X1D II 50c – Hasselblad, Planar 80mm F2.8 T* (ƒ/2.8, 1/60, ISO 200) ©2020 Saw Ichiro.
C Planar 80mm F2.8は最短撮影距離90cmだが、クローズアップ・リングを使って50cmくらいまで寄る事が出来る。一方、現代レンズのXCD90は70cmと現在のライカMレンズと同等で、クローズアップ・リングのオプションも無い。そこでXCD90用に、レンジ・ファインダーではなかなか使いにくいクローズアップ・レンズなるものを試してみた。
ケンコー等からいくつかの選択肢がある。激安な一枚レンズのMCシリーズと、アクロマート2枚レンズのACがあり(アポクロマートでは無い)、ACが4隅の歪みや色収差補正に優れているという事から、Kenko 67S PRO1D AC クローズアップ NO3を選択。XCD90の口径は67mmだ。
ついでにND4フィルターも調達した。
日中野外で使用する場合、X1D IIのシャッタースピードは最高1/2000sという事で、例えf値の暗めな中判レンズとしても、陽が直射しているとf6.8くらいまで落とす必要がある。ちなみにライカM型は最速1/4000sだ。
しかも絞り優先で使用していると、適正露出をオーバーするとシャッターを切らせてもらえなくなり、カメラが許してくれるポイントまで手動で絞りを絞らされる羽目になる。
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/6.8, 1/1500, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.
という事でX1Dでポートレートを撮るならNDフィルター必須だ。開放にこだわるならもしかしたらND8が必要になるかもしれない。
手前がクローズアップ・レンズで奥がNDフィルターだ。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/3.2, 1/180, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.
クローズアップレンズは意外なほど分厚く立派で、67mm径ともなると結構なサイズ感と重さがある。X1D IIで本格的なマクロを望めば、選択肢はXCD 3,5/120 Macroしか無く56万円の追加出費を要するし、970gのデカくて重いレンズだ。
ACレンズはMCよりも価格は高めだが、お手軽マクロにはうってつけと言える。
クローズアップ・レンズの有り無しをちょっと比較してみた。
XCD90の最短撮影距離から撮影。ビデオライト一灯。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.8, 1/45, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.
クローズアップ・レンズ装着。もちろんノークロップだ。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.8, 1/45, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.
ちなみにクローズアップ・レンズ無しを同じくらいにクロップしてみる。
クロップ版。X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.8, 1/45, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.
うん、画質的にも何も問題無い気がする。これで十分じゃないかな(^^)XCDレンズシリーズは、レンズシャッターを内蔵している分、スペック上の口径よりもだいぶ小さいレンズが装備されていて、67mmクローズアップ・レンズも中心部分だけが活かされ、周辺部はほとんど使われていない状態になる。
デジタルパックHasselblad CFV II 50Cの出荷が始まったとの事で、500C/Mのフィルムパックと置換して使用する事を少し考察してみた。
初代Cレンズ・プラナー80mmF2.8を使う限り、長さはXCD90を装着したX1D IIよりも短くなる。フードを付ければほとんど変わらないと思われる。意外とX1DIIの方が小型という感じでは無かった。ただプラナー80mmも第二世代のCFレンズはレンズ自体がやや大型化する。
Distagon 50mm F4 T*を装着すると、フード無しでも全長がより長い。Sonnar 150mm F4もサイズ感はほぼ同じだ。
Cレンズ・プラナーで行くならサイズや重量の問題は取り敢えずクリア。問題はシャッタースピードで、500C/Mで行くなら当然最速1/500sとなり、速いとは言えないX1D IIから更に2段遅くなる。それもまあ、NDフィルター入れるか絞れば済む様な話ではある。
X1D II 50c – Hasselblad, XCD 3,2/90 (ƒ/4.0, 1/30, ISO 1600) ©2020 Saw Ichiro.
XCD90を買ったものの、まだ一度も撮影にお出かけ出来ていないし仕事の用事にしかほとんど使っていないのだが、質感は個人的には古いCarl Zeiss製Vレンズの方がやっぱり好みだったりする。新しいハッセル・レンズは特に文句も無いのだが卒がなく優等生な感じが、なんだかソニーで撮ってるみたいな気分になる。
なんとかしてCFV IIを買わない理由を探そうとしているのだが(笑)Vレンズを電子シャッターに依存せずに使えるのは素直にとても魅力的だ。
X1D II 50c – Hasselblad, Planar 80mm F2.8 T* (ƒ/2.8, 1/200, ISO 100) ©2020 Saw Ichiro.
500S/Mのミラーアクションは、見た目にもボディ全体が揺れるほど振動が大きく、どんなに頑張って握っていてもそれは避ける事は出来ない。
フィルム時代には問題にならなくても、5000万画素センサーでは全てのショットが手ブレ状態になる懸念がある。まあそもそもサラ・ムーンみたいな絵に憧れて古いレンズを使うからには、手ブレなんかどうでも良いか(^^)
こんなのを見ちゃうと、手ブレ云々といった話が如何に下らない事を問題にしているかを思い知らされるし、確実に古い方に行きたくなってしまうのだが、、、
by SARAH MOON。テキトーにネットで一枚ピックアップしたが、彼女の作品はどれを拾っても目の覚める思いがする。ちなみに彼女もハッセルブラッド500Cを使っていたし、気をつけて見ればウェストレベル(バストレベル)で撮られている様にも見える。
久しぶりに彼女の作品を眺めたら、もうこれ以上何かを書く気が失せたので辞める(笑)こんな猛烈にカッコいい表現は真似する事すら出来ないが、こういうフィルムの名作の質感を目指すのでは無く、この2020年では一体どんな表現が面白いのか、X1DIIの美点を生かしてそんなクリエイティブな方に少しづつ視点を向けて行きたいという願望は、一応あるw。