こいつはマップカメラの倉庫で一体どれくらいの期間、僕を待っていたのだろう^_^
何も問題なく、SDカードからファームアップ完了。アナウンスされている改良点は、アイスランドでのGPSの正常動作など。僕の人生設計ではアイスランドに訪れる用事は当面無いので^_^僕にはどうでもいいアップデートだが、その他細かいバグフィックスがなされていると嬉しい。(マニュアルフォーカス時でも、スリープから目覚めた直後にシャッターが切れないタイミングが、時々ある様な気がしていたが、そう言えばその後はその現象が起きていない気もする。)
縦構図
縦構図の際、Sはレリーズを下にして構えるのは無理と以前書いたが、それは嘘だった。(ゴメンナサイ)
Rankin氏。Leica Sムービーでも登場した、ファッション・フォトの有名人だ。シャッターボタンがボディ上ではなく前面に配置してあるため、レリーズ親指押しは厳しいのは確かだが、彼は人差し指で行ってる。この構え方を真似してみたが、やっぱり僕は人差し指が攣りそうになる^_^
彼の名言。
“People won’t come to you, You need to reach them, and you’re competing with other ambitious individuals who also want what you want. Find your edge and run with it.”
“I think the most important thing in photography is that your work survives the test of time.”
ichiroセルフィー。Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/30, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
Ilko氏のアイディアを元に、自分なりに工夫してみた構え方。左腕にカメラボディを載せて、腕を三脚として使い、さらにその左手でカメラを持つ右腕を掴んでいる。他から見れば訳の分からないコンガラガッた構え方だが、上半身全体が強固に固定され、効果は絶大だ。この構えじゃないと縦構図時には、僕の場合1/125sでもブレの危険を伴うが、今では1/30sまで候補に入ってくる。1/30sは相手の揺れも拾ってしまうので、最近は1/45s〜1/60sを僕は多用する様になっている。
僕はM10を使う時、どんなに暗くても1/60s以下にする事が無かった。その必要も無かった。Mならf1.4などが使えるし、ISOも好きなだけ上げれる。しかし中判ライカ・レンズの多くはf2.5なのだ。二段の露出差は大きい。SのISO100のザ・中判!的な緻密な描写も捨てがたく、SSで露出を稼ぐのは、Sユーザーにとっては重要なポイントとなる。
ライカの防塵防滴
今日は葉山地方にがっつり雪が降った。雪の写真を撮りたかったので、クソ寒い中、仕事をサボってカメラ片手に果敢に裏山に出ていった。^_^
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/4.0, 1/350, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
かなり吹雪いていて、ちょっと撮っているとカメラがビショビショになる。Leica Sシリーズは防塵防滴だが、よく見るとシーリングは完璧では無い。SDカードスロット周りはシーリングされていないし、「レンズも防塵防滴に配慮している」という遠慮がちなアナウンスをどこかで見かけた。過信は出来ない。
そこでだいぶ前に購入しておいたアイテムが役に立った。アクセサリーシューに装着した骨組みにマジックテープでビニールを止めるシンプルな機構だが、これが合理的でとても良かった。レンズに合わせて長さも伸縮出来るのだが、ここが途中で伸びてレンズの前に飛び出し、何枚かケラれてしまったが^_^、伸縮棒をテープで止めておけば問題ない。マジックテープの位置をちょっと変更して、Sのサイズに最適化する事も簡単にできそうだ。
濡れたビニール越しにファインダーを覗くため、精密なMFピント操作は厳しい。AFと勘のみに頼るしかない^_^。特にレンジファインダーは全然見えないのでMではこれは使えない。
さらに、これも以前購入しておいた自転車用ポンチョが、フォトグラファー用として完璧だった。膝近くまですっぽりカバーされるので裸で腰にカメラを携帯しても全然濡れない。そしてカメラを抜く時は、サイドにスリットが入っているため咄嗟の出し入れがしやすかった。なので手ぶらでカメラだけ腰にぶら下げて、大雪の中、傘無しで快適に散歩が出来た。(寒さに手がかじかんだが)これはクルマに常備する価値があると思った。カッコ悪いけど。
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/4.0, 1/350, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/4.0, 1/500, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.
Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/350, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.