外は寒い – 札幌。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
ご多分に漏れず、ノクチルックスまでの時間稼ぎに(笑)ノクトン50mmを試してみる事にした。元々ブランド思考な訳では無いのだが、ライカのレンズを使いたくてライカの世界に入ったのに、ライカブランド以外のレンズをライカボディで使う事に、心の中でちょっとした不整合がある。その殻をはじめてノクトンが破ってくれた。何せヤフオクで7万円だ。
島松伝道所の木 – 札幌。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/350, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.
f1.1大口径から来る、中判カメラ的な立体感はしっかり楽しめる。ノクトン開放時の解像度はLeicaのASPHシリーズと比べると低いのだが、M10の超高解像感から少し距離を置きたい心境としては、これくらい解像しないレンズの方が、今はかえって心地よい。それでも必要十分だが。
魚を探す – 葉山。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.
ちょっと絞ると十分にシャープになるが、僕はこんな重いレンズを持ち歩く理由は、開放時の3D感のためだけなので、もちろんNDフィルター併用で開放でしか使わない。ホルスターでノクトン+M10を1日ぶら下げて歩くのは結構キツイ。肩が痛くなる。ああズミルックスのなんと軽快な事か。ちょっと絞るくらいなら最初からSummiluxを持っていく!
f1.1は、ベース感度ISO100のM10ならND4で昼の野外も開放で行ける。ISO200のM240ならND8が必要だろう。
Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.
しかし問題なのは発色濃度が低い事だ。どこかのサイトでノクトンf1.1はノクチルックスf0.95と大差無いと書いてあったが、そういう場面もあるとは思うが、それはレンズのごく一面だけを比較していると思う。ノクトンはライカの代わりには、やっぱりならないと思った。(なって欲しかったが。)ノクトンの発色は薄味だ。
いや薄いというよりは、ほとんど気がつかない程度に緑が被る様だ。それが原因で特に低コントラストの被写体は、なんとも地味なつまらない感じになる事が多い。ライトルームのホワイトバランスでTintを+側に補正したり、やや暖色系に寄せたり、Vibranceを+30くらいにして、なんとなく僕がイメージする、ライカ的な色味の方向に誤魔化すしかない。このページの作例はほぼ全てそうしてある。
使っていてああ、やっぱりライカじゃないんだな。。。という感想が何度となく頭を過る。ノクチルックスに陥る末期症状だ。でもライカが出してきた絵を壊すトレーニングを自分に課している今は、むしろ色味だって何でも良い、と自分に言い聞かせる。
Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.
ところが高コントラストの被写体の時は、格段に面白い。特にアンダーめに作ったり、夜間の光源にカメラを向けると独特のドラスティックな感じになる。夜は発色の低さも気にならない。
colors – 世田谷のMt. Fishtailというカレー屋さん。美味しかった。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 800) ©2017 Saw Ichiro.
table – これがほんとのテーブルフォト?Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 800) ©2017 Saw Ichiro.
なんだかんだ文句ばかり言いながらも、ノクトンを結構楽しんでる自分が居る。f1.4 Summiluxとf1.1 Nokton。たった0.3の口径差が、出て来る絵に与える影響はこれほど違うものか。何気ない絵にストーリーが加わるかの様な、ドラマティックな演出だ。
葉山の黄昏時 – 日が落ちてきたがNDフィルターが付いていたので、ISOダイヤルを一段上げた。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/250, ISO 200) ©2017 Saw Ichiro.
ちなみにノクチを導入するなら、M9で使うならf0.95 ASPHを選ぶが、M10で使うならf1.0の2ndノクチに行くと決めた。もうASPHのスーパー・レゾリューションは、Summiux 50mmでお腹いっぱいなのだ。一本あれば困らない。
mirror – かなり暗い状況だったが、ISO400で撮れるのはやはり大口径の恩恵。高感度耐性の低いM9を本気で使うならノクチかノクトンは必須と思う。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
しばらくはノクトンf1.1にお世話になりそうだ。