2023年1月26日 イチロー

真冬の標高1500m

先日久しぶりに、と言っても一ヶ月ぶりだが(^^)山梨への単独遠征を朝まで堪能した。明け方にはオリオンを追いかけ双子まで沈みかけ、早くもさそりが顔を出してきた。

GFX100Sはシャッターメカ不良で現在入院中につき、iPhoneの手持ちテキトー撮影(^^)。独りなのに3台も広げて贅沢だ。

しし座、かみのけ座、おとめ座周りを探索するには、日本に住む我々にとって寒さの試練は避けられないが、それにしても厳しい!!前回も今回も、マイナス13度まで下がった乙女高原標高1500mでは、風が吹いたらアウトだ。顔や指先が痛くて、もう全く寒さに耐えられない。山岳地帯の風は、大きな風音が遠鳴りに絶え間なく響いている。先月行った時には(冒頭写真)強風でマジでキツくて天体観測が少し嫌いになったので(笑)今回は真面目に防寒対策を検討してみた。

僕の水沢ダウンは普段着としては軽いし作りが丁寧でとても気に入っているが、マイナス13度では全く刃が立たない。極寒地では冷気が腕から来てしまう。やはりナンガかカナダグース辺りの、探検隊バリの本気ダウンを選ぶしか無さそうだ。

多分これが国内最強?NANGA WHITE LABEL ムーンロイド type1 オーロラダウンジャケット

カナダグース Langford Parka Black Label

取り敢えずヒートテックインナー2枚重ねや、あったかブーツなどで凌いだ。ブーツの中に仕込むヒーターも多少有効だった。

帰ってから思いついたのだが、USBヒーター毛布の表面にアルミシートを縫い付けて、ダウンジャケットの上から羽織るのなんてどうだろう。アルミシートを望遠鏡だけでなく、人間にも巻く作戦は以前から思案していたが、羽織る方が手っ取り早いし、毛布の重みでちょっとした風でもアルミシートがめくられない。人間の放射冷却を防ぐだけでなく、ヒーター熱も内側に反射するので、どんな羽毛量のダウンより強力かも?

そしてこんなモノもみつけた。実は散々探してこの最強アイテム?にたどり着いた。これは最も手軽な移動式天体ドームだ!ワンタッチ式の四角いテントだが、なんと天井をジッパーで全開に出来る。つまり防風壁と、周囲の光害を遮断する遮光壁と一挙両得なのだ!本来は何のためにそういう設計にしたのかサッパリ分からないがw、とにかく天体観測に使えそうだ。

もしかしたら鏡筒の放射冷却抑制にも効果があるし、人間の寒さ対策にもなる。壁の高さは高すぎても低空が見えなくなるし、低過ぎても風による振動抑制の効果が下がる。これの壁の高さは150cmあって、鏡筒の先端が程よく出る程度でなかなか丁度いいのではないか?まだ届いていないが、後日レビューを書いてみる。

問題は、この中に望遠鏡を設置する仕様にすると、今後望遠鏡の写真は撮れない(^^)。

今回の遠征の目的はなんと言ってもこれ。ようやくAstronomikのOIIIとHβフィルターを注文した。Astronomikフィルターは、一枚一枚シリアル番号と、小数点以下まで透過率がケースに刻印されていて、厳密な品質管理がされている。どこかの透過率詐称メーカーとは誠実さが違う(^^)

「双眼で使うから左右の誤差の無い最高透過率を」とAstronomik社に直接メールしたところ、快く左右の誤差0.1%以下で対応して下さった。国内の輸入代理店から普通に買うと、透過率が左が95%、右は93%といったバラツキが生じてしまうのだ。僕のOIIIは98.9%、99.0%で、Hβは左右とも95.2%だった。特にOIIIは並の保護フィルター以上の驚異的な数値だ。

価格も国内では2インチは一枚34,100円もするが直売だと167.23 EURで、1 EUR 140円で計算しても23000円台と、直輸入するメリットが大きい。送料25 EURで、FedExで3日で届いた。

開け締めが多少固めだが、付属のプラケースはサイズに余裕があってBorgのフィルター・カートリッジごと収納出来て都合がいい。毎回グローブを外して、暗闇でフィルターをいちいちクルクル(付けて外して、双眼なら一回に付き4枚)付け替えるなど、寒さで指先が痛いし面倒でやってられないが、このカートリッジごとEMSの2インチスリーブに挿入する事で、ワンタッチでフィルター交換が出来る。時々、松本さんのご機嫌が良い時にこの神オプションを制作、販売して下さっている(^^)。

どれどれ、早速馬頭星雲に向けてみると、第一印象は先輩にお借りしたルミコン+バーダーの見え方とあまり違いを感じない?が、しばらく眺めているとAstronomik Hβ越しの馬頭星雲は、同じ観測地だが馬の頭の形をもう少しハッキリ認識出来るかもしれない。少なくとも頭のてっぺんの境界線がどの辺りなのかが視認出来て、やはり事前のイメージよりも大きくて驚く。ちゃんと比較した訳では無いが、見かけの大きさはM82と同じくらいか、それ以上に馬頭はデカい。

とは言え相手は眼視ではとても暗い難物だ。関東からアクセスしやすいエリアでは、見えるか見えないかギリギリに変わりは無い。Astronomikは高価だし双眼用に揃えるのは大変だが、その紙一枚の差で難易度自体が変わるし、何よりこれで見えなければ見えないという信頼感は大きい。

NGC1499 カリフォルニア星雲 by Manuel Huss

今まで見た事が無かったペルセウス座のカリフォルニア星雲NGC1499も堪能した。淡いながらも、ガスの濃いエリアと薄いエリアが複雑に入り組んでる濃淡をHβ越しに観察出来る。馬頭よりもやや見やすいが、対象が巨大過ぎて20cmF7の手持ちの最低倍率でも局部的な観察しか出来ない。Hβフィルター越しに直接覗くと、カリフォルニア星雲は暗い空なら肉眼でも見えるらしい。

他にもHβとOIIIでいろいろな対象を見まくった。いっかく獣の薔薇星雲NGC2238はOIIIで見た時とHβで見た時と形が変わって面白い。オリオンM42等もそうなるが、つまりそれはOIIIとHβ両方透過するUHCフィルターで見るべき対象という事だ。フィルター別の適切な対象は次の記事でまとめてみる。

フィルターを外して、今話題のZTF彗星(C/2022 E3)ももちろん抑えた。名称の由来は2022年3月に発見されたCometという意味だそうで、なんと5万年に一回の周期で太陽系に接近するらしい。人類がこの彗星を拝める最後のチャンスかもしれない(^^)。この写真の様な「君の名は」バリには見えないが、既にしっかり明るく、氷の尾を引いてる様子が20cmではもちろん、手持ち双眼鏡でも観察出来た。

かみのけ座、しし座、乙女座周辺は去年チャンスを逃していたので、今度こそ20cmで散策出来て充実した。ただシーイングはこの日はイマイチで、M51子持ち銀河の腕が去年見た時よりもずっと不明瞭だ。M65、66、NGC3628のしし座の3バカトリオもしっかり南中時に眺める事が出来たが、しし座トリオはコントラストが最大の時間でもM81、82ほどの迫力は無く、M95、96、105トリオはさらに地味(^^)。やはり3000万光年は遠い。マルカリアン周辺の銀河群は、もうどこに鏡筒を向けても銀河だらけで、どれが何番かすぐにどうでも良くなった。(笑)

M104 by NASA

去年逃したソンブレロ銀河(M104)もやっと20cmでご対面出来たが、アンドロメダ座のNGC891の方がデカイし切れ込みが凄いと思った。好シーイングの時にもう一度見てみたい。

もう深夜2時半を回り、寒過ぎるので早く帰りたい が、頭上に星が煌めいているとなかなか撤収を始められない(^^)。最後にうみへび座、カラス座、コップ座、ろくぶんぎ座の、僕の苦手エリアを星図と照らし合わせながら広角で散策。

そこで気づいたのはZeiss50 BINO(5°)はもちろん、Leica Noctivid(7.7°)でもかんむり座、からす座の全景を一望する事が出来ない。もうちょっと広い範囲を見たい。テレコン・BINOはNikon TC-E2やケンコー CD-20Tなどいくつか持っているが、この気温では瞬殺で曇ってしまい使いにくい。そこでまた悪知恵が思い浮かんでしまった。(^^)

K-Nebulaさんのブログ「毒を食わば…」より。

超広角BINOと言えば、mini BORG 50、55FL BINOが真っ先に思い浮かぶが、K-Nebulaさんのブログに拠れば、やはりF5を切ると周辺像の甘さに苦心されていた様だ。しかし時を経て現在ではこんな新星があるでは無いか!Askar FMA180

口径4cm、眼視使用の場合は焦点距離220mm F5.5で、Masuyama32mmでなんと驚異の12.3°(7x)の広視界が実現出来る!2インチ・アイピースでの使用はメーカーでは想定されていない様だが、松本さんに相談したら問題無いと言われる。EMS-UMBの必要光路長は136mmなので、BINO化も十分現実的だし、周辺像もf5.5でAPO3枚玉なら善戦しないだろうか。

32mmアイピース固定で考えているのでフォーカサーは必ずしも必要無いが、ヘリコイド・フォーカサーが標準装備済みなので観望者の視度補正に対応出来る。でも接眼部のスリーブより口径の方が小さいって、、、(^^)

口径5cm(焦点距離275mm f5.5)のモデルAskar FMA230もあるが、実視界9.9°確保出来るものの価格も重さも倍になる。お手軽低倍広角に特化するならここは迷わず4cmだろう。

ついでに片側のEMSを外してカメラを付ければ、電子観望なるものも試せちゃう。(^^) これは気になる、、、。

結局朝4時過ぎまで外で遊んでしまったが、改めて自分の馬鹿さ加減には呆れるばかりだ。天文マニアの先輩諸氏の中でも、僕ほどの阿呆は周囲には一人も見当たらない(笑)しかも日帰り。眠さに耐えかねて帰路のサービスエリアで2時間眠ってしまい、朝日の眩しさに起こされた。ああ、今何より必要としているのはキャンピングカーかも。(^^)

 

馬頭星雲を攻略する!
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Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

このブログに訪れて下さっている方の中には、まだLeicaを所有していないが、実際ライカってどうなの?と興味がある方も多いと思う。もしも今日、貴方は念願のLeicaを手に入れたとする。その日は恐らく、何ヶ月経っても、何年経ったとしても、貴方にとって忘れられない一日になるに違いない。

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

最初は誰しも「ライカ+自分」の実験段階から始まる。もう少し発展すると、次第に「自分+ライカ」つまり道具の恩恵にあやかりつつも、主体は人間である事を意識する様になるし、またそうあるべきだ。最後は「自分+カメラ」、もはやライカであるかどうかは重要では無い段階に、至らなければならないと僕は思っている。

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世界で最も愛されるカメラ(改定)

世界で最も投稿されているカメラをFlickrのカメラファインダーで見てみると、本日付けでダントツでiPhoneだ。2位がキャノン、3位ニコン、4位SAMSUNGのギャラクシー、5位のソニーと続く。フジは7位でライカは15位だった。

Leicaレンズの話

レンズ選びの参考になるかも

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今度はSummilux 50mm F1.4 を考え直してみる

ズミクロンを押した直後に恐縮だが^_^、先日のJLUGの集まりで先輩方のレンズを触らせて頂いた勢いで、久しぶりにズミルックス50を購入してしまった。初代と現行第4世代を経て、今回は第2世代を選んだ。そして悟った。やっぱズミルックス50はむちゃくちゃ面白い!

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ズミクロン(Summicron 50mm/f2)を考え直してみる

APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.登場以降、なんとなくその廉価版的な存在になりつつあるノーマル・ズミクロン50が、今どんな意義があるのか再考してみる。ちなみにアポ50が価格コムで現在99万円、ノンアポが30万と3倍以上の価格差がある。

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Leicaレンズ沼の攻略法(入門編)

「ライカを買いたいが何がオススメか」と問われたら、ほとんどのライカ・ユーザーは、待ってましたとばかりに、うざいくらいにウンチクを披露しながら懇切丁寧に教えてくれるはずだ(笑)僕も含め、普段からそんな事ばかり考えてる連中だ。

ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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構図の添削2

前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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カルティエ・ブレッソンの教えをM10でやってみる

いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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写真は「滅びの美学」

以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

L1020739

Hasselblad X1D II

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Leica S

M9-P

Leica M9

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Leica M Typ240

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Leica M10

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道具編

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番外編

馬頭星雲を攻略する!