先日購入したM2はSer.1086304、1963年製の様だ。フィルムを巻く以外、操作方法がMデジタルと全く同じなので、最初の一本目からまるで昔からM2を愛用してきたかの様に自然に扱えるのは、まさにライカの美点だ。
早速フィルム3本の現像が上がってきた。どうせフィルムで撮るなら思い切りフィルムっぽいやつを^_^、という事で以前から気になっていたAdox Color Implosionを求めたが、残念ながら既に世界的に入手困難になっていた。代わりにLomoのトイカメラ用?のColor Negative400&100、モノクロはKodak T-max400から始めてみた。Lomoはちょっと昭和感が残る、ガーリーな仕上がりになる、そして安い。もっと変態的な写りを期待したのだが^_^、予想よりは普通だった。
そしてフィルム4本目にして、お約束のM2のフィルムカウンターリセットを早速忘れた(笑)。現在進行形で今何枚目かさっぱり分からない。
フィルム3本中10枚程度、この様な露光漏れの現象が見られ、いきなりフィルム・ライカの洗礼を受けた。どうやら一定の条件下にて、シャッター幕に不具合があるらしい。自分より年上のこんな古いライカで本当に写真が撮れた事だけで嬉しかったし(笑)、酒の肴のつもりで買ったので完全動作しなくても触っているだけで楽しいのだが、ちゃんと整備した方がもっと楽しい事は間違いない。
ライカの先輩諸氏に様々に有り難いアドバイスを頂き、修理店もご紹介頂いたが、まずは正攻法に購入した所に相談する事に決めた。結局、レモンカメラさんに整備部門があるとの事で無償修理して下さる事になった。整備後に現像テストを行うため最大3週間かかるそうだ。気長に待つか。
せっかく貴重な修理店の情報をたくさん教わったのでまとめてみる。全部人伝の情報で実際は直接問い合わせてみないと分からない。
- 川崎 関東カメラ
修理オーダーが渋滞しているそうで、ある方がレンズのO/Hを相談したら半年かかると言われたとの事。Usedの販売も行っている。 - 横浜 大貫カメラ
横浜の老舗店。修理依頼については別の修理業者さんに依頼する様で、見積の回答には少し時間がかかる場合がある。 - 横浜 松村カメラサービス
大貫カメラさんが修理に出す業者さんのひとつで、見積即答かつリーズナブルに対応して下さるそうだ。 - 文京区 ウメハラカメラ
土門拳や木村伊兵衛!のカメラをリペアしていた人達がやっているベテランの修理屋さん。ニューヨークから取材にきてたりもして、ライカジャパンで修理不能なオールドレンズも対応してくれるそうだ。 - 銀座 レモン社
販売店だが自社で整備工を持っていて、今回も無償修理に対応して下さり、安心して中古ライカを購入出来る。
ちなみにライカ社にお願いすると本国送りになり、3ヶ月はかかるそうだ。
クラシックライカを人間露出で使うための考察
内蔵露出計を持たないクラシック・ライカは当然、露出を見る目が要求される。最初の数枚は露出計で確認したが、それ以降は昼間はほぼ全て人間露出計でチャレンジした。結構外したモノも数枚あったが^_^、ネガフィルムの場合はデジタルよりずっとアバウトで行ける。ブレッソンの逸話から考察したf8中心の法則で十分対処出来たという自己満足感はフィルムならではだ^_^。
この3本でフィルムのコツみたいな事もちょっと分かった。ネガはハイライトの白飛びが滅法強く、S-Eなら完全アウトな場面でもネガは全然へっちゃらだ。スキャンしたTIFFの露出を後から落とせば階調は余裕で復活してくれる。その代わり、アンダーに撮ってしまうと後から持ち上げてもノイズしか上がって来ない。
LEICA M2 + Summaron 35mm/f3.5 ©2018 Saw Ichiro.
この特性を利用して、露出に迷う場面では結構ラフにちょっとオーバー目に撮っておけば全然OKと学んだ。実際、f8.0, 1/125sだと屋外では半段〜1段くらいハイキー気味になる場面が多かったのだが、この場合は何の問題も無く後で微調整が出来る。つまり現場ではあまり露出を細かく追い込むより、ライカらしくシャッターチャンス優先で行けばいい。
逆にガッツリ日陰で露出が足りなくなった時には救う手立てがないので、ややハイキーだったとしてもやはりf8, 1/125sを基準で、日陰が占める割合が多ければf5.6、或いはf4.0まで開ける作戦で、しばらくは行ってみる。
(S-Eの場合は、逆に白飛びが異常に弱い。被写体の瞳あたりでオートで中央重点測光してるのに、おデコが白飛ぶ(笑)何度もこの特性にいじめられているので、仕方なく露出補正をマイナス半段入れて使っている。)
問題は、室内と夕方以降だ。ちょっと暗くなってくると僕はもうお手上げで、iPhoneの露出計アプリに頼りきりになってしまう。露出計アプリはいくつか試した中で、Lumu Light Meterが使いやすい。測光アタッチメントを買わなくても無料アプリだけで十分使える。ゴツいセコニックの入射光式より、Lumuの反射光式の方が実際使いやすい場面も多かった。
しかし実際に露出計アプリを使ってみると、一度iPhoneで写真を撮ってから、また同じ写真を今度はライカで撮る様なもので、作業的には実にアホらしい。ゴソゴソとiPhoneを取り出しパスワードを入れてアプリを探してと、無茶苦茶時間もかかる。なんとか全部目測で行けないものか。
M2で愛用しているズマロン35mm f3.5とエルマリート90mm f2.8は、どちらも明るいレンズとは言い難く、夕方以降はISO100は厳しい。取り敢えず基本はISO 400で行くとして、昼間の様な何か基準となるアイディアは無いものか。
そこで僕が考えた作戦はこうだ。
夜間・室内
本当の真っ暗闇にカメラを向ける事は普通は無く、何かしらの光源がそこにはあるはずと仮定し、それならば人工照明とそれに照らされる直近の周辺の露出を大凡把握するのがまず第一歩だ。
もちろん光源が60wだったり100wだったり、光源と被写体との距離も一定という事はあり得ないので、やや明るめに撮っておくというシンプルな作戦だ。大抵はこの方法で、大外しは防げるのでは無いか。
僕の持論は写真には、一箇所でもちゃんとしたハイライトが入っていれば行き過ぎたアンダーとは感じないと考えているので、光源自体がフレームに入る場合は、開放f3.5 ISO 400で考えると、SSは1/30sで十分な明るさを確保出来そうだ。
光源がフレームに入らない場合は1/30sではやや露出不足を感じるので、1/15sとなる。絶望的に暗ければ、1/8sを試す。f2.8レンズだったとしても明るくなる分にはネガなら後から救える範囲なのでSS値は同じでいいという、乱暴な仮説を立ててみた。
夕刻
太陽が沈む時間帯は5分ごとに露出が大きく変わるので、法則立てはなかなか難しそうだ。昼間の基本であるf8.0, 1/125s(ISO400の場合は1/500s)は日差しと日陰が半々のバランスで成立するので、夕日の直射を浴びていなければ、若干暗くなったと思ったらすぐにf4.0、或いはいきなり開放f3.5で問題無いかも。日が落ちるに合わせ徐々にSSを落として行き、黄昏時で1/30s、そのまま夜間の法則に移行する。
しばらくこの作戦で実験してみる事にする。
LEICA M2 + Summaron 35mm/f3.5 ©2018 Saw Ichiro.
フジカラープラザ逗子店
フジカラープラザ逗子店の店長さんがとても親切で、フィルム現像工程の一部始終をご丁寧な解説付きで、見学させて下さった。36枚フィルム二本まとめて機械に入れられる。実際に現像機が要する時間は14分。現像機では自動露出補正は入れる事は無く、必要ならプリンターで露出補正は入れる事があるそうだ。閉店間際に伺ったのに、すぐにその場で現像、当日持ち帰らせてくれた。
カラーネガのみ各支店で現像可能で、モノクロやポジは調布のフジフィルムの工場への郵送になる。現像コストもモノクロはカラーの倍額。それなら撮影は常にカラーネガを使って、スキャンで取り込んだ後でC1なりLRなりでモノクロに変換する方が安いし早い事に気がついた。その方が黒の濃淡も後から好きにコントロール出来るので自由度も高い。
フジフィルム調布工場いろいろサービスして下さり感謝が尽きない。今後はいつもフジカラープラザ逗子店にお願いしよう。
僕のELMARIT-M 90mm F2.8はシリアルから1972年製の第一世代。デジタルで使うと彩度、コントラストが淡くほとんど使っていなかったが、フィルムではこのレンズが水を得た魚の様に映える。f8.0でも背景が柔らかくボケてくれるので人を撮る時には重宝する。軽く小さいので持ち歩く負担も少ない。当面は35mmズマロンと90mmエルマリートの二本体制に落ち着きそうだ。
Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/60s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.