だいぶ昔、10年ほど前に初めて雲間に見え隠れする月を双眼望遠鏡で見た僕は絶句し、レンズが映し出す映像美に心から感動した。その後、何度も望遠鏡を買い替えてるし、今ではその時より望遠鏡もアイピースもずっと性能が上がっているが、あの時の言葉に出来ない雄大な景色は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。
オッサンが見ても感動する凄い絵だ。まして多感な子供時代にそれを体験出来たら、どんなに素敵だろうという想いで、月面散策ツアーを決めた。
4月28日初日は観望して、二日間悪天候で中止、ご要望の声を受けて5月2日に、役場の関係者のご好意でもう一度開催する事が出来た。特に最終日は、物凄い数の方々がわざわざ足を運んで下さった。
天体の大先輩の田畑さんが二日間ともヘルプして下さった。田畑さんの望遠鏡は、最高峰の写真が撮れるほどの超高性能なものだし、何より子供達や、まだ天体の美しさをご存知無い方々に感動を伝えたいという熱い信念をお持ちだ。本当に得難い仲間だ。
5月2日は田畑さんの2台の高級望遠鏡と、イチローの双眼望遠鏡2台、ライカ双眼鏡一台の計5台でお迎えした。しかし、人数が多過ぎた。
長い行列が20cmF7 BINOにできてしまった。聞けばなんと2時間待ち。汗 ディズニーランドじゃないんだから、そんな苦行を強いるつもりは全然無かったはずが、結果的に諦めて、見ることが出来ずに帰ってしまうご家族を少なからず出してしまった。
途中から観望時間を一人1分に制限して欲しいという要請を受けて、本当は心ゆくまでじっくり見て欲しいのに、せかす様なご案内をせざるを得なかった。
イベントとしては大盛況に見えるし、食事やドリンクも完売だったそうだ。喜んで下さった声も沢山頂いた。でも見れずに帰った方を思うとそっちの方が重く、イベントを終えてチーム内では、喜びに勝りとても心を痛めている。
僕は大型双眼鏡の脇でかかりきりだったので状況は分からないが、中には天体に強い興味があるのに、妹が眠くて帰らざるを得ない男の子が居たと聞いた。双眼視をひと目見たくて、でもやむを得ず帰宅された女性もいらっしゃった。
なのでもし残念なお気持ちを抱えてこのブログを見て下さってる方がいらっしゃったら、是非ご一報下さい。芸術祭とは関係なく、人数制限を設けて場所も変えてもう一度望遠鏡出します。喜んで何度でもやりますので教えて下さい。
また、エンタメを超えてもっと知りたい、もっと見たいという方がいらっしゃいましたら、遠慮なくメール下さい。ディープでマニアックな世界にご招待します(笑)
全員帰った後、宇宙に情熱のあるイケメン2人が最後まで残ってくれた。将来、宇宙飛行士を目指すと言う。日本から、葉山から、未来の宇宙飛行士、科学者が生まれるなんて、そのお手伝いが出来るならこんな嬉しいことは無い。もう撤収しなければいけない時間をとっくに過ぎていたが、僕の独断で彼らにもう一度じっくり見てもらう方が重要と判断した。
もちろん警備員のオジサンにも謝罪と感謝の気持ちをお伝えしつつ、最後に月を見て頂いた(^^)
たまたま今は僕が所有している、この貴重な大型双眼望遠鏡は世界のレジェンド、メガネのマツモトさんに直接譲って頂いたものだが、これは僕が独りで楽しむためにここにあるのでは無い。皆が楽しむための僕は管理人に過ぎないと思っている。とことん付き合うので連絡下さい。
お越し下った皆様、改めて心より御礼申し上げます。
葉山町の山梨町長が、なんと最終日もお越し下さった。役所の駐車場が満車と分かると、人知れず関係者スペースまで空けるよう手配して下さったと聞いた。
受付や飲食店など、ヘルプに来て下さったチームの皆様も、食事を取る事も出来ないまま、文句も言わず夜中まで頑張って下さった。本当にありがとうございました。でもこんな無茶なやり方では続けて行けないので、しっかり対策を考えます。
この会を通じて、皆で打ち上げ出来る程度の利益を頂いた。その事をお伝えして利益のシェアを申し出たのだが、田畑さんは何の迷いもなく利益は辞退させて下さいと仰った。
正しくない大人や政治家の言動に、もう日本は腐りきったと憂いていたが、日本はまだまだ美しい!皆の心意気に月よりも感動したし、こんなに沢山の人が天体に興味がある事を知って、目頭の熱くなる素敵な二日間だった。