2019年9月29日 ichiro

Hasselblad X1D II 50Cと907X 50Cが気になる話

907X 50C

周囲のライカユーザー達が、増税前にこぞって新しいボディやらレンズやらを新調していて、それを見ていたら自分も何かを欲しくなってしまったのが間違いの始まりだ。(笑)またマズイ所に火が点いてしまった。タイトルの通り、ハッセルの新生デジタル中判シリーズに既に片足を突っ込んでいる^_^ あれこれと調べまくり作例を探しまくっているが、どうにも情報が少ない。個人の偏見に満ちた目で、少しここにまとめてみる。

初代X1Dリリースの頃から存在は気になっていたが、特にデジタル部分での未成熟な部分が当時の僕のニーズには合わなかった。しかしバージョン2となり、まだまだ完璧では無いがその辺りが許容範囲内に入ってきた感じがする。

X1D II

なんでハッセルなのか?僕の理由は極めてシンプルだ。「やっぱり中判写真が好き、でもLeica Sはデカオモ。なんだ、持ち運べるサイズのデジタル中判があるじゃないか。」

フジのGFXシリーズが最初から選択肢に入らないのは、同じ日本人として心からフジを応援したい気持ちもありつつ、僕はフジはまだだと思っている。それは失礼ながら、ブランドの成熟度がまだ発展途上にあると考えているから。堅牢なボディや全体のパフォーマンスはいかにも日本製で卒がなく、安定している事は知っている。

しかし「機能やボタンは多い方が偉い」という第一段階から、カメラであれテレビのリモコンであれ携帯であれ、不要なモノを削ぎ落とす次のフェーズ(シンプリシティの追求)へと人類は進化していく。

カーテンから差し込む夜明けの光。Leica M9-P, Summicron 50mm/f2.0  (ƒ/2.0, 1/24, ISO 160) ©2019 Saw Ichiro.

なぜ中判なのか。これも僕はごく単純な理由だ。階調がスペシャルだから。上の写真は徹夜明けにカーテンの光が美しかったので眠いのを頑張ってM9Pで撮ったものだが^_^、こういう写真は本当は中判の独壇場だ。きっと、階調の美しさだけで酒が飲めるw。

それと中判が映し出す物体の形が超スキ。特に人や車は断然中判が自然で美しい。世間ではX1DとSony αとの解像度対決ばかりやっているが、解像力は中判の特性のほんの一面に過ぎない。デジタル中判は僕にはむしろ解像し過ぎて、どうやって柔らかく撮るか工夫が必要だ。

注目していたXCD 1,9/80は、手に入る少ない作例から判断するに、F値から想像していたよりもずっと絵が硬く、乾いて見える。シグマっぽい?XCD 3,2/90の方が個人的にはナチュラルなバランスに見えるが、自分で実際に撮ってみない事には分からない。僕のレンズを選ぶ基準は、絵に潤いが感じられるかどうかだったりする。

ハッセル公式サイトより借用。(XCD 1,9/80)

XCD 2,8/65(ライカ判50mm相当)の作例も世界的に明らかに欠如している。特に「人」を撮った作例がほとんど無い。人を撮らないと数値化出来ないスペック外の真の魅力を判断しにくい。積極的に作例を見せる努力をしないと潜在顧客を逃してしまうよ?或いはアマチュア・コンシューマーに最初から興味が無いのかな。いずれにしても、Xレンズ・シリーズは基本はどれも超高解像度系と考えてよさそうだ。

その解決策として少々無茶な作戦だが、Mマウント・アダプタ経由でX1DにLeica NOCTILUX-M F1.25/75mm ASPH.を使ったら最高ではないか、と予算を度外視して密かな計画、いや妄想が進行している^_^。Apo Summicron 50を始め、様々なライカMレンズが、中判のX1Dでも一応は蹴られない事が分かったからだ。これは事件だ!(周辺は当然、レンズの設計上のスイートスポットから外れるので人様に推奨は出来ないが)

Leica NOCTILUX-M F1.25/75mm ASPH.

NOCTILUX-M F1.25/75mm ASPH.の作例を見た時、このレンズでライカは次のステージに行ったと思った。Apo-Summicron 50の時と同等か、それ以上の驚きがありつつ、その価格と重さで見なかった事にしていた(笑)パープルフリンジを打ち消す事に成功した事などをどこかの記事で読んだが、それだけでなく例え絞ったとしても「お!」と思わせる何かが誰の作例にもある。

NOKTON Vintage Line 75mm F1.5 Aspherical VMでも安くていいかな?なんていう僕の甘い考えに対し、ド級の差を見せつけられてしまった。価格もド級の差だが(ノクトン15本分w)、このレンズと共に残りの半生を共にする選択も悪くない。ライカファミリーの中でも最もセクシーな一本と思う。

ライカ公式サイトより(NOCTILUX-M F1.25/75mm ASPH. on M10)

75mmという焦点距離は日常では使用場面が限定されるが、中判では換算58mm程度の標準レンズとなる。もし多少蹴られたとしても、ハッセルはハッセルらしく、1:1のスクエアで使えばいいのではないか。これは一度ライカ銀座店にお願いして是非実験してみたい。(ハッセルボディのレンタルは早速申し込んだ^_^)

そうでなければ往年のハッセルVレンズシリーズが、柔らかさと解像度をバランスよく備えた素晴らしいレンズの宝庫だ。Zeiss Otus 85mm F1.4の使用実績もある。

 

レビューでは皆、口を揃えて遅いと言うが、僕はもっと遅かったLeica S-E(Typ006)で散々鍛えられているので、この速さなら全然OK(笑)起動時間はもうちょっと頑張って欲しいが。

問題は、同じセンサーの機種が二種類ある。Hasselblad X1D II 50Cと907X 50C。それぞれ魅力が異なり選び難い。

Hasselblad 907X 50C

907X 50Cの僕にとっての最大のメリットは、ウェストレベル撮影が出来る事。ファインダーではなく背面液晶を常時使う訳だが、このボディならやっぱり上から覗きたくなる。日中屋外でもピント見えるかな?両目で見る事で人間の左右脳をフル活用する事で、下手な構図も少しは改善する可能性もある^_^

しかしウェストレベル撮影は、スクエアだったブローニーフィルムでは問題なかったが、907X 50Cの場合は常に横構図しか撮れない(はず)。僕は基本は縦なのでこれはちょっと困る。アイレベルなら縦構図でももちろん問題ない。

シャッタースピード、ISO、絞り、全てタッチパネルで調整しなければならないと言うのもマイナスポイントだ。僕はストリートは基本やらないので大きな問題ないが、いちいち撮る前のお膳立てに時間を要する。公式サイトのムービーではダイヤル付き専用グリップやファインダーなどが装着してある映像もあったが、あんな機材が大げさになるなら最初からX1Dの方がいい。

Hasselblad X1D II 50C

旧ハッセルVレンズを使う前提なら、わざわざ907X+マウントアダプタを挟まずとも中古の500ボディを買い戻してデジタルパックをそのまま装着出来るし、Vレンズ内蔵のレンズシャッターが使える(はず)。(X1Dでは電子シャッター頼りオンリーになる)

X1Dはスリープ状態でもバッテリーを消費し続け発熱する問題を抱えていて、それなら907X 50Cは電子パーツは背面だけなので直接握っている手に熱が伝わらなくてまだ良さそうな気もする。

X1D IIのメリットは、サイズがよりコンパクトにバッグに収まり、2個のダイヤルで絞り、SSを目視無しでコントロール出来る点、そして素晴らしいEVFファインダーを装備している事だ。背面液晶はチルトしないのでウェストレベル撮影は不可。チルトしない分、よりボディを薄く、剛性を高く出来るのは重要なメリットでもある。

ライカレンズを使うなら、いずれにせよ電子シャッターとなるので両者同条件。(フジGFXならフォーカルプレーンなのでより便利に使えそうだが、、^_^)手が熱くなるのは夏場は嫌だなあ。スリープで置いておけないという事は結構深刻で、撮影前に毎回、デジタルライカで最も起動の遅いM240の倍近く待たされる事になる。5秒くらい。

電子シャッターはポートレートの際はモデルにシャッタータイミングが伝わらないし、常に歪みを気にしなければならないのも理想的とは言い難い。うーん、簡単にはゴールに辿り着けない。かなり惜しい所まで来ているが、もう一世代待つべきなのか。。。

そもそもマニュアル・フォーカスレンズを使う場合、僕にとってレンジファインダーが圧倒的に速いし確実な事も、ライカばかり使っているとつい忘れがちなMの美点だ。僕の視力ではEVFだと最後の詰めが判断出来ず、毎回いちいち拡大してピンを確認したくなってしまい大幅に手間取る。

最初からハッセルのXレンズが最高ならAFも使えるし多くの懸念を払拭出来る。レンタルしてじっくり自分の目で確かめてみるしか無い。

デジタル・ハッセルの絵作り

このムービーは前バージョンの初代だが、バージョン2もセンサーは同じ。

肝心の画質は、マップカメラのX1D IIデモ機で少し遊んだ感じでは、第一印象はコントラストも発色もライカよりもずっと控えめ。

「素材は薄味にしておく階調優先主義が私達のポリシーです、あとは好きにレタッチしてね」という様な、自由度を撮影後により多く残してくれてるイメージだった。極めてニュートラルで、もっと良く見せてやろうという主張が無い。悪く言えば、総じてライカより地味な絵作りだが、真の実力は目の肥えたライカユーザー達を唸らせるモノがあるはず。

PHOCUSという現像アプリを自社開発している点も、色味を含め仕上がり全体が完璧にブランドのコントロール下にある点が、ハッセルの優位性でもある。Capture Oneほどの自由度は無いかもしれないが、この点がライカと決定的に異なる。LeicaはAdobe Lightroomに頼る事で、特にM10やSLはだいぶ損させられていると感じている。Phocusモバイルにより、USB-C直結でiPadによるテザリングも充実している。Leica Sの場合、別売の専用テザリングUSB2ケーブルに3万円取る^_^。

これらは十分にビビッドだが、テザリングの設定をよく見ると結構コントラストを上げている。

僕は本当にX1D IIに行くにしても恐らくブラックボディを待つ事になるが、いずれにせよテストシュートが楽しみだ。

(2019年9月30日更新)

このワンちゃん写真は、X1Dユーザーの先輩の鈴木 彰さんが送って下さった。レンズはNoctilux 50mm/f0.95、ノークロップだ。全く問題なく見える。これほどマージンを広く取るライカの完璧主義に乾杯!スズキさんありがとうございます!スズキさんが送って下さったHC 2,2/100mmの作例も。

XCD 3,2/90よりも線が柔らかい?個人的には90よりマッチするかもしれない。

さらにX1D+Carl Zeiss Otus 1.4/85。スズキさんは素晴らしいレンズやカメラをたくさんお持ちで羨ましい^_^

「AF駆動音とシャッター音はライカから比べるとびっくりするほどうるさいです。熱もかなり熱くなりますが45分間で350枚のペースで撮影しても暴走したことは無かったです。PROFOTO A1のニコン用でTTL撮影できます。」との事だった。ただし、電子シャッターではストロボは使用不可との事。つまりスタジオ撮影はライカレンズもオールドVシリーズも使えない。これは僕にとっては結構重大な情報だ。

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