先日、メシエマラソンの作戦を立てたので早速実践だ。しかしちょっと無茶な計画で、昨晩オールで乙女高原で遊んだ翌日だ笑。既にヘロヘロになりながら伊豆に向かって富士五湖道路を走っている時に、ピンと来て無計画に高速を降りた。メシエマラソンにバッチリな場所発見!(^^)
ろくに寝てないので、試しにスタート対象周辺だけでもやってみる事にした。しかしここは見ないのは勿体ないほどの凄い場所だ。360°遮るものが無い。西北西に鎮座する富士山以外(^^)。富士山の高度を正確に調べられれば、ここでメシエ・マラソンに参加出来たら近くていい。
標高が低いので、気温も楽勝だ。昨晩の乙女高原1500mは、セッティングしているこの時刻からマイナス10°を切っていた。笑
セッティングも決まった。20cm F7ツインを下ろしたTTS-160にRedCat 51II-UとAskar 120APOを搭載。RedCatで電子観望+120APO+EMS単眼で眼視の組み合わせだ。カメラはASI585MC。4月に冷却機能が付いた585MC Proが出るらしい。見なかった事にする(^^)。
RedCatを120APOの上に乗っける仕組みを考えれば、写真を撮ってる間は双眼で眺めながら待つ事も出来そうだ。でも撮影中は少しの振動も許されないので、分けたほうが使いやすいかな?アイレリーフの長めのアイピースなら問題ないかもしれない。
6時半には、木星がハッキリと見える。アライメントも難なく完了。一瞬、富士の付近で黒い雲が湧き、雲がこちらに迫ってきた。雨が降る匂いを感じたので、大事をとって眼視セットだけ撤収。結局雨は降られず、予報通りスッキリと晴れてくれた。
すぐ近くで鹿がムシャムシャやっている(^^)。ここの鹿は人を怖がらないのかな?
RedCat 51とASI585MCで富士山頂上を撮ってみた。赤外のみを通すフィルターつけっぱなしな事に気づかず、白黒になってしまった(^^)。
19時前にM74から早速電子観望開始。西のレイヤー1は時間的にも高度的にも電子観望なら楽勝だった。天体との位置関係から、ここから見た富士山頂上は高度13°と判明。20°必要なメシエマラソンには何の障害にもならない。東側にいくつか立っている木もギリギリ5°。ここならメシエマラソン完走を狙える。富士山の頭にすばるが沈んで行く様が面白い。
真東に木がいくつか。電線も多少あるが、沈む方角を正確に把握しておけば、鏡筒設置ポイントをズラしてM30と重ならない工夫も出来る。
ただここは光害が酷い。富士周辺は意外と大きい町に囲まれていて、全周30°以下は真っ白だ。これでは見えるものも見えない。見えても楽しくない。電子観望ならOK。
眼視セットはしまったので、車の中でiPadで操作して、電子観望してみる。ASI Air PlusはWifiも全然問題ない。寒く無いし、iPadをタップするだけで勝手に導入、勝手に中心をあわせて、勝手に撮影してくれる。人間は、テキトーな所で止めて、iPadに画像を保存する事くらいしかやる事が無い。
iPadを持っている手が疲れてきたので、20cmF7 BINOで使ってるiPadステーを車のステアリングに固定(^^)。眼の前にiPad劇場が完成。独り電子観望に、これはいい。
ポン・ブルックス彗星は昨日も乙女高原で20cmF7BINOで見たが、尾まで見えるほど立派だった。メシエとは関係の無いものも撮って遊んでいられるほど余裕だった(^^) William Optics RedCat 51 II-U+ZWO ASI585MC。BIN1、Gain450、10秒x31枚。(この日、うっかりIR640PROIIフィルターつけっぱなしで全部撮ってしまったw)
しばらく電子観望で遊んでいたが、やがてASI airに「プラン」というモードがある事に気がついた。これ、もしかして見る対象を登録しておけば、全部勝手にやってくれる?さらに楽が出来る?笑
早速いじってみると、マニュアルが無くても直感的に登録出来た。スタートすると、あとは完全放置。あっと言う間に何十個もの対象の撮影が完了していた。(ただし、スタッキングは自動でやってくれないらしい。後で全部の対象をスタッキング処理する宿題を残すのは、凄い嫌だw)
その間、人間は双眼鏡で別の対象を眺めてみたり、しまいには車の中で眠りコケたりしていて笑、これ、メシエマラソンに参加したと言えるのだろうか?(言える訳ないか、見てないんだからw)全自動で人間は何もせず、ただ画面を眺めていれば良くなった。が、天体画像を収集しているだけの時間が何かつまんなくなってきて、結局途中でマラソンを放棄してしまった。笑
William Optics RedCat 51 II-U+ZWO ASI585MC。BIN1、Gain450、10秒x20枚。(IR640PROIIフィルター)
これまでは天体を探し出す事自体が難しかったし、困難があるから発見の喜びがあった。見えるか見えないかギリギリで、ちょっと銀河の腕が見えただけでも嬉しかった。マラソン完走なんか、導入支援無しでは物凄く大変だろうし、達成感もひとしおだろう。だから、やる価値があった。
今回、メシエマラソンのアドバイスを下さった川合さんは、倍率固定の対空双眼鏡をずっと愛して使い続けておられる。導入支援どころかファインダーすら使わず、昔ながらのスターホッピングで一晩に300を超える天体をご覧になる。だからもの凄い量の情報が、すっかり頭に入っていらっしゃる。
僕も昔、カーナビを使わなかった時代までは、都内の道に詳しかった。どこでも人に言葉でルートを説明出来た。そしてナビに頼る様になり道を覚えなくなった。それと同じ事なのだろう。
実視界100°アイピースだの何とかフィルターだのエンタメ性を一切求めず、その機材とじっくり付き合い、それが見せてくれる低倍率の世界をとことん楽しむ。カメラでも何でもすぐに飽きてあちこち浮気する僕は、そんな川合さんの道具との付き合い方、星との向き合い方に、どこか羨ましい気持ちが湧いてきて仕方がない。
電子観望は目覚ましい進化だし、その恩恵は間違い無くある。が、星を見る喜びとはなんだろう、進化は人に何をもたらすのだろうと、別の事に思いを馳せる晩だった。
マルカリアンチェーン。William Optics RedCat 51 II-U+ZWO ASI585MC。BIN1、Gain450、10秒x33枚。(IR640PROIIフィルター)