、、と言ってももう一週間くらい前かな?(^^) もちろん双眼望遠鏡を計画しているものだが、サイズ的にも重量的にも価格的にも、この鏡筒はBINO用途のスタンダードになり得る好都合なスペックに満ちている。これを試さずにはいられるか!
口径120mm、焦点距離840mm F7。鏡筒バンド、ビクセンアリガタ合わせて6.5kg。12cm、3枚玉でこの重量は軽い。3.3インチフォーカサーもBINOユースに好適。ほぼ同じスペックの3枚玉、Sky-Watcher ESPRIT 120EDより3kg軽く、15万円安い。しかも一本あたりの差なので双眼だともちろん二倍(^^)。似たスペックのチャイナ鏡筒としてはSVBONY SV550 三枚玉アポクロマート122mm f/7がある。こちらのフォーカサーは2.5インチなのでEMS使用では僅かな口径食が起きる可能性はあるものの、さらにリーズナブルだ。
日本の代理店がなかなか販売スタートしてくれないので直輸入した。多少の不安もあったが一週間も早く届いた。これは文句なしに美しい。が、少々問題もある(^^)
10cm延長筒を外した状態。手前がフードを伸ばした長さ。フードを縮めると、F5かと見間違える。(^^)
こんなに早く120APOを注文する事になるとは予想していなかったので、電子観望セットやらを揃えてしまったり、またもやセールで飛びついたアイピースx2に小遣いを使い果たしてしまい、まだEMSを注文出来ていない。笑
それにしてもビルドクオリティの高さに驚いた。フォーカサーも、造り、剛性、スムーズさ共にお見事。先日のRedCat 51IIと言い、近年のチャイナブランドは本当に元気がいい。近年の彼らの鏡筒はいよいよ洗練されてきた感じがする。
付属のセミハードケースに至っては、個人的にはこれこそ最も理想的なケースだ。これ以上軽量な空港で預けられるケースを探すのは難しい。望遠鏡業界は何も考えずクソ重いアルミケースとか付属するのが常だが、Askarは制作チームが本当に星見が好きなのだろう。実際に日々使うユーザー体験を本気で考えてるブランドと思った。
ケースのオレンジラインはなんと糸?プリント?されている。こういう若いデザインセンスは是非とも日本の望遠鏡メーカーも学んで頂きたい。しかし欠点もあって、ちょっと表面が引っかかれると簡単に線がほつれてカッコいい絵がボロボロになる。w
それとこれは欠点とは言えないが、このケースは10cm延長筒を装着した前提で中の仕切りが作られているので、EMSのために延長筒を常時外して使う場合は、中のウレタンをあちこちカッターで工作しないと収まらないのは盲点だった。笑
鏡筒フードには、左右両面にロゴがシンメトリックにプリントされていて、BINO制作には都合が良い。まあ僕の場合はホイル巻きにして使うので関係ないがw。
フードだけでなくハンドルも前後端にロゴが入っていて、こちらも方向を入れ替えても左右対称に作る事が出来る。鏡筒バンドも限界まで薄く軽量に作られていて、少しでも軽くしたいという意思が感じられる。
他社と比較してこの鏡筒はだいぶリーズナブルだが、ネガティブ・ポイントとしては内部迷光処理が簡易的だ。フード内側には無反射布が貼られているが、鏡筒内部は墨塗りに留まる。遮光環もコンサバティブな小さいものが2枚だったかな?この辺りがコストダウンポイントなのだろう。無反射布などは工作が簡単なので、各自ユーザーのカスタマイズの楽しみと言う事で、売価とのトレードオフと考えるべきだろう。
昼間、接眼側から中を覗くと、思い切り筒内が反射している(^^) ドローチューブ先端に遮光環を付けるだけでも相当違うはず。
※(3/12追記)これは焦点位置よりずっと対物寄りに覗き込んで撮影しているが、焦点位置から見るとここまで問題にならないかもしれない。もう少し実験してみる。
もう一点、ちょっと困るかもしれない不思議な現象がこの鏡筒にはある。届いた状態で10cm延長筒も付けたまま、ドーローチューブを最大に伸ばしても、アイピース直刺しだとピントが届かない。5cmくらい浮かせてやっと合うので、天頂ミラー等の、何かしらのアタッチメントが必ず必要だ。最近はこういうのありなの?カメラもフィルターケースやら色々光路長が伸びた状態でも、31.7mmスリーブ半差しでギリギリようやくピントが来た。
まあ、これを買うユーザーに初心者はいないだろうから実害は無いかもしれないが、実に冒険心に満ちたブランドだ。笑
簡易的にEMS-UMを充てがってみると、なんと10cm延長筒を付けたままで、EMSを装着して写真の位置でそれぞれのアイピースの無限遠が届いてしまった。そりゃ直付けでピントが来ない訳だ。どんだけ焦点距離が遠いのだ。
一緒に新調したニコンNAV-17HWが最も対物寄りの焦点で、10cm+ドーローチューブ13mm。
ニコンNAV-12.5HW+EiC-H10が最も焦点が遠く、10cm+ドローチューブ40mm。
Masuyama 32がその中間くらいだった。
写真で使用しているEMS-UMの光路長が136mm。
このBINOの目幅に最適化したEMS-ULの光路長は165mm。
目幅ヘリコイド無しのEMS-UXLの場合は180mm。
そして愛用しているフィルタースロットが+12mm。
UXLで行くなら、180-136+12=56mm、上記写真よりも引っ込む事になる。ULで行くなら165-136+12=41mm。いずれにしてもやはり10cm延長筒は外す事になるが、ドローチューブを結構フルに伸ばした状態に近い。無限遠ならそれで合焦するが、もう少し近い地上風景に合わせる余裕はほとんど無い。なんとも微妙な光路長だ。というか、やっぱりこれ、設計ミス?笑 まあ松本さん曰く、EMSを装着するアダプターでどうにでもなるとの事だ。
使用している3枚玉の材料のアナウンスは無く、本社にメールで聞いても教えてくれなかった(^^) 恐らくFPL-51じゃないかな?とりあえず片目で覗いた風景は、スッキリと明るく、鮮やかな景色が輝いていた。あんな簡易な迷光処理だが(^^)、像質は完璧!が第一印象。
少なくとも眼視用途においては、3枚玉に期待する通りの申し分のない光学性能だ。これは双眼化が楽しみだ。
※(3/12追記)日差しのある明るい日中、遠くの木々を使って一生懸命アラ探ししてみた(^^)。葉の無い枝の一番細い先端部分で、マスヤマ32mmでわずかなパープルフリンジが眼視で確認された。ニコンNAV-17HWでは若干緩和される気がするが、周辺ではやはり縁にほんのわずかに色が付く。周辺の黒い電線にもわずかにフリンジが見えた。
ただフリンジが見える対象をみつけるのには苦労するほどで(^^)、緑の木々や富士山の雪景色を散々眺めたが色収差は感じなかった。僕の記憶の範囲では、フローライト2枚玉のBorg 71FLよりはフリンジは格段に少ないと思った。まあ、このコスパだ。究極を求める人が買う鏡筒では無い(^^)。
カメラもちょっとだけ試してみたが、だいぶRedCatより拡大されて120APOの電子観望も楽しい(^^)。1/1.2インチセンサーのASI585MCで使う限り、フラットナーは必要無いんじゃないかな。電子観望で見ている限り、周辺像のアラを探しても見つけられなかったが、写真専門の人がこれをどう評価するのかは分からない。
バローレンズ等、何も使わずに直接撮影してスタック、トリミングした。(100%)
多分、左上のポチがシリウスB?眼視ではあれだけ苦労して見えなかったのが、12cmでこんなにあっさり分離する?いや違うかも、、
電子観望した絵を保存。無加工。この日は風も強かった。葉山のベランダ。M81がRedCat 51のアンドロメダサイズで写る。Askar 120APO+ZWO ASI585MC。BIN1、Gain252、10秒x24枚。(IR/UVカットフィルター)
星像はRedCat 51よりも若干大きい気もしなくも無いが、このカメラの組み合わせだとフルサイズ換算で恐らく焦点距離2500mmくらいになるのかな?地上風景を写すととんでもない拡大率になる。これくらいで当然な気もするし、そもそもバーティノフマスクが無いと僕がまともにピントを合わせられないのでw、まだ何とも言えない。
※(3/12追記)富士山周辺で少し電子観望してみた。僕の視力で3等星が見える程度で、富士山周辺は光害が結構酷い。しかし最初の一枚目が表示された時には、10秒露光でこんなに写るの!?と驚いた。これは少し加工、トリミングした。フラットナー、レデューサ等は持っていない。
M51。Askar 120APO,+ASI585MC、BIN1、Gain450、10秒47枚スタック。
アンテナ銀河のヒゲは、もうちょっと露光が必要? NGC4038。Askar 120APO,+ASI585MC、BIN1、Gain450、10秒34枚スタック。