海辺のインタビュー撮影で、カメラに直接入力出来る風防付き外部マイクが必要になり、いくつか音を検証してみた。マイク選びに関しては、一応20年以上生業としている僕の専門分野ではあるが、業務用マイクはXLR端子という規格で統一されているためカメラ用マイクは持っていない。
今日は人様のYoutubeをテキトーに参考にしながら、イチロー的ベスト・マイクを決めたお話(^^)。
と言っても音楽を録る訳では無いので、ここではもちろん最高性能は目指さない。まじめに音楽を録るなら、マイクは普通はライカレンズ・プライスだし、マイクだけでなくプリアンプも同じくらい重要で、最高峰はプレミアがついたビンテージで4chで200万円はかかる。アナログ・デジタルコンバーターも僕が所有しているモノはマイクよりずっと高価だ。
それらにも様々改造が必要だったり、それらを接続するケーブルやら電源やらコダワリを積み重ねて行くと、ホール等で録音の仕事に持ち込む機材は、毎回引っ越し状態になる(^^)。
何を言いたいかと言えば、最高を目指すとロクな事にならない。(笑)
映像の音声を収録するためのマイクを考える場合は、音質はそこまで求めなくていいと僕は思っている。主体はあくまで絵であり、その場の環境音だったり、ナレーションだったりの音がいいとか悪いとかは普通は問題にならない。一般的なプロフェッショナルの水準を満たしてくれればOK。
絵と音を別機材で分けて撮るのは普通だが、荷物は増えるしタイムコードを同期させたり大変面倒な事になるので、出来ればカメラに直接録るのがシステムとしては一番シンプルだ。であるならば、どうせカメラボディのADコンバーターもマイクアンプも入力端子も最低限のチープな装備なはずで、マイクだけ高級品にしてもあまり意味がない。
これらの条件から、品質よりコスパ優先。でもその中でもベターなマイクはどれか?ichiroなりに2個選んでみた。
比較したのはとりあえずYoutubeで紹介されていた、一般的な以下のカメラ直接入力可能マイク。
結論から先にお伝えすると、まあ音質的にはどれを選んでも全然問題は無いけど、AndyCineというのかな、3,700円のこのチャイナ製マイクがいいと思う(笑)マジで。2万円のマイクよりこっちの方が変な癖がなくバランスがよかった。これのコピー元である本家Rodeよりも良い。Rodeは元々コスパ優先でエントリーユーザーの間で有名になったブランドで、プロスタジオ御用達という訳ではない。
AndyCineは価格の割には頑張っているのは確かだけど過度の期待は禁物だ。付属の風防も、風防効果としては65点くらいかな。でも無いよりはずっとマシだ。同じ環境でカメラボディ内蔵マイクで音を録ったら、風切り音で悲惨な事になっているはずだ。
ちなみにSigma fpLには本体のオプションに「風音キャンセラー」なんてのがある。フサフサをカメラ全体に被せない限り、カメラ本体のマイクを物理的に風防させる事は出来ない。本体の風切防止オプションは多分、単にローカットして超低音の吹かれを目立たなくしてるだけで、実際には風切音防止効果がある訳ではない。音痩せの原因になるのでここは切にしておこう(^^)
Andycineの見た目はガンマイク的に見えなくもないけど、基本的には遠くからピンポイントで狙う狭い指向性のマイクでは無い。あくまで目の前の被写体のナレーションをモノラルで録りたい時に最低限、これで録っておけば文句は言われないかな?程度で考えておいた方がいい。
モノラルで録るメリットは、カメラの構図に関わらずナレーションが常にドセンターに定位する事だ。ノートブックでは気にならなくても、部屋の隅に大きいスピーカーを設置してある様なワイドなモニター環境だと、音声がセンターから常に微妙に外れていたりするととても気持ち悪い。ナレーションはモノラルセンターで、BGMやSEをステレオでやるのがツボを抑えた合理的な方法だ。
ichiroもたまに仕事をする(^^) 今日の写真は全部X1D II 50c – Hasselblad。
一方、ゼンハイザーを一本も持ってないレコーディング・スタジオを探すのは難しい。
カメラの設置場所に依存せず、もっと近接で安定的に被写体の音を録るためには、ワイヤレス・ピンマイクが断然有利な事は確かだ。なんと言っても被写体の口元からの距離が近いと言う事は、SN比で他種カメラマイクの追随を許さない。しかし出力がミニフォンジャックの選択肢がほとんど無く、イチローは無難にこれを選んだ。
音質が、Rodeのワイヤレスピンマイクと大きな違いは感じなかった、なんてレビューする人がいて驚いたが、開発者が聞いたら泣くと思う。(笑)この差を得るためにどれほどのコストと手間を捧げているか。恐らくレビューの彼の背景に買い替えたくない個人的な希望があるのか(^^)、ノートブック内蔵スピーカー等で簡易的に比較したのかもしれないが、マイク品質だけでなくワイヤレス転送時のデジタル・ドメインでの劣化も含め、ゼンハイザーの方が明確に鮮度が保たれてる事は、iPhone純正イヤフォンでもはっきり聞き取れると思う。風防はどちらも付いてないけどね。
マイク自体、被写体に近接出来る事もあり、流石にAndycineに比べてゼンハイザーの高域の解像度は2ランク上の音が録れる。ただこちらの場合はマイク特性がやや高域に寄っていて、音像の天井が高いので第一印象は多くの人に音が良いと感じさせる特性だが、ナレーション等で主体的に使うならちょっと下が足りないと感じるかも。いやこれはちょっとオタク過ぎる話かな(^^)
その時はマイク距離にも寄るが100〜200Hz辺りの低域をちょっとだけ足してあげると聞きやすくなると思う。ちょっとだけね(2dB以内くらいで。)SEで使うならそのままで全然気持ちイイ。
ピンマイクの欠点は、喋る人が一人に限られる事だ。複数人の場合はピンマイクのカメラ直接入力は諦める他ない。それとゼンハイザーの欠点として、バッテリーが4時間ほどしか持たず、そしてバッテリー交換が出来ないため一日仕事の場合は、もう一セット用意するか、途中で撮影を中断して充電のプロセスが必要になる。
このブログで初めて音の話を書いた気もするが、いつもの様に断定的に好きに書いてると、本職の話になるとよほど気を付けないとどうも偉そうに聞こえてしまい気持ち悪い(^^)。やっぱブログは趣味の話題に限るw。あくまで単なる個人的な結論という事でご勘弁を。
Sigma fpLの一番の問題点は、EVFを装着すると外部マイク入力が不可能になる事!これは買ってから気づいたw。代わりにヘッドフォン端子が使える様になるのだが、逆にEVFなしだとヘッドフォンで音声を確認する事が出来ない。つまり外部マイクが必要な時はEVFは使用出来ないという事だ。この造りは設計者の都合であって、使う人の都合を度外視してない?(^^)
特に外部マイクで使用するなら、接触等の不具合が無いかどうかメーターだけでは判別が難しいので、ヘッドフォンでモニターしないと、実はちゃんと録音出来ていなかった事が後から発覚する事故になりかねない。いずれにしても、EVFは動画撮影では使えない事が確定したので、結局LCDビューファインダーも買わなければいけないという事だ。やれやれ。
そういえば、ふと気になって調べてみたら、fpLのファームウェアのアップデートがあった。バージョン1.10という事で、撮影時はEVFでモニター、再生時はLCD再生が出来る様になっていた。やっぱそうするべきだよねw
Sigma fpLファームウェア・ダウンロードページ
https://www.sigma-global.com/jp/cameras/fpl/?tab=support&local=firmware
最近、映像をちょっと勉強したりしていて、忘備録として急にまたブログを書いてみようかなという気持ちになってきた。ワードプレスやPHPのアップデートでいつしかデザインがぐちゃぐちゃに崩れていたのは知っていたがw、面倒で放置していた。結構大変だったけどやっと整備してみたので少しは読みやすくなったかな(^^)。皆様、またよろしくお願い致します。