2月 2018

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/2.0, 1/90, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro. クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。 ブレッソンがf8、1/125sとしたのは、f8ありきで1/125sが決まったと僕は考えている。マニュアル露出は絞りで行う方が速いため、SSダイヤルは1/125s固定。f8は彼のエルマー5cm f3.5の絞りのちょうど中間地点であり、f8で待機していれば絞りだけで明暗二段づつのマージンが取れるからだ。 f4〜f16をどれか選べと言われると、やたら選択肢が多く難しそうに感じるが、f8を中心として、太陽方向にカメラ向けるなら4クリック左に回し、日陰に向けるなら4クリック分右に回す。(半段刻みの現行レンズの場合。クラシック・ライカレンズはもっとシンプルに一段刻みだ。)ちょっと開けるか絞るか、もっと開けるか絞るかと考えると、とたんに簡単になってくる。ストリートにおいてf5.6とf8.0の被写界深度の違いなどどうでも良く、露出と速射性だけを求めた非常にシンプルな理論であった気がするのだ。 この仮説が正しいとしたら、これこそマニュアルの速射性において最も合理的な解だし、被写界深度的にもピントを外すリスクを軽減できる。しかし、このやり方だと特に現代のアスフェリカル・レンズでは全面がバキバキに解像してしまい、立体感や柔らかさと言った表現とは少し違ったものになる。 ズミルックスの開放、つまりf1.4は被写界深度が浅いのでストリートではピントを外すリスクは高いが、しかし狙った所にドンピシャでピンが来た時の猛烈なシャープネスとフワトロが3Dで共存する美しさには、代えがたい独特の魅力があるのも事実。三振覚悟でホームラン狙いの長嶋茂雄打法と言うべきか。 そこで僕は必殺技を考案した。「絞り回し上げ」ww、もしくはAutomatic Aperture Rotation, 略して「AAR」だ(笑)名前はなんでもいいが、とにかくライカ本来の速射性とズミルックス開放の美味しい所を、瞬時に切り替えながら両方得ようという作戦だ。 昼間野外の場合。まず、SSダイヤルは「A(オート)」に固定。つまり絞り優先。絞りの初期設定は開放。ISOもAuto。 普段はゆっくり開放のふんわり描写を楽しむ。そして、例えばこちらに向かって走ってくる子供など、精密なピント合わせが不可能な被写体をみつけたら、絞り回し上げの出番だ。 カメラを下ろしている状態で左手で絞りリングを掴む。この時親指をレンズの頂点、人差し指をレンズの下側を支える様に掴む。(親指と人差し指が垂直)そのまま流れにまかせて絞りリングを左に回しながら、顔の前にライカを右手で持ち上げ、親指と人差し指が水平になる時、自然とf8付近にセットされる技を会得した。(と言っても2,3回やってみただけだがw) これで絞りの目視無しでズミルックスを開放からf8辺りに瞬時にセット出来る。タイムラグほぼゼロ。あとは通常通り、ピントリングに持ち替えて、被写界深度がカバーしてくれる事を期待して、ピントはラフで撮る。撮り終わったら開放に戻す。 結局シャッタースピードAutoに頼る訳だが、この方法の最大のメリットは、絞り開放の風合いと速射性の共存が、速攻で絞りをクルっと適当に回すだけという点に尽きる。絞りを変更した分のSSダイヤル補正を手動でやっていたらシャッターチャンスを逃すので、やはりオートに勝手にやってもらえる方が都合がいい。 ISOまでオートにする理由は、うっかり絞りを適当に回しすぎた場合、ISO100固定だとシャッタースピードAが1/60sを切ってしまう可能性があるからだ。普通はISO100、F8なら日向なら1/125sを切らないはずだが、勢いでF11とかに達して、かつ日陰にカメラを向けて撮ってみたら1/30s以下でチャンスを逃しちゃった、という事故をISO…

Leicaに似合うレザー・カメラバッグ

皆さんはどんなカメラバッグをお使いだろうか。ソニーを使っていた頃は機能一点張りで、雨に濡れない、カメラを取り出しやすい、たくさん入るなどの理由で選んでいたが、ライカを所有する様になると、多少奮発してもそれ相応の美しい革バッグが欲しくなるから不思議だ。カメラとバッグは、どこかその精神がリンクするモノらしい。 ちなみに現在は、普段はM10ホルスター。しまう時は15インチMacBook Proも入るマンフロットのデカイやつをメインに持ち歩いているが、全体的にクタクタでそんなに気に入ってない(笑)アルティザン&アーティストWCAM-7500Nなども雨が降られても絶対に濡れなそうな造りで気になっていたのだが、今の趣向は「機能」よりも「素敵」な方に振れている。 フィリピンに行った時に少し探してみたが、これだ!!というモノは見つけられなかった。フィリピンでは時々とんでもないスコールが降るらしく、一瞬でバッグの中までビショビショになるらしい。やっぱり雨対策は大事か。 今日少しネットサーフィンしてみて、良さそうなレザーバッグ4社をメモ。いずれもLeica Mを収納するのに相応しい。さてどれに行こうか。 wotancraft 多分、台湾のメーカーだが、Youtubeでよく見るライカ使いのSteve Huff氏がいくつも動画をアップして絶賛してた。お金もらってんのかな?革が柔らかく、磁石でオープンした中にさらにジッパーが装備され、常に盗難防衛に気を配らなければならない海外渡航時には、一番安心かもしれない。造りもかなり良さそうだ。日本代理店はOriental-Hobbies。   Oberwerth ドイツの高級ハンドメイド。少々お高いがこれは美しい。ドイツのサーバーに日本からアクセスすると重い重い。しかしバッグ以前に写真が素晴らしく、写真が確実に商品価値を高めている。こういう商品は写真が全てだと思うのだが。雨の侵入を防ぐ工夫など要点をしっかり抑えている様だ。国内で実物を見れる場所がないかなあ。代理店はケンコー・トキナー オンラインショップ。   株式会社Acru(アクリュ)  やっとみつけたメイドイン・ジャパン。シンプルだしこの中では一番軽いかも?高解像度写真が無いのがちょっともったいない気もするが、こういう小規模感のあるクラフト・マンによる手作り製品が、僕は最も触手が動く。馬の革らしく、命に優劣は無いけれどもちょっと可哀想な気持ちに?ならなくもない。雨対策もシンプルながら万全。一番気になった「サビカM」が2月20日現在、Sold Out。残念。   ONA 海外メーカーかと思っていたらこちらも日本だった。(N.Y.のメーカーでした。国内代理店はイデアミクス。)ヨドバシでもアマゾンでも、どこへ行っても革製カメラバックを探すとONAが出てきて、日本の営業が行き渡っている。その分、その素敵なバッグ、どこのを使ってるの?!という感じにはならないかも^_^ 実際ヨドバシで見せてもらった事があるが、品質は確か。文句無くカッコよい。雨対策もなされているが、大雨だと隙間から流れ込むかも。(どれも大雨はNGか)かなり革が厚手でしっかりしており、保護製は高い分、やや重い印象を持った。インナーが赤いライカ用がある。 他にこれがオススメ!というのがあったら是非教えて下さい^_^。   (2018年2月21日追記) ご親切に当ブログにTatsukiさんからオススメバッグの情報を頂きましたので追記です。感謝!ちなみに各ブランドの商品群の中で、ここで掲載している写真はどれもichiroの独断、勝手な好みで選んでいる^_^ ポイントは悪天候に有利な、入口を完全に上から覆うシンプルな蓋(カバーと呼ぶのか?)。天面にジッパーの無いモノを基準にしてみた。 それとこの機構には素晴らしい応用編がある。海外の人混みに紛れる時、バッグの表裏をひっくり返して肩に掛ければ、持ち主に気づかれずにそっと蓋を開けるのが実質不可能になり(自分でも開けない)これ以上シンプルで完璧な盗難防止システムは無いと思う。 FILSON 米国シアトルの高級ブランドFILSON。このモデルは特に蓋の隙間の雨対策は施されていないように見えるが、その分、シンプルに徹していて非常に美しい。元はカメラバッグという訳ではないので、お好みのクッションケースにLeicaを入れて使う所も通好み。現地価格で$725.00という事で、輸入したら10万円近く行くかも。切りっぱなしの革の上質なバッグって、ありそうで無い。いい革を厳選しているお値段なのだろう。こんなの買ったら一生モノだ。 日本代理店はOUTER LIMITS社だが、オンラインショップは見当たらない。他もこの革バッグの取扱いのある国内店舗を、残念ながら見つけられなかった。革製品だけでなくコットン製バッグなども充実している。他にMAGNUM PHOTOS (マグナムフォト)…

APO-Summicron-M 75mm f/2 ASPH.とSummilux-M 50mm f/1.4 ASPH.の比較テスト

APO75mmは個人的に、ずっと気になっていながら、なかなか手が出ない最右翼だ。flickr等ではとんでもなく素晴らしい作例に出会える反面、M用としてはその長めの焦点距離からやや批判的なユーザーも多く、実際の所どうなのか、新宿マップカメラでテスト撮影させてもらった。(ちなみに上はズミルックス50。) 仕事帰りに立ち寄ったので、既に閉店間際。新品APO75だけお借りして、15分ほど、手持ちのSummilux 50 ASPHと比較撮影してみた。ホタルの光を聞きながら^_^ ミニ三脚を立てて同じカメラ位置から撮影したものと、75に近いフレーミングまで50を近づけたもの、そして50を75サイズにクロップしたもの。APO75はf2.0のみ、ルクスはf1.4とf2.0。正確にピントの感じも比較したかったので、一応LV拡大も使ったのだが、それぞれ二枚づつ撮っていても後でLRで拡大してみるとジャスピンと微妙なものが混在していて、両者とも非常にシビアなレンズと感じた。LV+三脚+2秒タイマーなので基本的にブレは起きないはず。 APO75、ルクス50と同サイズくらいかなと思っていたが、一回り大きい。重さもルクス黒335gに対し430g。Voigtländer Nokton 50mm F1.1‎とほぼ同重量だ。660gのM10と合わせると1kgを超える。 写真は全てM10、ISO100、SS1/60s、AWB。Rawから露出とWBだけ現像で揃えて書き出したjpgをいくつかアップしてみる。ワードプレスがエラーが出るのでフルサイズはあきらめて、横幅1920pxだ。 50 f1.4 50 f2.0 縦に並べても一見分かりにくいが、全画面で切り替えながら眺めると周辺減光量の差が一目瞭然。f2.0でも多少落ちるが、f1.4は画面のかなり内側まで周辺減光の影響が見られる事を改めて確認。これがズミルックスらしさの一旦を担っている。 APO75 f2.0。上と同じカメラ位置。ちゃんと測っていないが、被写体とカメラとの距離は恐らく2mちょっとだ。端正だが、なんだかズミルックス50をf2.0まで絞ったのと似ている気もする。 今度はズミルックス50を75のフレーミングに似た感じになるまでカメラを被写体に近づけてみる。恐らく被写体から1.5mくらいか。 50 f2.0 接写。このパースの差は正直、予想以上だった。同じテーブルの上で前に移動したので、カメラの向きがさっきより若干見上げる感じになっているのを考慮しても、結構違う。背景の壁の絵のあり方も別物。なるほどー ちなみにこの距離のf1.4はこれ。 50 f1.4 接写。このくらいのフレーミングで人を撮るタイミングが僕の場合かなり多いだけに、この結果には考えさせられる。 次は、先程のAPO75と同じカメラ位置で撮った50 f2.0をクロップしたものを、APO75と並べてみる。 APO75 f2.0。 50 f2.0…

Gallery – Philippinesを公開

マニラのストリート・チルドレン。Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/1.4, 1/500, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro. 2月4日〜9日まで、ちょっとした用事でフィリピン・バギオに訪れた。僕にとって初めてのフィリピンだ。毎日写真三昧、久しぶりに気の済むまでカメラと写真を楽しめた。僕にとってこれが今は何よりもストレス解消だ。 マニラでは多くのストリート・チルドレンを見かけた。恐らく彼らは教育も無ければ、まともな家も無いかもしれない。けれども決して彼らは不幸せには見えなかった。むしろ生き生きと目が輝いているのが印象に残った。 持っていったのはもちろんM10とズミルックス50 asph、それとズマロン35mmを一応バックに忍ばせていった。しかし出歩く時はバックもホテルに置きっぱなしで、M10ホルスターのみの軽装だったので、ほとんど全てズミルックス一本だ。 フィリピンの特に気に入った所は、人々がカメラを向けられるのを全く嫌がらない事だ。最初は一応、写真撮ってもいいですか?と訪ねていたが、老若男女、一人たりとも断る人は居ない。 途中から尋ねる事も面倒になってきて、いきなり真正面からカメラを向け、あとでニコっと笑顔で"Thanks"でおわり。むしろそのまま話し込んでローカル・コミュニケーションを楽しめるし、周囲の人までフレームに入りたがるほどだった。日本ではほとんど変態扱いされる事すらあるのにw。これならスナップが苦手な僕でも、遠慮なく撮れる(笑)フィリピンはストリート・スナップ天国だった。 僕の中で今回の旅はちょっと特別で、他の写真とは分けて考えたかった事もあり、写真ギャラリーなるものを初めて作ってみた。2000枚ほど撮った中から69枚を選んだ。たくさんあるが全画面表示でお手元のキーボードの左右矢印キーで移動出来るので、Wifi環境下なら比較的楽に進めると思う。是非ご覧頂ければ幸いです。   走り去る女。Leica M10 + Leica Summilux-M 1:1.4/50 ASPH. (ƒ/4.0,…

Leica M10のポートレート

いつもお世話になっている芸能事務所御一行様が、サプライズで遊びに来てくれた。二人のプロカメラマンもいらしていたが、当然僕も写真を撮らせてもらった^_^ 女優・タレント VANRIちゃん。葉山のバルコニーにて。 今まで何を撮りたいか?と聞かれても「なんでも」としか答えられなかった僕だが、ライカを使うようになってから、明確に「人」を撮りたいと思うようになった。 Thorsten von Overgaard氏の何気ない一節が、妙に心に残っている。 "In a portrait session two people meet and have to work together to accomplish a portrait that they can agree is good. A…