2025年8月26日 イチロー

70ED-BINOを中軸架台で使う!

小型BINO用にチャイナに注文したジンバル雲台が役不足だったので、ビクセンHF2経緯台かサイトロンSJ-Mを検討していたが、出来れば手元にある道具でなんとかしたい。そこでL字ブラケットを利用してMatsumoto中軸架台に乗せてみた。そこにはいくつか困難があり、無い知恵を絞ったのでシェア(^^)。

と言っても、少し眺めれば小学生でも解決できそうな問題が(^^)、大きく2つ。まず完全バランスで運用するためには、L字ブラケットをここまで下げる必要があった。当然、通常の使い方だと水平回転軸に当たってしまいまったく天頂側に向けられない。よく考えずにL字ブラケットを注文したので、届いた時には失敗したかな?としばらく放置していたが、中軸架台を前後反対に使うことを思いついた^_^。上の写真で言うと、接眼部が右側になる。

文章化すればアホほど簡単な話だが、こちらが手前!という染み付いた先入観は恐ろしいw。これで天頂クリア。

そして注文したL字が、底面プレートの設置位置を柔軟に変えられる親切設計になっていて、水平時に水平回転軸に接触する問題もクリア出来た。脱落防止ネジも最初から装備していて素晴らしい。ちょっと高価だしズッシリと重いが、剛性も十分だった。


AstroStreet L型マルチアリガタプレート

BINOの脱着はビクセンアリミゾでは無くアルカスイスを選択。ノブをクルクル回すクランプの代わりに、レバー式を採用した。特に70ED-BINOの場合は目幅調整ノブがほぼ同じ位置に来るので、暗闇でうっかり間違えると脱落事故になる。

事故防止だけでなく、レバー式は喜びの涙を流すほど便利なもので、全てのクランプをレバー式に交換したいほど楽になる。ノブ式の場合、特にビクセンアリミゾはストロークが長いので、重い鏡筒を片手で支えながら60回くらいねじらねばならず、しかもそれが1本のクランプにノブが2個あったりして笑、さらに双眼だと60回 x 4箇所のネジ地獄が続く。ここが何より一番面倒臭い作業だったりする。

さらに極寒の暗闇で手袋で小さいノブを回しにくいだけでなく、固定が中途半端なことに気付かず、危うくNIKON WXを脱落させてしまいそうになったことがある。レバー式はワンタッチで手軽なだけでなく「クランプ完了」が保証されるのだ。ただし、極端な温度変化でプレート質量が変形を起こした時に何が起きるか、しばらく様子を見る必要がある。

レバー式クランプは現在アマゾンでは3種類選択肢があって、カメラ雲台もレバーに変えたかったので、一番下は以前APM120SDで使っていたので今回は上の2つとも買ってみた。一番上だけがクランプの噛み込み強度の調整機構を持たないので、噛み込みが甘いプレートはクランプ内にセロテープなどを貼って調整する。オススメは六角レンチで簡単に調整できる、下の2つ。

SWFOTO AC-60 60mm クイックリリースクランプ アルカスイス レバー 
クランプ調整機構を持たないが、2点留め出来るのでクランプごと回転するのを防げるが、上記L字ブラケットと微妙にネジ幅が合わず、固定箇所が限定された。


SWFOTO クイックリリースクランプ アルカスイス SLC-50B
一点留めだがクランプ調整機構あり。一番軽い。使っているうちに回転する可能性があるのと、一度回転を許すとネジの緩みの原因になる。

SmallRig Arcaタイププレートクランプ アルカクイックリリースクランプ-2143B 
一番高価で重いが調整機構も装備し、ネジ穴が沢山あるので設置位置の自由度が高い。

これまでは鏡筒を乗せる目幅プレートに操舵ハンドルを直接接続していたが、向きを変える時に光軸がわずかにたわんで不快なので、L字ブラケットの底面に付けられるようにした。これでどんなに振り回しても光軸への影響は皆無。

これで水平から天頂まで、ようやくクランプフリー完全バランスで使えるようになった。しかも水平は物理的にこれより下に向かないし、天頂側もこのあたりで止まってそれ以上回転しないので、撤収時などバランスが変わってクルッとひっくりかえる心配も無い。ああ、快適(^^)。

双眼で使う前提に開発された中軸架台を片持ちで使うと当然、水平も垂直も回転軸が渋くなるため、もう一方にも出来るだけモノを乗せたい。ビクセンアリガタを一本購入し、そこにアルカスイスプレートを固定して何でも付けられるようにしてみた。


SVBONY SV219 ダブテールプレート210mm


カメラレールノダルスライド 150mm クイックリリースプレートクランプ

バッテリーと、ファインダー代わりのレーザービーム、それと回転台を挟んでiPadステーを取り付けた。鏡筒の回転角度に応じてiPadの角度も変わるので、あったほうが良いかなと思ったが、別に無くても困らなかった。

koolehaoda 360°ミニ パノラマ雲台 

JEBUTU スマートフォン三脚マウント 三脚ホルダー 

SmallRig 自由雲台 マイクロボール雲台 

SWFOTO PC-03タブレットブラケット 

SmallRig ダブルボールヘッド マジックアーム 多機能ダブルボールアダプタ-2157 

レーザービームは他の星屋さんが写真なんか撮っていたら迷惑になるが、誰もいない時はこれが一番便利だ。ボタンを押すと美しいグリーンの光線が一直線に対象を指し示すので、ドットファインダーの様にいちいち椅子から降りて下からアクロバティックに覗き込む必要が無い。こうして人はどんどん怠惰になっていく笑。

この程度の重さでは反対側のBINO本体+ブラケットの重量に全然及ばないが、無いよりは格段に動きが改善するし、三脚転倒のリスクも減少したのは実感出来た。

なんだかゴテゴテして、ちっとも手軽な感じではなくなってきた気もするが笑、一度組んでしまえば一晩中、実に快適に眺めていられるようになった。

あとは写真は撮り忘れたが、NIKON NAV-17HWなどで大きくバランスが変わった時に、L字ブラケットの底面に別のアルカプレートをクランプするワンタッチ・ウェイトも用意した。BINOの天面にも傾斜センサーをクランプ出来る様にして、中軸架台はエンコーダーを内蔵しているので、これでSkySafariと連動出来るようになったのはHF2経緯台やSJ-Mでは実現が難しい、大きなアドバンテージだ。

元々、低倍率専用で遊べればいいやと思っていた70ED-BINOだが、試しにSVBonyの3-8mmズームアイピースで月面を見た所、3mm 140倍でも物凄く良く見えて驚いた。月のリムには多少色が付くのだが、サイドバイサイドで比べた訳では無いが、3枚玉Askar 120APOと変わんなくね?^_^ そもそも老眼が進み、僕の目が劣化していることは否めないが、少なくとも僕の目には同等の鮮烈さで楽しめた。今までFPL-51を軽視していたが、NIKON WX対決の時も感じたがこの安価な二枚玉ユニットは伊達にEDレンズでは無いようだ。

こういう倍率まで及ぶとなると、やはりファインダーやらSkySafariが欲しくなって来るのだ。

これを覗いてると、口径って何だろうという気持ちにならなくも無い(^^)。もちろん120APOなら同じアイピースで280倍出せるし、7cmじゃ系外銀河や球状星団は20cmツインの迫力のハの字にも及ばないんだけど、7cmで堪能出来る双眼リッチフィールド・宇宙散策の喜びは大型と何も変わるところが無い。

なんで気付かなかったんだろう。カメラ用フィルターケースが、ネビュラフィルターの管理にもとても便利だった。82mm対応だとフィルターアダプターに装着したまま収納出来る。

K&F Concept フィルターケース 10枚用 フィルター径82mmまで対応

ちなみに、もう何度もこのBINOと夜を過ごしているが、このホイル巻きの長いフードで対物が曇ったことは一度も無い(電熱線無し)。アイピースは曇りまくるけど(^^)。

さて、これで準備は整った。早く晴れないかなあ。

 

Blackmagic Cinema Camera 6KとSIRUIアナモルフィックレンズで撮ってみた

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Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

最初は誰しも「ライカ+自分」の実験段階から始まる。もう少し発展すると、次第に「自分+ライカ」つまり道具の恩恵にあやかりつつも、主体は人間である事を意識する様になるし、またそうあるべきだ。最後は「自分+カメラ」、もはやライカであるかどうかは重要では無い段階に、至らなければならないと僕は思っている。

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ズミクロンを押した直後に恐縮だが^_^、先日のJLUGの集まりで先輩方のレンズを触らせて頂いた勢いで、久しぶりにズミルックス50を購入してしまった。初代と現行第4世代を経て、今回は第2世代を選んだ。そして悟った。やっぱズミルックス50はむちゃくちゃ面白い!

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ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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構図の添削3

JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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構図の添削2

前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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写真は「滅びの美学」

以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

L1020739

Hasselblad X1D II

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Leica S

M9-P

Leica M9

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Leica M Typ240

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Leica M10

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道具編

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天体観測

Blackmagic Cinema Camera 6KとSIRUIアナモルフィックレンズで撮ってみた