写真はたしか、去年の小淵沢の観音平駐車場。
今週の日曜日に初挑戦の予定なので、ちょっと真剣にプランを練ってみたのでシェア。完走ルートには色々選択肢があるが、従来の様な人間による手動導入ではなく、電子ディバイスによる導入支援、或いは自動導入の電子観望システムでメシエ・マラソン参戦するための合理的な方法を考えてみた。(暇なのか?自分、、)
電子観望のためのルート
具体的には、天体の移動距離よりも高度優先。19時スタート時には、既に高度30°を下回っている天体が複数ある。近場を一層してから次のエリアに移動するのでは無く、特にスタート時はとにかく先に沈む対象から先に導入していく。電子観望で得られる写真は少しでもマシな方がいい(^^)。
それから自動追尾しにくい、天頂付近に対象が来ない順番を工夫したのが、このプランの一番ユニークなところだ。普通、M46、47、48と来たら、そのまま最短ルートでM44、67を経由してしし座→おとめ座に行きたくなるのだが、それをやってしまうと次に経由しなければならない北斗七星周りが、その頃にはど天頂になってしまう。下記のルートを取る事で、見事に全ての天体を高度80°以下で回れる!(はずw)
まだSkySafari上で検証しただけなので、どこにどう無理がかかるのか実際やってみないと分からない。
レイヤー構造
一晩を10のステージに分け、レイヤー構造で考える。
- 19時 西のレイヤー1
- 20時 西のレイヤー2
- 21時 西のレイヤー3
- 22時 北斗七星
- 23〜0時 銀河団
- 1時 しし座
- 2時 東のレイヤー1
- 3時 東のレイヤー2
- 4時 東のレイヤー3
- 5時〜薄明 地平線
沈みゆく西の空の高度30°以下をレイヤー1、その上をレイヤー2としていって、北斗七星レイヤー、おとめ座周辺の銀河団レイヤー、しし座レイヤーを経て、あとは東から上ってくる連中を高度順に階層分けし、高いレイヤーから一網打尽にする寸法だ。導入支援のためにアライメントをどこのタイミングでどの星でやるかも、まあまあ最短と思われるルートを考えた。
レイヤー分けしておく事で、途中雲が被ったり順調にルート通りに進めなかった事態のために、レイヤー順序を入れ替える事でタイムロスを最小限に抑える。また、視野が2°のアイピースやカメラで同一視出来る対象はまとめてある。
観望場所
メシエマラソンに参加したいと思った時に、最も困るのが観望場所だ。真っ先に西に沈んでしまうM74が、周囲が暗くなる頃には既に20°付近。明け方、既に明るくなっている東の空で最後のM30を見なければならないが、太陽が地平線から顔を出す瞬間でも5°しか高度が無い。(3月10日のシミュレーション)つまりメシエマラソンを完走するためには、
西の空 20°弱
東の空 5°
まで見渡せるスポットが必ず必要で、そんな場所がこの狭い日本のどこにあるのだろうか。関東近県で真っ先に思いつくのは伊豆半島。半島の東西は海なので、うまい事探せば相当良い場所があるだろうし、南に行くほど空も良くなる。大先輩にアイディアを聞いてみた所、早速有益なアイディアを沢山教えて下さった。
空の暗さは
ユウスゲ公園 ≧ あいあい岬 ≒ 仁科峠 > 多賀パーキングエリア > 滝知山
という事で、滝知山でも条件がよければ宵の難物M74は見えるので、メシエ天体の範囲なら問題ないそうだ。まさしく先人のお知恵!有難き幸せ!
ベテランのアドバイス
この観望場所のアイディアを教えて下さった川合さんは、地上の地図だけでなく宇宙の地図もすっかり記憶されている!メシエマラソンにあたり、物凄く有益な情報を沢山教わった。ありがとうございます!御本人の許可を頂いたので、各項目でほぼ全文を紹介させて頂きたい。(川合さんをご紹介下さった大沼さんにも深く感謝申し上げます!)
ちなみに川合さんはフローライト14cm対空双眼鏡(宮内光学BR141、倍率25倍、実視界は2.4゚)をお使いで、導入支援どころかファインダーすら使わないと言う。SkySafariに教えてもらわないと何も導入出来ない僕などは、なんと軟弱な事かw。
明晩はメシエマラソンに挑戦されるのでしょうか? あれは何の目標も立てない限り(たとえば捕捉した対象は必ず撮影する等)導入して見てしまえばそこまでですので、なるべく逃さないために見る順序を工夫する等の手段を講じるなどしてできるだけ多くの対象を捕捉することが自ずと目的になります。私から申し上げても蛇足に過ぎないことは承知で、一つでも取り逃がさないために念頭に置くべきことをいくつか申し上げます。明晩多少なりともお役に立つようでしたら幸甚です。(以後、水色フォントが川合さん談)
メシエ天体は全部で110個ありますが、M40は近接した恒星、M91とM102はメシエ(M102はメシャン)の記載と明確に対照できる天体がなく暫定された天体であるという理由からこれら3対象を除いた107対象で競う場合が多いようです。
まず基本中の基本ですが、西の地平線へと逃がしてしまったら取り返しがつきません。非常に北に片寄っている対象は夜明け前に再度見やすくなることもありますが、夜明け前には夏の天の川沿いの対象の導入で忙しくなるので宵に見える対象は宵のうちに見ておきましょう。
少しでも時間をセーブするために、薄明中でも見えるM45やM44といった明るい散開星団を薄明が終わらないうちに見てしまって、あとで時間に余裕ができるようなら改めて見るという手もありますよ。
ではいよいよマラソンスタート!
(以下、SkySafariから製図を拝借。クリックすると拡大、右クリックかモバイルは長押しで写真を保存出来る。)
19時 西のレイヤー1(8対象)
メシエ天体 | 種別 | 星座 | ひとくちメモ | |
*明るいうちに木星でアライメント | *M40は行方不明天体のため無記載。 | |||
19時〜20時 西のレイヤー1 |
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西の空、すでに高度30°を下回っている対象をこの1時間で全てスクリーニング。 | M74 | 渦巻銀河 | うお座 | *最も低空 |
この時間は高度の低い順を最優先。 | M52 | 散開星団 | カシオペア座 | |
M31(アンドロメダ銀河) M32 M110 |
渦巻銀河 楕円銀河 楕円銀河 |
アンドロメダ座 | 3つセット | |
M33(さんかく座銀河) | 渦巻銀河 | さんかく座 | ||
M77(Cetus A) | 渦巻銀河 | くじら座 | ||
*リゲルでアライメント | M79 | 球状星団 | うさぎ座 |
最初に狙うことになるうお座の銀河M74はかなり淡いので、薄明が薄れて空が暗くなることとM74が低くなって大気の影響を受けて見づらくなることの兼ね合いを考慮されると、春分前でまだ薄明が終わったときの高度もあるので見逃さずにすむと思います。もし透明度がすぐれない様子でしたらM74の位置に先回りして、薄明と高度との兼ね合いで背景の空から最も浮かび上がったときを逃さないようにしましょう。同じ銀河でもくじら座のM77は輝度がはるかに高いのでM74と同様の懸念はほとんど無用です。
宵空のM74を捉えることができれば、ほかのメシエ天体はもっと楽に捉えられます。M74が最大の難物とされ私より口径の大きい機材で苦労されていた方がいらしたので、私の対空双眼鏡で東西の目印(西に一つ、東に二つ並んだ恒星)との位置関係を確認していただいてから時間が経つにつれて暗くなっていく背景の空の明るさと高度が下がるにつれて大気による減光で暗くなっていく天体の明るさとの差が最もついたときに天体が背景の空から最も浮き上がって見えることを解説したら、しばらく経ってから見事に自力で捉えて近くの恒星に対する位置まではっきりつかんでいらっしゃいました。
M74と条件がよく似ている対象がM33です。うっかり低くなるまで放置すると急に明瞭に見えなくなることがよくあるので、薄明が終わったタイミングでM31などより先に見つけてしまいましょう。
M33は全光度は明るいのですが単位面積当たりの輝度となると情けないもので、街明かりの影響のあるところでは背景の空の明るさが増すことが見え方にまともに影響します。星粒のはっきりわかる散開星団は恒星が点光源であることから、星数はさびしくなっても天体を見ようかという空のところであれば全く見えないということにはなりませんし、ガス星雲でも輝度の高い場所があれば街明かりの影響で情けなく萎んだ姿にはなってもやはり見えてくれます。
私の対空双眼鏡ではあらかたの銀河は光のしみにしか見えず、よくて大まかな形がわかる程度ですのでどれも似たような見え方です。背景の空がちょっと明るくなるだけで急に見づらくなるのがM74とM33で、M31のグループではM110が最も街明かりの影響を受けます。
概して銀河も含めたいわゆる星雲は大気の透明度や低空のよどみの影響を星団より大きく受けますから、似たような高度になったときには星雲を優先するとよもやの取り逃がしを防ぐことができるでしょう。
宵空ではM74とM33のほか、M76とM52が意外に見づらいことがあります。M77も明るいとはいえ曲がりなりにも銀河です。
南に片寄った対象は見えている時間が短い分早く沈んでしまうので、宵の南西の空に見えているM79もそれより淡い対象を捉えたら早めにつかまえてしまいましょう。
メシエカタログにある散開星団や球状星団で輝度のせいで見づらいというものはまず考えにくいのですが、「メシエマラソンを通して見る」という条件をつけると途端に難物がいくつかできてきます。飛び抜けて明るい星のないことで全体の輝度が小さく夕方・明け方のいずれも高度の上がらないM52、球状星団にしては比較的地味であることも手伝ってうっかりすると南西の地平線に逃してしまうM79(4月に入ってから行う場合)や、薄明が始まるまでに高度が上がらず光度(M75、M72、M73そしてほぼ春分以降に見えるようになるM30)
または輝度(M55)が小さいせいで街明かりや低空の透明度の影響を受けやすいいくつかの対象です。特に最後にまとめて挙げた対象は夏の天の川沿いに群れる対象を見終えたあとで時間に余裕ができにくいことと、昇ってから薄明が始まるまでの時間が短いだけでなく薄明が始まるとたちまち影響を受けて見えなくなってしまうことから、時間に余裕を持って落ち着いて臨まないと見逃しやすいものです。
20時 西のレイヤー2(9対象)
20時〜21時 西のレイヤー2 |
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この時間帯に30度線付近に居る対象 | M76(Little Dumbbell Nebula, 小亜鈴状星雲) | 惑星状星雲 | ペルセウス座 | |
M103 | 散開星団 | カシオペア座 | ||
M34 | 散開星団 | ペルセウス座 | ||
M45(プレアデス星団 すばる) | 散開星団 | おうし座 | ||
M42(オリオン大星雲) M43 |
星雲 星雲 |
オリオン座 | 2つセット | |
M78 | 星雲 | オリオン座 | 近いので寄り道 | |
*シリウスでアライメント | M41 | 散開星団 | おおいぬ座 | |
M93 | 散開星団 | とも座 |
散開星団のM34は存在は地味ながらアンドロメダ座γ星がはっきり見えている間は取り逃がす心配はありませんし、散開星団M103は小さいですが低空ではM52よりずっと見やすいですから、宵のうちから時間に追われることになったら後回しにして見逃す危険は最初に挙げた対象より小さいはずです。
とも座の散開星団M93もうっかりすると案外早く沈んでしまいます。
惑星状星雲や超新星残骸(M1の一つだけ)の見え方も明るさと輝度に左右されますが、暗くて小さいM76以外はどれも見えやすい部類に入ると思います。もちろん惑星状星雲の中にもみずがめ座のNGC7293のように輝度が小さく淡いので見えづらいものもありますが、メシエカタログにあるものは星雲にしては背景の空の明るさに飲まれにくい印象です。
21時 西のレイヤー3(9対象)
21時〜22時 西のレイヤー3 |
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散開星団祭り | M46 M47(冬の二重星団) |
散開星団 散開星団 |
とも座 | M46の中にあるNGC2438もチェック |
M50 | 散開星団 | いっかくじゅう座 | ||
M48 | 散開星団 | うみへび座 | ||
M1(かに星雲) | 星雲 | おうし座 | ||
M35 | 散開星団 | ふたご座 | ||
M37 | 散開星団 | ぎょしゃ座 | ||
M36 | 散開星団 | ぎょしゃ座 | ||
M38 | 散開星団 | ぎょしゃ座 | ついでにIC417、NGC1907、NGC1931も同視野に |
大体夜半までに昇ってくる対象は、昇ってくるそばから全部見てしまうことをお勧めします。夜明け前になって見えてくるたて座からいて座あたりの夏の天の川沿いの対象はそれぞれ近くにあっても数が多いので、それを次々に捕まえる体力と気力を残しておく意味で北のM13、M92、M57と東から南東にかけてのM5、M10、M12、M4、M80あたりまでは夜半には見終わっているように進めるのが理想だと思います。ここまで見ておけばしばらく休息を取っても後半に響かずにすむでしょう。しし座、おとめ座からかみのけ座にかけての銀河を一つずつ拾っていくのはかなり手がかかると思いますが、宵の西天に見えている対象を丁寧に拾えば時間にかなりゆとりができるでしょう。
22時 北斗七星(12対象)
22時〜23時 北斗七星 |
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北の空へ。北斗七星が追尾しにくい天頂付近に達する前に一網打尽 | M81(ボーデの銀河) M82(葉巻銀河) |
渦巻銀河 渦巻銀河 |
おおぐま座 | 2つセット |
*ドゥーベ(北斗七星)でアライメント | M97(ふくろう星雲) M108 |
惑星状星雲 渦巻銀河 |
おおぐま座 | 2つセット |
M109 | 渦巻銀河 | おおぐま座 | ||
M106 | 渦巻銀河 | りょうけん座 | ||
M94 | 渦巻銀河 | りょうけん座 | ||
M63(ひまわり銀河) | 渦巻銀河 | りょうけん座 | ||
M51(子持ち銀河) | 渦巻銀河 | りょうけん座 | ||
M101(回転花火銀河、風車銀河) | 渦巻銀河 | おおぐま座 | ||
M102(Spindle Galaxy) | 渦巻銀河 | りょうけん座 | 行方不明メシエ天体のひとつ。(NGC5866) | |
*アークトゥルスでアライメント | M3 | 球状星団 | りょうけん座 |
M74やM33と同類で街明かりや透明度に影響されやすいものとしてM101があり、小さいせいで初めての方が本当にこれでいいのかと訝ってしまう懸念のある散開星団としてM103、M29、M26、M18とM21があります。このほか特に街明かりの影響で星雲が見えなくなり裸の散開星団を見ることになりがちなものとしてM16とM20が、それまでに見てきた対象に明るいものが多いため見え方がことさら情けなく感じられるものとしてM54、M69、M70があります。
23〜0時 銀河団(21対象)
23時〜1時 銀河団を制圧 |
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2時間でかみのけ座、おとめ座銀河団を一掃したい | M64(黒目銀河) | 渦巻銀河 | かみのけ座 | |
この後、ど天頂をを通過する対象から先に片付ける | M53 | 球状星団 | かみのけ座 | |
*デネボラでアライメント | M85 | 渦巻銀河 | かみのけ座 | |
M100 | 渦巻銀河 | かみのけ座 | ||
M99(Coma Pinwheel Galaxy) | 渦巻銀河 | かみのけ座 | メシエ天体で最も暗いものの一つ | |
M98 | 渦巻銀河 | かみのけ座 | ||
M84 M86 |
渦巻銀河 渦巻銀河 |
おとめ座 | マルカリアンチェーンを辿りつつ | |
M88 M91 |
渦巻銀河 渦巻銀河 |
かみのけ座 | M91がメシエ天体で最も暗い。行方不明メシエ天体のひとつ。(NGC4548) | |
M87(Virgo A, おとめ座A) | 渦巻銀河 | おとめ座 | ジェット噴流 | |
M89 M90 |
楕円銀河 渦巻銀河 |
おとめ座 | ||
M58 | 渦巻銀河 | おとめ座 | ||
M59 M60 |
楕円銀河 楕円銀河 |
おとめ座 | M60すぐ近くに伴銀河NGC4649 | |
M49 | 楕円銀河 | おとめ座 | ||
M61 | 渦巻銀河 | おとめ座 | ||
*スピカでアライメント | M104(ソンブレロ銀河) | 渦巻銀河 | おとめ座 | |
M68 | 球状星団 | うみへび座 | ||
M83(南の回転花火銀河) | 渦巻銀河 | うみへび座 | メシエ天体最南端 | |
休憩 |
うみへび座の球状星団M68と銀河M83も低空の透明度がすぐれないときには明瞭に見えている時間が案外短いものです。おとめ座からかみのけ座に群れる銀河の中ではM89やM90、107個ルールでは対象外となりますがM91が界隈にある他の銀河より淡い印象があります。
1時 しし座(7対象)
1時〜2時 しし座 |
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*レグルスでアライメント | M44(プレセペ星団) | 散開星団 | かに座 | |
M67 | 散開星団 | かに座 | ||
M95 M96 M105 |
渦巻銀河 渦巻銀河 楕円銀河 |
しし座 | トリオ | |
M65 M66 |
渦巻銀河 渦巻銀河 |
しし座 | ついでにNGC3628も同視野でトリオ |
2時 東のレイヤー1(13対象)
2時〜3時 東のレイヤー1 |
||||
*ベガでアライメント | M92 | 球状星団 | ヘルクレス座 | |
後は東から登ってくる夏の対象をやっつけるだけ | M13 | 球状星団 | ヘルクレス座 | 北天最大の球状星団 |
球状星団オンパレード | M5 | 球状星団 | へび座 | |
M12 | 球状星団 | へびつかい座 | ||
M10 | 球状星団 | へびつかい座 | ||
M14 | 球状星団 | へびつかい座 | ||
M107 | 球状星団 | へびつかい座 | ||
M80 | 球状星団 | さそり座 | ||
*アンタレスでアライメント | M4 | 球状星団 | さそり座 | |
M9 | 球状星団 | へびつかい座 | ||
M57(リング星雲) | 惑星状星雲 | こと座 | ||
M56 | 球状星団 | こと座 | ||
M29 | 散開星団 | はくちょう座 |
球状星団はM9、M14、M56、M71あたりが小さめですが、南に低いM19やM62は案外明るいです。M22は特大ですがM28も明るいです。先に挙げたM54、M69、M70はM19やM62と比べるとかなり情けない見え方なので、あせらず丁寧に拾っていきましょう。
3時 東のレイヤー2(11対象)
3時〜4時 東のレイヤー2 |
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対象が20度線より上がってくるまで少し待ち時間があるかも | M39 | 散開星団 | はくちょう座 | |
M27(亜鈴状星雲) | 惑星状星雲 | こぎつね座 | ||
M71 | 球状星団 | や座 | ||
*アルタイルでアライメント | M11 | 散開星団 | たて座 | |
M26 | 散開星団 | たて座 | ||
M16(わし星雲、創造の柱) | 星雲 | へび座 | ||
M17(オメガ星雲、白鳥星雲) M18 |
星雲 散開星団 |
いて座 | ||
M23 | 散開星団 | いて座 | ||
M19 | 球状星団 | へびつかい座 | ||
M62 | 球状星団 | へびつかい座 |
夏の天の川はほぼ横倒しになって昇ってきます。ということは、夏の天の川沿いの対象が一度にぞろぞろ出てくるということで、このときはかなり忙しくなります。しかしこのときにフィニッシュを頭に入れて進めるかどうかで、いよいよ夜明けの薄明が迫ってきたときの余裕がかなり違ってきます。
星粒の大きい散開星団や輝度の高いほとんどの球状星団は昇ってすぐでも見えやすいので、地平線から離れないとはっきり見えてこない銀河や星雲、M26やM73のような暗い散開星団、M55のような輝度の低い球状星団よりも低いところでモグラ叩きのように昇るそばから捉えてしまって、稼いだ時間で後から挙げたような暗い、あるいは輝度の低い対象が高くなり見えやすくなるのを待って捉えるという考え方もあります。これは透明度がすぐれなかったり低空の透明度が急に落ちているような夜に有効です。
ガス星雲ではM42(ついでにM43)とM8は星雲の最も明るい領域は空のかなり明るいところでもわかるのでただ見るだけであれば心配無用ですが、M16とM20は街明かりの影響下では星雲に包まれている若い散開星団を見ることになります。M78は小さいこともあって難しそうですが案外見えてくれます。意外なのがM17で、確かに濃淡はありますが輝度が高いのか空の非常に明るい自宅前からでもはっきりそれとわかる姿で見ることができます。
4時 東のレイヤー3(12対象)
4時〜5時 東のレイヤー3 |
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M24(Star Cloud) | 散開星団 | いて座 | ||
M25 | 散開星団 | いて座 | ||
M20(三裂星雲) M21 |
星雲 散開星団 |
いて座 | ||
M8(干潟星雲) | 星雲 | いて座 | ||
M28 | 球状星団 | いて座 | ||
M22 | 球状星団 | いて座 | ||
M6(バタフライ星団) | 散開星団 | さそり座 | ||
M7 | 散開星団 | さそり座 | ||
M69 | 球状星団 | いて座 | ||
M70 | 球状星団 | いて座 | ||
M54 | 球状星団 | いて座 |
来週月曜日の朝ではやぎ座の球状星団M30はまず見えないでしょうから、最後に見つけるのはいて座の球状星団M55とM75、みずがめ座の球状星団M72と小さな散開星団M73(散開星団とされるがアステリズムと見なしたほうがそのつもりで探せます)、その前がみずがめ座の球状星団M2、その前がペガスス座の球状星団M15です。また天の川沿いの対象で最後になるのはいて座の小さな球状星団M54、M69、M70になります。そこで今挙げた対象以外をその前に全部見ておきましょう。
5時〜薄明 地平線(7対象)
薄明 | ||||
M15 | 球状星団 | ペガスス座 | ||
M2 | 球状星団 | みずがめ座 | ||
M72 M73 |
球状星団 散開星団 |
みずがめ座 | M73はYの字型の星の集まり | |
M75 | 球状星団 | いて座 | ||
M55 | 球状星団 | いて座 | ||
M30 | 球状星団 | やぎ座 | ゴール!しかし薄明の中厳しい。低い。 |
夜明け前に昇ってくる球状星団M15とM2の見え方については、M15は空が充分暗いうちに昇るので東の低空の視界が妨げられていない限りまず問題ありません。M2はそれより後から昇り薄明が始まるときの高度もそれなりに低いため東の低空の視界が開けていることはM15以上に重要な条件となりますが、明るい上に集中度が高い(最も集中度の高いⅠから最も集中度の低いⅩⅡまでの12段階で高いほうから二番目のⅡに分類される)ので仮に薄明が始まったり低空の透明度がすぐれなかったりしてもM55、M75、M72、M73そしてM30のいずれよりもはるかに見えやすいものです。
メシエ天体についてここまで解説する間に全く言及されていない対象については、見え方についてはまず心配ないと考えていただいて結構です。
これ、まとめるだけでかなり疲れた。一晩で全部電子観望するの無理かも、、、一人でやってたら暗い気持ちになりそうw たとえ完走しても天体観測が嫌いになりそうだ。笑
でも全天をまとめて整理してみて、今までよく分かっていなかった全体像がだいぶ勉強になった。次はメジャーな二重星マラソンまとめてみようかなw。川合さん、改めてありがとうございました!
PDFで全メシエ天体のリストをダウンロード出来る様にしてみたので、よかったらお使い下さい(^^)。
3/12追記をメシエ・マラソン実践編にまとめました。