年が開けてまだ15日だが、既にLightroomには1,000枚の写真が残っている。いつも半分以上のボツ・ショットを速攻で削除するので、2,000回はM10のシャッターを切ったかもしれない。12月はほとんどカメラで遊べなかったので、なかなか良いペースだ。
iPhone7
これは年末に、近所のカメラマンさんのお宅にお邪魔した時の写真だ。精悍!この中のライカとフジは僕のだ。
並べて記念写真を撮る時に、彼がボソっと言った言葉が妙に頭に残った。
「このライカ一台で、ここにあるカメラ全部買えるよ。。。」
M10はしっかりと正常進化を遂げ素晴らしいカメラに仕上がっているが、価格に問題がある。この前値上がりして今はbodyが税込み95万円。一方M9はヤフオクで30万円台で常に複数選択肢があるし、M9Pも40万円前半だ。今振り返ってもやはり、M9がダークホース的存在に感じるのだ。
Leica M9 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/2.0, 1/1000, ISO 160) ©2017 Saw Ichiro.
僕はM10を持ちながら、昨年秋からまたM9にずっと恋心を抱いている。確かに階調表現や解像度はM10はミラクルだし、ホワイトバランスもM10の方が優秀なのだが、M9は時々、目を疑うほど絵に強い力が宿る事がある。単に発色が濃厚というだけでは片付けられない何かがあると感じるのは、既に手放してしまったが故の僕の幻想か?
同じ条件で撮っても、M10はこういう感じにはならない。ヨドバシ.com-LEICA M9 実写インプレッションより
M9は夜は弱い。黒が真っ黒に写らないショットを何度か経験し、そこに妙な古さを感じたものだが、これがデジカメの世界でいう、ダイナミックレンジが狭いという事か。それに、人によってはM9の高感度耐性や背面液晶は、耐え難いロースペックと感じるかもしれない。が、今になって思えば、どれもこれも工夫で乗り切れるものではなかったか。だって、得られるものが唯一無二なのだ。
Leica M9 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/350, ISO 160) ©2017 Saw Ichiro.
僕はM9を語れるほど長期間使っていないのだが、現在M9とM10両方を所有しているDesireさんにM9の美点をお伺いした所、大変ご丁寧で興味深いメッセージを下さり、こちらでご紹介する事をご快諾頂きました。
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M9系の画は格別で正直M10は後継機が出たら買い換えるかも知れませんが
M9-Pは一生売らないと思います
それぐらい違います
画は似てはいるんですが、使い勝手が全く違うんですよね
M10に関してM9と全く違うのは正直シャッターです
みなさんシャッタ音が最高なんて書かれていますが、私にとってはM9の方がシャッターチャージ音もあって最高です
あと、何より最高なのは分離シャッターです
これがあるだけで手ぶれの歩留まりが全然違うんです
私50mmで1/4まで止めたことがありますから(結構高確率で)
あとファインダーもM9の方が2重像の合掌がなぜかはっきりわかるんです
M10は先日の旅の際にも結構外していて正直がっくり
微ブレもあってさらにがっくり…その点M9だとまず高感度はiso800までしか使えないので
その分しっかり構え、構図を決めてピントを合わせて静かにシャッターを押し込み
しばらくしてから戻せばシャッターチャージの際に微ブレしません
M10はiso上げて撮ってねというのがあるのかシャッターショックがあるんです
もちろん最新の注意を払いながらであればそれも防げるとは思いますが…
残念ながら私は移動(歩き)しながらの夜撮マニアなのでこの点は全くM9の完全勝利です
私はM9-Pの黒をもう一台買おうと思っているぐらいです
採光窓もある方がかっこいいし、電源入れなくてもレンズごとに画角の窓が出ます
あと起動の速さは格別でこれは絶対にSDカードを読みに行ってから起動する設計にしているのが問題だと思います
M9は本体ROMにまず書き込むということをしないとCCDが故に遅いのでそういう仕様にしていたんだと思います
あとはM9 CCDのコクのある画ですね、これはコダクロームを彷彿とさせるものでCCDに起因しているはずです
設計もKodakと共同開発ですのでその点もM9は凄いのです
背面液晶はM10もM9も露出も色も合ってないのでそのうち慣れます
でも意外とそこに映し出される画はM10の普通の画と違って青みがかっていて雰囲気最高にみえます
ただしLightroom等で読み込むと全く違っていて笑えますけどね
わたしはその背面のイメージで現像しますのでそれもまたいいんです
WBは最新の対策CCDになってからは意外と狂ってないといいますか(狂ってはいるんですけどね)
M240とM9を併用して旅した刻の現像と比べると楽なモノです
簡単に同じ感じというかM9を直せばちかくなります
M10もM9に近い現像もできます
これは慣れとスキルの問題だと思うので好みだと思います
私はM9に基本合わせます
ただし、室内蛍光灯や常灯光などはM10のWBは素晴らしいですよ
こっちの方が正しいです(笑)
そのときはM9をM10に近づけます
M9のいいところばかり書きましたが悪いところもばっちりあります
高感度の弱さ、ボディの厚さ(でもM10より軽い)、シャッターが2段階で降りるので慣れていない人は文句があるようです
私はシャッターボタンを付けたら改善したのでそうしていますし、それも好きなので気になりません
外部フラッシュの対応がほとんどない
ニッシンもHSSはM10で1/250だったかな(M9は1/180までシンクロ)これは、ニッシンのセミナーに行って実際に確認しました
外部フラッシュは使いたいのでソニーを導入したというのもあります
あとファームウェアが新型になってからバッテリー保護のためか30%位で使えなくなります
なのでバッテリーの予備は必須です(M9系の人は大抵買ってるはずです、でもこれが高い、私は予備1本で使い回してます)
あとSDの書き込みがバッテリー不具合の際にでる(シャッターは切れたがファイルが壊れている)
これは家に帰るまでに何撮ったか忘れるのでそれほど気にしていません(笑)
全部をLeicaでこなすのは難しいですが、それでも私のblog写真の95%はきっとLeicaとMレンズの組合せです
と解答というか参考になればと思い個人的な私見を書かせて頂きました
札幌より Leica M9 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/125, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.
(2019年10月16日:更新)
似たような結論に至っている人を発見。STREET SILHOUETTES。
M10とM9の比較作例がたくさんあって参考になる。テキストを良く読んでないが恐らくこれはAdobe Lightroomで現像していると思われ、結局、現像アプリに用意されているカラープロファイルにより色味が決まる。Capture Oneを使うとまた違った結論になり得る。