構図や技術は、カメラの性能に関係ないのでご容赦頂くとして(^^)、Sigma fpLの電子シャッターでどこまで頑張れるか試してみた。何人ものチームの時間とお金がかかっているし、素人だからという言い訳は許されない。色は全て自作カラープロファイル。
僕の友人、知人にもプロカメラマンは何人か居て、彼らのプロフェッショナルな姿勢に常々、尊敬の念を抱いている。先日、あるプロの方の動画をたまたま拝見して様々な学びがあったので、参考にさせて頂いた。
例えば雑誌等の書籍においてカメラマンに求められる人物写真は、例えば奥の目のピントが外れてたらNG、そもそも写真をボカす様なリスクは取ってはイケナイ、髪の毛が顔にかかってたらNG、顔が影になっているなんて論外、顔だけでなく、両手、両腕が写ってなければ駄目!なんてのもあって面白かった。普段の僕の写真は全てNGだ。(笑)
これらはつまり、前提にもっと大きな商売上の目的があった上で、写真の作品性なんていらないから、普通でいいから誰からもクレームが来ない様に全部ちゃんと見える写真撮って下さいよ、というリスク回避の思想が根底にあるのだろう。絶対に失敗が許されないスピード重視の現場において、プロ同士の共通認識が完成している。
昭和の厳しい雑誌界の掟の中で長年生き抜いてきたプロカメラマンと、SNSを中心とした現代のデジタルワールドで、僕の様にテキトーに撮影して遊んでる素人との間には、物凄く大きな価値観の隔たりがあって当然だ。
とは言えデジタル写真の大衆文化も成熟が進んでいて、Leicaグループに投稿される素晴らしい写真の数々を眺めるにつけ、時代だけでなく、コミュニティごとにも独自の文化が立派に成立している。毎日数百枚投稿されるそんな写真の嵐の中で切磋琢磨しているアーティスト達にとって、撮り手の個性を排した無難な商業写真に興味が沸かないのもまた、自然な流れだ。
所属している文化はみんな違うし、今はそんな多様性が面白い。
雑誌のスタイルは恐らく欧米でも同様の歴史を辿っていたと思うが、その中で70年代にこの様な挑戦的な写真を堂々と提供するSaul Leiterも、それを採用する編集側も相当に革新的だったのだろう。それでもやはり軋轢があったのか、以後、彼は商業写真の表舞台から姿を消した。
こういう写真を撮るならまさしく中判の出番だったが、ご依頼を受ける前にハッセルブラッド一式手放してしまった(T_T)
Simga fpLは熱いカメラだし、解像度や描写力に関しては引けを取らない。趣味写真なら十分だが、これで写真の仕事をお受けするのはやっぱりちょっとリスキーだった。EVFに100%頼る事自体、シャッターを押す度にブラックアウトする時間が長くて、モデルの表情の移り変わりやタイミングを追えない感覚は常にあるのは仕方ないとしても、電子シャッター問題も、一部のシーンで室内電灯が映り込み、シマシマや歪みで何枚もNGを出してしまった。久しぶりにテンパったw。
今後も時々ご依頼下さるなら、やっぱり中判は一個手元に置いておきたいと思った。でもハッセルの最大の問題はCapture Oneが使えない事。それと何かトラブルが出た場合に、NYの販売店に送り返して、スウェーデンの整備で数ヶ月待ちなんていう寸前まで行った事もあり、やっぱりそれなりのリスクがある事を知った。
そうなるとFuji GFXかなあ。1億画素とか出来れば避けたいので(^^)、興味があるのは一番軽量なGFX50Rという事になる。シャッター機構内蔵の中判システムとして、ボディ重量775gに抑えた企業努力は称賛に値するが、ほとんど工芸品とも言えるアルミ削り出しボディのHasselblad X1DIIと比較しなくても、グリップ部の樹脂製?のツギハギとかGFX50Rの外装のチープさが、カメラを道具として愛でたい僕の感覚と合わず正直、購入意欲が削がれてしまう。ボタンだらけだし。(ゴメンナサイ)
しかし中身はX1DIIと同じセンサーという事で、描写に関してはフルサイズ機がどれほど高画素を頑張っても替えが効くものでは無い。GFXが嫌なら、もはやPhase Oneか再びLeica Sしか選択肢が無いが、Leica Sはバッテリーを除いてもボディ重量1260gもあるし、Phase Oneはボディ+センサーでメルセデスが買えるプライスだ。
外見さえ妥協出来れば、GFXで結構幸せになれる気はしてるんだけどなあ(^^) レンズ群も含め中判として破格のバリュープライスなのは実際有り難い。物理シャッターでContax Planar 85mmを本格的に運用出来るのもとても興味がある。つべこべ言ってないで試してみるか。
でもとにかく、Sigma fpLでなんとか乗り越えた。お疲れ様でした!