このブログを読んで下さっている方から、ご質問を頂いた。
僕は望遠鏡を売ってる訳でも無いし、僕に何の得がある訳でも無いのだが(^^)、こんな拙い素人記事を一生懸命書いてるのは、双眼で覗く宇宙の感動を多くの人とシェアしたいからだ。双眼望遠鏡・愛好家としては是非何でもお伝えしたいし、このブログがキッカケとなって双眼望遠鏡を手にする人が出てくれたら、僕にとっては最高の喜びだ。得は無いが、徳を積んだ事にはなるかな?(^^)
一番最初に双眼望遠鏡が欲しくなった時には僕も山程疑問が湧いたが、当時僕が何を知っていて何を知りたかったのか、もはや思い出せない。恐らく頂いたご質問は多くの未来のユーザーが知りたい内容だろうと思ったので、御本人の許可を頂けたので、実際のBINOユーザーとして僕なりにお答えさせて頂きます。
1. 現在,Askar120APOか,SVBONY SV550かで悩んでおります。メガネのマツモト様のEMS使用時,3.3inchと2.5inchのフォーカサーの違いは大きいでしょうか?
見比べた事が無いので、あくまで理屈上の話です。
例えばAskar 120APOの鏡筒径の場合、EMS-ULなら165mm、目幅ヘリコイド無しのEMS-UXLの場合は180mm光路長を消費する訳ですが、つまりその長さを賄える分鏡筒を短縮するとオリジナルの設計よりも早い段階の(より太い)光束がフォーカサーを通過する事になります。フォーカサーの内径が光束に干渉すると、実際に口径が蹴られないまでも、口径食により周辺減光の原因となり得ます。
ただ、それが実際に覗いてみてどれくらい差があるのかは、松本さんも実験した事がないそうです。明確な違いとなって現れるかもしれないし、眼視では全く気にならないかもしれません。F5などF値が小さな鏡筒ほど光束の変化幅が大きいため、双眼化の際はより太いフォーカサーが望ましいはずですが、F7ではそれほど大きな影響は無いかもしれません。
2. ブログには,SV550の記載もありましたが,何か,比較はされましたでしょうか?
SV550を覗いた事はありません。ただSVbonyのフィールドスコープは覗いた事がありますが、素晴らしい像だったので全く心配していません。
スペックを読み取っているだけですが、口径122mmのモデルは恐らくAskar 120APOとほとんど同じ見え方をすると想像しています。Askarより更にリーズナブルなので、最初の1台としてベスト鏡筒の一本と思いますし、恐らくこれ1台で月も惑星もDeep Galaxyもすっかり満足して一生遊べるオモチャになると思います。値段の高い鏡筒よりもむしろアイピースに投資した方が費用対効果が大きいとも思います。
もう一度よく見たら、SV550(Amazon Link)はAskarの様な鏡筒分割システムが無いようですね。お手持ちのアイピースによっては、焦点距離が足りずに鏡筒切断加工が必要になる可能性があります。
あれ、よく見たら、アマゾン直輸入の業者が復活してます。Askar 120APOが特価ですね。(^^) SV550より安い!これはAskarを選ばない理由はないかも。ちなみに僕もここで2本買いました^_^。
3. Askar120では,内部迷光処理の記載がありましたが,この対策は 容易でしょうか。
難しかったです。てか、僕は失敗してレンズの内側を汚しました(笑)
しかし眼視や電子観望で用いる場合は、迷光処理は不要という結論に至っています。僕のAskar 120APO-BINOは結果として片側だけ迷光処理されていますが、左右差は本当にどうでもいい違いしかありません。昼間の明るい景色をよーくあら捜しして少し違うかな?程度の話で、天の川を散策する際の影響は皆無です。
4. Askar120の焦点距離について、私の使用として,時に双眼状態で眼視,時に単筒で電子観望を考えています。ブログでは,焦点距離の遠さに関して書かれていましたが,なにか特別の方法を取られていますか。
何もしていません。ただ、EMSを松本さんにお願いする際に、僕の手持ちのアイピースから逆算してEMSアダプターを適切な長さにして頂きました。
電子観望の際は、Askar 120APOは延長筒を付けてフォーカサーを思い切り引き伸ばしてギリギリな事と、延長筒を持ち歩くのもつけ外しも面倒なので、僕はEMSの2インチバレルに直接カメラを突っ込んで使えばいいやと思っています(^^)。そう思いながら、僕は目で直接見る方がずっと楽しくて、あれから一度も電子観望していません。全く使わないのでカメラも売ろうかと思ってるくらい(笑)。
5. マツモト式中軸架台について 眼視の際に使用したいと考えています。延長ピラーをカットされたのは,軽量化のため,でしょうか?
もちろん軽量化もしたいですし、荷物も小さくしたいですが、可能な限り短い方がそもそも振動や剛性に有利です。それに三脚天面高との兼ね合いで、覗く際の接眼部の高さが変わります。天頂を見る時と水平時も見口の角度と高さが大きく変わるので、事前に三脚とセットで想定しておく必要があります。
しかしその前に、松本さんの中軸架台はもうラスト1本か、完売してるかもしれません。延長ピラーも在庫は無いはずなので、どうしても欲しい場合は、菓子折り持って鳥取のメガネのマツモトに直接訪問して懇願してみて下さい。(笑)無理かもしれませんが。
6. 汎用目幅スライダー台座について 多くの子供たちにも双眼望遠鏡を見てもらえるようにしたいと考えています。この台座もマツモト様での作成でしょうか?加工は,いくら位で可能でしょうか?
はい、もちろん松本さんです。松本さんの制作速報を過去にさかのぼってご覧になってみて下さい。様々な神情報が出てきます。費用は忘れましたが4〜5万円ほどだったと思います。EMSの目幅ヘリコイドオプションと同価格に設定したと仰っていたと思います。(同じ役割のため。)
ただあまり最初からバリエーションを求めると松本さんに叱られる可能性がありますので笑、いずれかに決定してお願いする方がスムーズと思います。僕も今まで何度も叱られて育ちました^_^ この目幅スライダーをビクセンフォーク架台に載せて使うのが最も現実的と思います。
7. コスト的な面でEMS-ULとして,広視界アイピース(Nikon NAV-17HW)にお金を回したいと考えていますが,EMS-ULとNAV-17HW の組み合わせで,不都合はありますでしょうか。
全く問題無く使用出来ます。
出来ますが、実際にNAV17を手に持ってみると、イーソス等に慣れ親しんだ方でなければ、その余りの大きさと重さに絶句すると思います(笑)軽くて小型のULに接続してみると、心もとない気持ちになるかもしれません。
EMSと鏡筒は3箇所のネジを手回しで止めるのですが、この部分が緩むと、アイピースごと傾いたりします。内側に傾く分には戻すだけですが、外側に回転したらアイピースごと脱落する事故になりかねないという懸念は、ゼロではありません。
UXLの接続部分の径は90Φあるため固定力が強く、重いアイピースを載せた際の、剛性や見た目の面で有利ではあるのは確かです。でも、UXLも在庫はもう数えるほどしか無いらしいです。ULで大丈夫ですが、時々緩みが無いかチェックして下さい。
8. 時に双眼状態で眼視,時に単筒で電子観望をしたいのですが,EMSをつけたり外したりするのは,現場でも可能でしょうか。EMSの取り外しは想定されているものでしょうか。
EMSの脱着はいつでも可能です。戻すのも超カンタンで精密さも不要です。20cmF5-BINOは、毎回EMSをバラして運んでいます。
ただAskarで電子観望する場合はEMSを外して、さらにフォーカサーも外して、延長筒を付けてから、フォーカサーを戻して、カメラまでのアダプターを2,3個つけて、と実際には面倒でやってられないかと(^^)。ご心配ならEMSにカメラをぶち込むのと鏡筒直接接続と写真を撮り比べてみるのも一興ですが、僕は電子観望はオマケ扱いなので楽な方でいきますw。
9. まず気になるのが、双眼での口径の差です。100mmか、120mmか。実は今もまだ、悩んでいます(笑)。そのうち、大口径ドブソニアンが欲しくなるでしょうから、双眼は、機動性を重視して100mmから始めるのもありかと、、、コスト面での敷居も低いですし。
はい、よく分かります(^^) 皆の永遠のテーマです。それを考える時間もまた、楽しいですね。
双眼の10cmと単眼の10cmは別次元です。倍の口径を凌駕したという話はあちこちで聞きますし、本当です。こんな暗い天体が10cmで?という体験を何度もされると思いますし、何でも素晴らしくよく見えます。左右脳内コンポジットの威力は絶大です。
EMS双眼視から得られる感動は15cmでも20cmでも全く同じです。7cm、8cmツインも所有していましたが、本当に楽しくて気に入っていました。
Borg71FL-BINO。隣にいた40cmドブの先輩がこのミニBINO+イーソス13が魅せるM42に驚いて、本当に欲しくなっちゃったと唸っておりました^_^
初期コストが格段に下がりますし、何より双眼の醍醐味はリッチフィールドです。広角視界が得られるアドバンテージは、積極的に小口径を選ぶ動機になります。
ただ、もっと口径があるとどう見えるだろう?という知的好奇心は、人間誰しも起きると思います。10cmが届いた時が、葛藤の日々のスタート地点になる可能性は否定出来ません(笑)。本当は10cmを12cmにした所で、大して変わりませんけどね^_^
よほど思い詰めない限りw、BINOを2個も3個も普通は揃えられませんので、月面も惑星もDeep Galaxyも全部1台でこなせるものがやはり良いとする結論ならば、精神的に12cmが事後の散財を防ぐ良い塩梅かもしれません。^_^
或いは、別の作戦もあります。
メガネのマツモトサイトより
いきなり最大口径からこの世界に入ります。先に15cmF5-BINOを松本さんに作って頂いて、それでDeep Galaxyを中心にとにかく散々楽しんでから考えます。アクロマートでも、月も土星も感動的によく見えます。実際、全然問題ありません。実は僕が今一番欲しいのが、巡り巡って、このBINOなんです。こんな手軽な大口径双眼は、他にありません。
そしてどうしてもアポの絵が気になって夜も寝られなくなったら、その後にF7以上の8cm〜のアポを導入する作戦です。
先に大きい方から、がポイントです。後から小さい鏡筒を追加する分には、架台は15cmの時に用意したものに乗せられる上に(バランス取りは適当に工夫するとして)、うまくすればEMSすら共有出来るかもしれません。
宮内光学のフラッグシップ、BR141というフローライト口径14cm、F4.4というぶっ飛んだ市販BINOがかつてあった。倍率25倍固定、実視界は2.4°でいかにも楽しそうだが、F4.4という超短焦点から収差は避けられない。これに対し15cmF5 BINOはマスヤマ32で23倍で3.6°の広視界が得られるし、NAV-17HWを合わせればBR141とほとんど同じ実視界2.3°で44倍が得られる。
ちなみに僕はドブソニアンは欲しくありません。2インチ双眼装置が現実的では無いと分かったのと(重量で光軸がたわんでしまう)、面光源の光量は口径とは無関係と分かったのもあります。分解能と主戦場の倍率が異なるので楽しめる対象が変わりますが、新月期には誰かしらドブを持ってきてるので、見せてもらえばいいやと割り切っています。(笑)
陰ながら応援しております。楽しく悩んで下さい!(^^)