XCD45P f4.0

APM120 双眼望遠鏡で遊んでみた

また新しいオモチャが届いた。(^^) 平たく言えば、天体向けの双眼鏡のお化けだ。宇宙を眺めると聞けば「は?何のために?」と思われるかもしれないが、それは何のために写真を撮るのか?と問う事と同じで、我々は何か「得」をするために生きている訳でもない。(そういう人も居るが) 究極的には人生の醍醐味は「感動」がキーワードと僕は思っているし、天体観測はあらゆる人間の創造活動と同様の「美の追求」であり「感動体験」に他ならない。今日はちょっと畑違いだが、肉眼で眺める天体の世界を少しご紹介したい。 僕は天体写真はやらないが、ハッセル45Pを空に向けてISO12800でテキトーに撮ってみた。f4のレンズは夜空を撮るには全く不向きだが(^^)、とりあえずは何か写った。特に45Pはフォーカス回し切りで無限遠ピッタリにならず、何も見えない真っ暗闇に向けてのピント合わせはすこぶるムズい(笑)。天の川を挟んで上部にはアンドロメダ銀河、中央下には冬の人気観望スポット、二重星団が写っている。 我々現代人は宇宙との関わりをすっかり失い、自分たちが宇宙空間に浮かんでいる事を忘れて久しい。本来人類は何万年もの間、日が落ちれば天体に想いを馳せ、宇宙からの光を日常的に眺めながら過ごしてきた訳で、今は多分、人間にとってかなり不自然な環境だ。こんなに美しいアートがいつでも頭上に広がっているのに、これを知らないなんてもったいなさ過ぎる!しかも一昔前なら高嶺の花だった素晴らしい双眼望遠鏡の完成品が、今では随分入手しやすくなった。 望遠鏡でなくても、スワロフスキーやライカなど高級な双眼鏡を覗いた経験がある人なら分かると思うが、素晴らしい光学系は息を飲む様な驚きがあるし、天体だけでなく地上風景に向けてもそれは文字通り感動モノだ。ひとたびその光景を見てしまえば、二度と安物の双眼鏡に戻れなくなる常習性がある。 僕が購入したAPM120SDは、12cmEDアポクロマート・レンズのツインで、90°対空接眼部を装備し、天頂付近でも無理の無い姿勢で眺められる。アイピースを交換する事で事実上、無制限に倍率を変更出来る。(光軸が許す限り。)これまで口径10cmオーバーのAPOレンズでこの様な双眼システムを組む場合、世界的に有名な鳥取の「メガネの松本」さんにオーダーメイドをお願いして、一本100万円とかの鏡筒を2本揃える必要があった。 そんな一部の人だけに与えられた超贅沢品だったものが、既製品で100万円を大きく切る価格で利用出来る時代になった。 僕の望遠鏡の履歴は、13cm反射単眼 → 松本さんの10cmアクロマート双眼 → 中国産8cm3枚玉アポ双眼 → 自作7cmフローライト双眼を経験した。双眼機構の肝は全て松本さんが開発したEMSだ。 EMSとは2回のミラー反射のみで大きな望遠鏡の目幅から人間の目幅に変換し、同時に90°対空の正立像を実現するアタッチメントで、これにより二本の望遠鏡並べて双眼視する改造が可能になった。従来のプリズムに比べ像質劣化や光量低下が格段に少なく、EMSの出現により双眼望遠鏡のカテゴリーが本格的に開花したと言っていい。 左が10cmF5BINO。もう何年前の事だろう、松本さんが使用されていた所有物を譲って頂いたのが、僕の双眼望遠鏡との出会いだ。右がその後、松本さんに新調して頂いたBlanca 80EDT BINO。 最近まで所有していた自作Borg71FL BINO。自作と言っても、松本さんの主要機構の他、市販のアルカスイス・パーツを工夫して組み合わせただけだ。Borgのフローライト・レンズと松本EMS銀ミラーとの組み合わせの抜けの良さは特筆モノで、鮮烈極まりない見え味だった。どれもこれも思い出深いが、いずれもカメラなどを買うために手放してしまった(^^)。もったいない事をした。 ちなみに松本さんのサイト内のEMS商品写真の多くは、僕が以前撮影させて頂いたものだ。 カメラは何で撮ったか忘れた(^^)。Sony α7だったかな。 望遠鏡と言えば一般的なイメージは片目観望だが、両目で覗く事がいかに自然で快適な事か、一度体験すれば誰でも納得出来る。やはり単眼ではよく見えないし、そもそも片目じゃ見辛くて長時間見ていられない。両目で見る事で左右脳で補完し合い、実際の集光力の理論値よりもずっと明るく、大きく見える。1.6倍だったかな?まだまだ双眼望遠鏡は一部のマニアの道具だが、今後ますます双眼視が主流になっていくはずだ。 最初は集光力重視だったのが目が肥えていくにつれ、像質重視、お手軽な小型BINOに変わっていった。しかしやっぱり大口径レンズで、遥か彼方の深宇宙をもっと良く見たい!という願望が再び強くなり、でも像質は落としたくない、でも超高級品は無理!という事で、APM120SDは完璧なソリューションだった。 12cm口径の集光力は肉眼の293倍、極限等級12等だが、その二本分の集光力 ✕ 左右脳内コンポジットの威力は、体感的に倍の口径を凌駕する。 APMはLeicaと同じくドイツメーカーだが、APM120SDは日本製OHARA FPL-53特殊EDレンズを使用している。僕は元々、望遠鏡は国産フローライトが最高と思っている派だが、それに匹敵するらしい。…

ハッセルブラッド Hasselblad XCD 4/45Pのレビュー

Leica CL, Summilux f1.4/50mm 1st (ƒ/1.4, 1/60, ISO 125) ©2020 Saw Ichiro. 日本国内ではいつまで待っても、どこにもちっとも入荷されないハッセルのニューレンズ45Pが、NYに頼んだらあっけなく届いた話。まだ使い始めたばかりで日が浅いが、少しレビューを書いてみる。 X1D II 50c – Hasselblad, XCD 4/45P (ƒ/4, 1/90, ISO 200) ©2020 Saw Ichiro. ほぼ無加工Raw撮って出し。 近所を少し歩いたファーストショットで、そのクリアで鮮烈な描写に、久しぶりにちょっと感動させられた。開放f4.0と控えめな設定と引き換えに、世界最軽量の中判レンズの称号を手に入れた訳だが、こいつのアドバンテージはどうやらサイズとプライスだけでは無いらしい。 X1D…