写真は単なる趣味とは言え、遊びの枠を少しだけ越えて真剣に学びたい欲求がいつも僕にはある。それは、この趣味がいつか何かの役に立つかもしれないという願望からだ。
僕の本業は録音と、その技術を活かして制作したデジタル・バーチャル楽器の販売を15年ほどやっている。このムービーは米国からの帰りの飛行機で自分なりに作ったモノだが、Leica S-EでNYを撮り歩いた趣味写真をさり気なくたくさん混ぜている(^^)。
ジャケットに使うピアノ写真が必要になった。僕の中では、最初は光に包まれるピアノの漠然としたイメージだけがあった。外光が差し込む部屋のピアノというお題は、ハーバード大学に務める知人を頼りに運良くみつかったのだが、わざと白飛び気味にしたりいろいろトライしたが、いずれもどうもピンと来ない。これらはM9P+Summilux 50。
後ろの背景を消してみたり、ピアノを黒潰れさせてみたりこの一枚をいろいろ遊んでいるうちに、全然違うアイディアがひらめいた。そう言えば、僕が大好きな写真があったじゃないか。そう、写真好きなら知っているはずの巨匠、アーノルド・ニューマン。
これをパク、、、いや勉強させていただく事にした笑。
先程の写真の、削れる無駄を削ぎ落としていった。イラストレーターはピーチ先生に頼んだ。
テキストの配置にはフィボナッチ数列を取り入れた。フィボナッチは自然界を司る黄金比で、レオナルド・ダ・ヴィンチや葛飾北斎の浮世絵のみならず、その不思議な数列は為替取引のテクニカル分析や、地球の枠を越えて銀河構造にまで及ぶ。
そして完成。
最初のイメージとは全然違うイラスト的なジャケになったが、割と気に入っている(^^)
僕は明治大学を2年で中退したのだが、当時周囲からは大反対を受け、母からも必ず後悔すると警告された。でも、高額な学費が家計を圧迫しているのは明らかで、なんの人生のビジョンもやる気も無いのに、それなのにそんな大切なお金を僕がドブに捨ててしまっている事が苦しかった。後に僕が本当に後悔した事は、なぜもっと早く辞めなかったかという事だ。
この有名なスティーブ・ジョブスのスピーチを、最初に見たのはもう何年前か覚えていない。でも僕は大いに感動し、セリフを暗記するほど何度も見た。無駄な事ばかり、遊んでばかりいた僕は(今もだがw)このスピーチに救われる思いがした。
無駄な事など何もない。点と点が線でつながり、今は咲かなかった種がいつか、美しく華開く日が来るのは多分、間違いない。