スタジオで撮影した本編Aロールの合間に、逗子、葉山で撮影した素材をところどころ混ぜてみた。たまたま鳥が目の前で水浴びしてくれた!カラグレはDavinci Resolve。KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, GF120mm F4 R LM OIS WR Macro ©2022 KIAI Co., Ltd.
久しぶりにカメラの話題を書いてみる。あれだけLeicaを押しておきながら結局僕はFujifilm GFX100Sに完璧に落ち着いている(笑)様々なご縁で、ビデオや写真のお仕事を時々頂ける様になったりして、GFXから動く気がないのはマクロ用途と動画目的に依る所も大きい。
KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, GF120mm F4 R LM OIS WR Macro ©2022 KIAI Co., Ltd.
今日紹介させて頂くのは株式会社KIAI様のウェブサイト用に納品したモノだ。全ての写真、動画はイチローが撮影させて頂いた。国内屈指のルースの買付、卸の会社様で、取引先がルイヴィトンとかだったりして(汗)中にはLeica M型100個分以上?のプライスタグだったりして(大汗)この様な超高級品の撮影を任せて頂けるのはこの上無い誉であり、こんな画素数いらんと持て余していた中判1億画素が水を得た魚の様に活きる。
株式会社KIAI様
https://kiai-co.com
よかったら奥様に、お一つ如何ですか?(^^)
KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, GF120mm F4 R LM OIS WR Macro ©2022 KIAI Co., Ltd.
フジ中判GFX純正マクロは他のマクロと比較してイイのか?何が違うのか?今回は動画、ブツ撮り、モデル撮影、いずれもGF120mmで撮影した絵だ。どういう訳か、GF120mmのレビューは世界的にも極端に少ない。人気ない?(^^) f4.0だからかな。このページが検討している誰かの参考になれば嬉しいです。比較という訳では無いが、以前、100mmマクロ対決をやったContax Makro Planar 100mmの写真もいくつか載せてみる。
ジュエリーマクロ撮影は一枚につき準備だけで2時間くらいかかっている。反射の細かい映り込み方などチームでアホほどこだわり、石の特定のカット面を光らせるのに複数のライトやミラーを使った。静止画で物質の立体形状や魅力をちゃんと伝えるのは動画より難しく、これ以上は無理と全員が納得するまで決して終わらない(^^)
今までいくつかのカメラでジュエリーを撮らせて頂いたが、リッチな階調表現や空間のゆとりなど、中判で撮ったらどんなに美しいだろうと、考えるだけでワクワクする(^^)。しかし実際使ってみると、特に等倍マクロの場合は被写界深度が浅すぎてフルに絞ってもボケボケで被写界深度が全く足りない。絞りすぎても回折現象による像質劣化は勿体ない。そのためにフォーカス・ブラケット(深度合成)も多用していて、少しづつピントをずらして数十枚撮影しそれをPhotoshopで合成する様な事をやっている。
毎回、直前に超音波洗浄してもらっているのだが、その2時間の間に付着したミクロな無数のチリなどを撮影後に除去する。Dカラーexcellentの文字通り最高品質のダイアモンドの煌めきを、写真でひと目でそれと伝えるにはどう表現すればいいのか、僕なりに随分研究した。まだまだ結論めいた解は無いが、数十点撮影するのに2ヶ月以上要した。
KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, GF120mm F4 R LM OIS WR Macro ©2022 KIAI Co., Ltd.
モデルのスタジオ撮影も面白かった。ウクライナのアンジェリーナをインスタでみつけて声をかけた(^^) 1日で3シーン、それぞれスチールもムービーも撮る。大勢が関わるので人生初の香盤表なるものも書いてみた。w
モデルも超カッコいいし衣装さんもヘアメイクさんも最高だし、カメラマンの腕はともかく(^^)どこをどう撮ってもカッコいい絵は保証された様なものだ。
撮影は品川のK’S Studioさんで、イチローの質問攻めに対しスタジオ・オーナーの石井さんも懇切丁寧にご指導下さり、構図の添削のピーチ先生も現場に連れていって彼女のお告げに忠実に従ったりして(笑)、チームのお陰でなんとか乗り越える事が出来た。ありがとうございました!またこのチームで何か撮りたいなあ。
ミッション初日はマクロプラナーで挑戦した。KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, Contax Carl Zeiss Makro Planar T* 100mm F2.8 ©2022 KIAI Co., Ltd.
ジュエリー撮影のため新旧いくつかマクロ・レンズを試してきたが、冒頭の問い「純正GF120mm F4 マクロはイイのか?」に対するイチローの答えは、迷わず「YES」だ。
マクロプラナー100 f2.8のやるオーガニックな質感も大好きなのだが、最新のGFX専用マクロと比べるとそこは流石の現代レンズ。一枚ウワテだった。なんというか、絵によどみが無いというか、よりピュアで鮮度が高い感じがした。今までは良く見えなかった脇役?な位置づけの小さなダイアのカット面の一枚一枚が明確に解像してしまい、かえって撮影者のハードルが上がる。(笑)
映りだけでなく、フォーカス・ブラケットも均等間隔で自動でやってくれたり、近代撮影がとても楽になった。それまではMFレンズでちょっとづつ回しながら手動でやっていた(^^) その代わり、デカくて長くて重い。バランスが思い切り前に偏る。
中判1億画素によるマクロ撮影は相応に厳しく、レリーズは電子シャッター必須だ。そうしないとGitzoシステマティック3型だろうがボディとレンズを2点固定しようが、レリーズの振動を拾ってしまってシャープネスが少しだけ甘くなる事が見えてしまう。シャッターはもちろんテザー経由でCapture Oneで切る。呼吸を止める様なシビアな世界で、この修業期間は本当に学びが多かった。
KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, GF120mm F4 R LM OIS WR Macro ©2022 KIAI Co., Ltd.
これは釣り糸で吊るして一個づつ個別に撮り、それぞれフォーカスブラケットで数十枚合成した後、さらに3個を並べて合成し、地味だが影も別に撮影してさりげなく合成して作っている(^^) 全レイヤーが1億画素のため最終的なPSDファイルサイズは恐ろしい事になる。背景を真っ白にするために背後のスクリーンの裏からもう一台ライトを照射した。
GF120はハーフマクロだが、FUJIFILM MCEX-45G WR マクロエクステンションチューブ 45mmと組み合わせる事で等倍撮影も可能だ。電子接点付きのただの筒でレンズなどは介さないが、少し暗くなる。画質も素のGF120だけの方がちょっとだけイイ気がしないでも無いが、純正等倍マクロの選択肢は他に無い。
KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, Contax Carl Zeiss Planar T* 85mm F1.4 ©2022 KIAI Co., Ltd.
スタジオには常設プールがあり、10cmお湯を張ってもらった。リングが光っているのは後加工ではなく、キラキラ・フィルター装着の奇跡の一枚(^^) キラキラフィルターをつけると、ただでさえユルフワの古いプラナーからさらにソフトな絵になる。冒頭の動画もこのフィルターを使っていて、映画っぽい浅いコントラストの質感が個人的には好みだ。
モデル撮影もほぼGF120、たまにマクロプラナー85mmだが、いずれも人もアクセサリーも両方アウトフォーカスさせたくないので、ほとんどがf8〜f11で撮っている。f8.0でも被写界深度が足りずに度々f11に修正した。その意味ではポートレート用としてGF110mmF2 R LM WRも魅力的だが、僕の場合はGF120mmの方が用途が広く出番が多いだろう。GF120のAF速度は、モデル撮影においても個人的にはこれで十分で、旧型のLeica S-Eのそれから比べたら感涙モノだ。手ブレ補正も強力で1/125sあれば、手持ちでテキトーに構えてもブレが発生した写真は一枚も無かった。
サイト内で使っている別の動画では、ジュエリーは電動回転台、カメラに電動スライダー、照明には手動スライダーでいろんな物を複合的に動かしまくってみた。(^^)
電動スライダーはRhino ARC IIを米国に発注した。予想はしていたがデジタル中判+マクロではやや荷が重い。他の選択肢も非常に限られていて選ぶのが難しい。しかも日本語圏では情報がほぼ皆無。以前、何かでレンタルしたifootage Sharkスライダーよりは振動の問題はずっと軽減された。そのうちタイプラプスなども挑戦してみたい。
DaVinci Resolve 17はデフォルトでFujifilm f-log 入力カラースペースに対応していて手軽にLog撮影、現像、カラーグレーディングが行える。ただし、カラーチェッカーはGFXではワンタッチで補正する事が出来ず、仕方なく実物のカラーチェッカーと画面上で目で彩度や色相をイジリ倒してイチローカラーを作った。これ、何か方法があるのかな?
それからムービー撮影にGFX100Sを使う場合、重要な注意点がある。撮影当時は特に気温が高い時期ではなかったが、頻繁にカメラの熱上昇により撮影が中断されるのだ。しばらく撮っていると15分くらい?で警告メッセージが出る。仕方なく撮影を一時中断して、アイスノンを可動式の背面液晶とボディの間に挟んで一服する事になる。
強制的に中断させられた事は今の所無いが、長尺のムービーはGFXでは撮れないと考えた方がいい。僕の用途ではそれほど大きな問題では無いが、Fujiはちゃんと事前にアナウンスしておかないと、これはクレームになりかねない。スチール撮影はもちろん何時間でも問題無い。
以下撮影用に揃えた便利グッズ。
テザー撮影では撮ってみないと見れないが、ビデオモニターの場合はスチール撮影でもシャッターを切る前に複数人で画面をシェア出来て重宝した。
ビデオモニター・バッテリー
軽いライトスタンド。僕はロックナット式を選んだが、操作感がイマイチで回転方向もGitzoと逆?回すたびにどっちか迷子になる。フリップ式にすればよかった。
カメラ・アーム。SmallRigのスーパークランプと合わせて、自由な位置にライトやミラーを固定しておけるジュエリー撮影の必須アイテム。
照明用小型ライト。超便利。
アームに掴ませて固定するミラーとして最高のものを発見!落っことしても割れない金属素材。
GFX100Sで撮影する様になってから、GFXが最高?かどうかはともかくとして、僕の心のどこかにあった高画素機、高性能機へのモチベーションをすっかり失ってしまった。もっと良いカメラ?いやいや、それより高めるべきは自分の感性の方だろう。だから以前ちょっと気になっていたLeica M11とかPhase Oneとかへの興味は今のところ無い(事にしている)。
ところがこの夏、僕が主催する星見の会にご参加下さる予定の先輩が、M11を持参すると言われる。そしてイチローのライカ復帰を目論んでいると仰る(笑)とても危険なので決して触らせてもらわないと心に決めている(^^)。
KIAI – fine Jewelry / FUJIFILM GFX100S, GF120mm F4 R LM OIS WR Macro ©2022 KIAI Co., Ltd.