2017年10月10日 イチロー

フォクトレンダー NOKTON 50mm F1.1とM10


外は寒い – 札幌。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.

ご多分に漏れず、ノクチルックスまでの時間稼ぎに(笑)ノクトン50mmを試してみる事にした。元々ブランド思考な訳では無いのだが、ライカのレンズを使いたくてライカの世界に入ったのに、ライカブランド以外のレンズをライカボディで使う事に、心の中でちょっとした不整合がある。その殻をはじめてノクトンが破ってくれた。何せヤフオクで7万円だ。


島松伝道所の木 – 札幌。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/350, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.

f1.1大口径から来る、中判カメラ的な立体感はしっかり楽しめる。ノクトン開放時の解像度はLeicaのASPHシリーズと比べると低いのだが、M10の超高解像感から少し距離を置きたい心境としては、これくらい解像しないレンズの方が、今はかえって心地よい。それでも必要十分だが。


魚を探す – 葉山。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.

ちょっと絞ると十分にシャープになるが、僕はこんな重いレンズを持ち歩く理由は、開放時の3D感のためだけなので、もちろんNDフィルター併用で開放でしか使わない。ホルスターでノクトン+M10を1日ぶら下げて歩くのは結構キツイ。肩が痛くなる。ああズミルックスのなんと軽快な事か。ちょっと絞るくらいなら最初からSummiluxを持っていく!

f1.1は、ベース感度ISO100のM10ならND4で昼の野外も開放で行ける。ISO200のM240ならND8が必要だろう。


Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.

しかし問題なのは発色濃度が低い事だ。どこかのサイトでノクトンf1.1はノクチルックスf0.95と大差無いと書いてあったが、そういう場面もあるとは思うが、それはレンズのごく一面だけを比較していると思う。ノクトンはライカの代わりには、やっぱりならないと思った。(なって欲しかったが。)ノクトンの発色は薄味だ。

いや薄いというよりは、ほとんど気がつかない程度に緑が被る様だ。それが原因で特に低コントラストの被写体は、なんとも地味なつまらない感じになる事が多い。ライトルームのホワイトバランスでTintを+側に補正したり、やや暖色系に寄せたり、Vibranceを+30くらいにして、なんとなく僕がイメージする、ライカ的な色味の方向に誤魔化すしかない。このページの作例はほぼ全てそうしてある。

加工済み。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/1500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.
加工前。

使っていてああ、やっぱりライカじゃないんだな。。。という感想が何度となく頭を過る。ノクチルックスに陥る末期症状だ。でもライカが出してきた絵を壊すトレーニングを自分に課している今は、むしろ色味だって何でも良い、と自分に言い聞かせる。


Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/500, ISO 100) ©2017 Saw Ichiro.

ところが高コントラストの被写体の時は、格段に面白い。特にアンダーめに作ったり、夜間の光源にカメラを向けると独特のドラスティックな感じになる。夜は発色の低さも気にならない。


colors – 世田谷のMt. Fishtailというカレー屋さん。美味しかった。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 800) ©2017 Saw Ichiro.


table – これがほんとのテーブルフォト?Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 800) ©2017 Saw Ichiro.

なんだかんだ文句ばかり言いながらも、ノクトンを結構楽しんでる自分が居る。f1.4 Summiluxとf1.1 Nokton。たった0.3の口径差が、出て来る絵に与える影響はこれほど違うものか。何気ない絵にストーリーが加わるかの様な、ドラマティックな演出だ。


葉山の黄昏時 – 日が落ちてきたがNDフィルターが付いていたので、ISOダイヤルを一段上げた。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/250, ISO 200) ©2017 Saw Ichiro.

ちなみにノクチを導入するなら、M9で使うならf0.95 ASPHを選ぶが、M10で使うならf1.0の2ndノクチに行くと決めた。もうASPHのスーパー・レゾリューションは、Summiux 50mmでお腹いっぱいなのだ。一本あれば困らない。


mirror – かなり暗い状況だったが、ISO400で撮れるのはやはり大口径の恩恵。高感度耐性の低いM9を本気で使うならノクチかノクトンは必須と思う。Leica M10 + Voigtländer 50mm f/1.1 Nokton (ƒ/1.1, 1/60, ISO 400) ©2017 Saw Ichiro.

しばらくはノクトンf1.1にお世話になりそうだ。

M10の絵を汚してみる
M10のWifiをテストする
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Leicaのススメ

ライカを買いたくない人は、読まない方がいいやつ

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Leicaオーナーになるということ

このブログに訪れて下さっている方の中には、まだLeicaを所有していないが、実際ライカってどうなの?と興味がある方も多いと思う。もしも今日、貴方は念願のLeicaを手に入れたとする。その日は恐らく、何ヶ月経っても、何年経ったとしても、貴方にとって忘れられない一日になるに違いない。

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Leica Mの機種別・メリットとデメリットまとめ

最初は誰しも「ライカ+自分」の実験段階から始まる。もう少し発展すると、次第に「自分+ライカ」つまり道具の恩恵にあやかりつつも、主体は人間である事を意識する様になるし、またそうあるべきだ。最後は「自分+カメラ」、もはやライカであるかどうかは重要では無い段階に、至らなければならないと僕は思っている。

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世界で最も愛されるカメラ(改定)

世界で最も投稿されているカメラをFlickrのカメラファインダーで見てみると、本日付けでダントツでiPhoneだ。2位がキャノン、3位ニコン、4位SAMSUNGのギャラクシー、5位のソニーと続く。フジは7位でライカは15位だった。

Leicaレンズの話

レンズ選びの参考になるかも

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今度はSummilux 50mm F1.4 を考え直してみる

ズミクロンを押した直後に恐縮だが^_^、先日のJLUGの集まりで先輩方のレンズを触らせて頂いた勢いで、久しぶりにズミルックス50を購入してしまった。初代と現行第4世代を経て、今回は第2世代を選んだ。そして悟った。やっぱズミルックス50はむちゃくちゃ面白い!

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ズミクロン(Summicron 50mm/f2)を考え直してみる

APO-SUMMICRON-M F2/50mm ASPH.登場以降、なんとなくその廉価版的な存在になりつつあるノーマル・ズミクロン50が、今どんな意義があるのか再考してみる。ちなみにアポ50が価格コムで現在99万円、ノンアポが30万と3倍以上の価格差がある。

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Leicaレンズ沼の攻略法(入門編)

「ライカを買いたいが何がオススメか」と問われたら、ほとんどのライカ・ユーザーは、待ってましたとばかりに、うざいくらいにウンチクを披露しながら懇切丁寧に教えてくれるはずだ(笑)僕も含め、普段からそんな事ばかり考えてる連中だ。

ピーチ先生の構図の添削

ピーチ先生にichiroの構図のダメさをボコボコに指摘されまくるシリーズ。電子書籍も販売中(^^)

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ご報告:ピーチ先生の「構図の添削」が電子書籍になりました^_^

皆様、お元気ですか?実に5ヶ月ぶりに記事を書いてみている。この間、写真遊びを若干控え、ちょっと仕事なんかしていたが^_^、その中でもいろんな事があった。愛機のLeica S-Eに小さなCCDトラブルがあり、ドイツ行きになり3ヶ月間フジXで頑張っていた事、仕事の関係で久しぶりに渡米し、NYで少し写真を撮った事、そしてマッハ新書から、ピーチ先生の「構図の添削」を出版させて頂いた事だ。

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構図の添削3

JLUGで普段からお世話になっている小山 裕之さんが、ピーチ先生の構図の添削を受けてみたいと謙虚に仰って下さった^_^。3枚の素敵なお写真をお預かりしたので、御本人の許可を頂きこちらで一緒に考えてみたい。

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構図の添削2

前回のピーチ先生の構図の添削が思いのほか好評で^_^、むしろベテラン勢の面々が面白がって下さる様だ。敬愛する先輩諸氏から続編をやれと仰せつかったので、今日は一枚に絞って書いてみる。この一枚を改善するとしたら、貴方ならどう処理してOKとするだろうか。

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構図の添削

先日、構図改善大作戦でちょっと紹介したが、最近の僕の写真が現役デザイナーにどの様に指摘されたか、いくつか例題を出してみる^_^。まずは写真を貼って、その次に構図の添削付きを順番に並べるので、答えを見る前にどこを改善すべきか、是非貴方も僕の駄作を添削してみて欲しい。

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問題は、構図だ!

いつも注釈しているがこのブログはベテランの方を対象にしていない。不器用な素人の自虐ネタを赤裸々に書いているだけだが、それなのにたくさんのベテランの方から心温かいメッセージを頂き、謝りたい気分になる(笑)今日も、写真や絵画の専門教育を受けた事の無い、僕と同じくらいの平民の方々ための、構図を改善する初歩的な方法を思いついたので^_^、自分なりに書いてみる。

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日本のライカオヤジ

最近買った写真集。”One Mind’s Eye” Arnold Newman。これが、無茶苦茶良かった。ムッチャクチャ良かった!!ブレッソンが構図の「面白さ」としたら、ニューマンは構図の「カッコよさ」だと思う。よく見れば気が付くのではなく、見た瞬間に、ひと目でカッコイイのだ。

Leica M型の使い方

オーナーは教えてくれない、ライカは実は超カンタンな件

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現代デジタル・ライカで速射性を考える

クラシック・ライカの速射性は以前、アンリ・カルティエ・ブレッソンの「晴れた日はシャッタースピード1/125s、絞りf8、距離は10feet(5m)に固定」していた逸話から考察してみたが、露出計が内蔵されている現代のデジタル・ライカで、最も合理的な方法とは何かを考えてみた。

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カルティエ・ブレッソンの教えをM10でやってみる

いよいよ仕事が忙しくなってきたので、またこのブログに現実逃避することにする(笑)この秋に手放したHASSELBLAD 50周年記念 500C & Makro Planar CF 120mm F4 T*で撮った最後のフィルムの現像が上がって来た。現像に出そうと思いながら数ヶ月間、使用済みフィルムをバックに入れたまますっかり忘れて持ち歩いていたら、カビが生えてしまった(笑)。それだけM10が面白かったとも言える。汚らしいのでアンダーにして誤魔化す。

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ライカの内蔵露出計

「だってマニュアルだしなあ」とライカに興味はあっても使いこなす自信が持てない人のために、是非ここで紹介してみたいと思っていた。実は、ライカのマニュアル露出は「超」カンタンなのだ。ライカの優れた内蔵露出計がマニュアル操作性を著しく簡単に、便利にしてくれている。

写真に向き合う人のための登竜門

いろんな人からイイこと聞いたり実験したりしたのでシェア

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写真は「滅びの美学」

以前、友人が教えてくれた「貴方は何のために写真を撮るのか」の中に多くのヒントがあったのだが、それでも僕の足りない頭では未だモヤモヤしていた。ところがある日、美輪明宏さんの美しいお言葉の中に、僕の知りたかった答えの全てがあったので是非ここでご紹介したい。

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世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。

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貴方は何のために写真を撮るのか

「何のために写真を撮るのか?」「何を撮りたいのか?」
貴方はこの問いに、なんと答えるだろうか。
今日は僕にとって、また写真愛好家にとってとても大事な事を教わったので、是非ともここで共有したい。

カメラ機種別・記事まとめ

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Sigma fpL

L1020739

Hasselblad X1D II

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Leica S

M9-P

Leica M9

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Leica M Typ240

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Leica M10

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道具編

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天体観測

M10の絵を汚してみる
M10のWifiをテストする