2018年3月9日 イチロー

気付いたらLeica S-E (Typ 006)が手元にあった話

こんな僕でゴメンナサイ。

いつもマップカメラ新宿店さんにお世話になっているので、もちろんここで購入。店頭では中古S-Eの取扱が無かったので、初めてマップカメラ・オンラインを利用した。購入前にモノを見れないので多少不安があるが、ポチッた翌日に届いた。何も問題なし。

今日数時間、じっくりS-Eをいじってみて、前回のライカS2-Pのレポートとは少し違った感想がある。Thorsten Overgaard氏のレビューもそうだが、どうしても慣れ親しんだMとの対比で考えてしまい、Sのポテンシャル・ユーザーを脅かす様な文面になってしまう。Sの面目のためにも、自分の買い物を正当化するためにも(笑)今日はポジティブ方向から追記してみる。

Leica Sとは、LeicaのフィロソフィーとLeicaクオリティのレンズをミディアム・フォーマットで享受出来る、世界で唯一の選択肢だ。この甘美で極上の快楽は、どんな苦行や試練も受け入れる覚悟がある者のみに与えられる。

と、そのくらいの覚悟で行くと、意外と余裕だと思う(笑)だいたい、たった一度しか無い人生、ライカ中判の世界を覗いてみたいじゃないか^_^

僕が考えるライカの哲学を一言で乱暴に要約すると「シンプリシティ」。

シンプルである事。質素である事。時代の潮流やビジネスよりも、本質を求める事。その哲学がライカSを、僕にとって唯一無二の存在たらしめているし、Sにもそれははっきりと反映されている。ボタンが、極限まで少ない。ボディにプリントされた文字に至っては、Mより少ない。(電源部以外、何も書いてないw左の丸い突起は、GPSアンテナ。回そうとしても動かない。これは内蔵して見えなくしても良くない?^_^)

人々にLeica Sの導入を躊躇させるポイントはいくつかあるが、僕が今日感じたり発見したりした事をまとめてみる。

重量の問題

006、007共にボディ重量1260g。重い。確かに重いが、握る角度を工夫すれば、僕の手のサイズでもなんとなくシックリ来る握り方に辿り着きそうだ。先日のマップカメラのレポートでは、僕の中で常にMとの比較があって、ちょっと書き方が大袈裟だったかもしれないと反省。サイズ、重量共に実際はEOS-1DやNikon D5と変わらない。そっちに慣れてる人は全然違和感無いと思う。

少しでも手の負担を軽減するために、ドライビング用グローブを調達。しばらく様子を見てみる。

持ち運ぶ際も、こんなデカイカメラを肩からぶら下げたくない。こんなアイテムを注文してみた。

手ブレの問題

他所様のレビューで、Sの手ブレを防ぐには1/250s以下に出来ないとあった。確かに70mm f2.5 Summarit-Sでも、M式でカメラを構えると、1/125sだと縦構図の時になかなか厳しい。等倍にするとせっかくの超高解像度が台無しなショットがいくつかあった。

しかし左腕を三脚として使う、Ilko氏のアイディアを元に自分なりに工夫してみたら、Sでも手ブレは克服できる!オートフォーカス時にしか使えない技だが、この方法で横でも縦でも1/60sで全然問題ない事が分かった。これで事実上、Sが非現実的なものではなくなった。Ilkoさん、本当に感謝!涙

また、ストロボ使用時はストロボ発光時間が極めて短いので(1/800sなど)、当然だが1/125sでどんな持ち方でも手ブレはまず発生しない。ポートレート撮影時は普通に構えてマニュアル・フォーカスリングをいじりながらで問題ない。

Sの高感度ノイズ

いかにも中判!という現代的なビッシビシの絵が欲しい場合は、ベースISO 100近辺しか使えないと思う。そうで無い場面でも、背面液晶ではISO400でも既に残念な感じで、800では壮大なノイズ感が、もはや論外。ここで恐らく、Sの高感度はNGと一般的に評されていると思う。しかし実はここに少しトリックがあって、Sの背面液晶が、実際よりも無茶苦茶ノイジーに表示されるのだ。

同じ絵をMacレティーナディスプレイで見てみると、液晶で見えていたISO800のヒドいノイズが、全然無い。(汗)M10の絵を見慣れた僕にとっても、ISO800はストリートなら全然実用レベルだ。ISO1600では液晶では巨大なノイズに埋め尽くされ、即刻削除の状態に見えるのだが、取り込んだ絵は液晶で見えるISO400以下のノイズ量だ。むしろソールライターっぽいフィルム的な粒子感が心地よく、逆に普段から積極的に運用したいくらいだ。特に白黒はISO1600がカッコイイ。(S2-Pも同じかどうかは不明。)

ライカはこの液晶で凄く損していると思う。みんな購入前に液晶で多くを判断してしまうから。もちろんこれはS-E (Typ 006)の話で、007なら恐らくISO3200とか6400とか普通に使えるんじゃないかな。


所有する喜びみたいな、素敵なオモチャ感は、Mほど無い。Mの様な演出もない。箱も普通。

ファイルサイズ

Sの画像は5000 x 7500 pxで、DNG圧縮ONで一枚40MBちょっと。6000 x 4000 約30MB弱のMとくらべて、現行Macbook Pro 15インチ Quad 2.9Ghz Intel Core i7では、ワークフロー的にはそれほど負担は感じない。現像をいろいろいじると、Mよりはちょっと待たされる程度。でも以前使っていた型落ち13インチだと、どうなるか分からない。

起動時間

実はSは、起動が速い。というかどのMデジタルよりも激速だ。マニュアルフォーカスなら、電源を入れた瞬間に間髪入れずにシャッターを切れる。予め無限遠近辺に合わせて待機させておくM的な発想は、Sでも有効だ。スリープから目覚めるのも一秒弱?体感としてM10よりずっと速い。

またS-Eが最新S Typ 007より優れている点は、シャッタースピードダイヤルが独立していて、電源を入れなくても予め希望値を設定しておける。007は上面のミニ液晶を見ないと判別不能。もっとも、絞りはいずれも本体背面のダイヤルでの操作なので、やっぱり電源を入れないと確認出来ないので、007でもいいとも言える。


マニュアルは英語のみで日本語は無かった。日本語マニュアルはPDFで入手出来る。

Sの背面液晶の輝度

Sの背面液晶の輝度が高い。Macの場合、輝度計で計測すると確か下から11段目のディスプレイ輝度設定が適正に近いらしいが、それと比較してSの背面液晶は一段近く明るい。これで今日は完全に騙された(笑)ディスプレイMenuの表示輝度、バックライトの明るさを両方最低にしたら大凡、Macディスプレイと合致した。屋外だとまた違った見解になる可能性もあるが、そのためのAutoメニューもある。

ISOノイズがやたらと強調されるのも、この辺の液晶の特性と関係ありそうだ。しかし液晶自体は、感覚的にはMで言う所のM Typ240クオリティで、M9ほどの旧式感はない。液晶とバッファーがM240スペックで、M9時代のCCDセンサーを搭載したライカ。僕にとってS-Eはダークホースだったりする。

オートフォーカス


いちごの質感が良かったので、だいぶクロップした^_^ Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/8.0, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

夕食後にストロボで何枚か子供を撮ってみた。ストロボ一灯で試したが、通常の室内灯くらいだと、顔がちょっと暗がりになるとAFが迷いまくってシャッターが押せない。これで何度もシャッターチャンスを逃して、仕方なくMFで使う場面が多かった。室内でポートレートを撮るなら、ストロボでは無くビデオライトが一灯は必須だ。

重量的にも市販カメラとしては最大級になるので、三脚も大型のモノが必要だし、カメラの周辺機器にもそれなりにコストがかかってくる。

パフォーマンス

マップカメラで試したS2-Pではちょっと怖気づいたが、S-Eはパフォーマンス面で使いにくさは感じない。しかし1コマ撮影モードだと、やっぱり書き込み時間に毎回1秒くらい待たされる。ポートレートなら1秒でも問題は無いが、ココ!と思った瞬間に押せないジレンマが嫌なので連続撮影モードにしておいて損はない。(一枚撮るつもりでうっかり連射してしまう程、いずれにしても速くないので問題ないw)

S2-PとS-Eの中古市場の価格差は小さいが、細かい事の様で有り難い進化がたくさんある。今から導入するならS (Typ 006) 以降のモデルが推奨される。

Sの変遷

S1 1996~1998

プロトタイプ?今のSの形ではない。日本には数台しか入って無いらしい。

S2 2009~2013

Kodak KAF-37500 CCD、ISO 160~1250(80に拡張可)

S2-P 2009~2013

先日マップカメラ新宿店さんでテストさせてもらったのがこれ。M10で使っていたSDXCカード(128GB)が認識出来なかったが、S-Eでは問題なく使える。

S (006) 2012~2015

S2と比較して高感度耐性が半段分改善、ホワイトバランス、オートフォーカスモジュール、背面液晶も改善され水平器も装備した。ISO 100~1600に。十字カーソルがついて、背面液晶で拡大した時に、上下左右が直感的に移動出来る様になった。S2-Pはダイヤルを一度押すと横スクロール、何か別のボタンを押すと縦スクロールと言うように、使いやすいとは言えなかった。また、バッファーが2GB搭載されパフォーマンスが改善した。

中判デジタルカメラとして初の内蔵GPSモジュールを搭載。ファインダー視野率が、96%→98%へ向上(倍率は0.87倍)。約46万ドット→92万ドットに。

S-E (006) 2014~

2012年発表の「ライカS」(Typ 006)の仕様を全て継承。トップカバーをアンスラサイトグレーに、シャッターダイヤルをシルバークロームに変更した。

S (007) 2015~

CMOSセンサーになり、ライブビューやムービー撮影に対応した。Wifiを装備。シャッタースピードダイヤルが、プリント無しのマルチダイヤルになった。その他様々な面で改良が見られる。007はコスト的に買えないので、よく調べてない^_^

 

Mの様な、カッコイイ!とか一緒に寝たい!(笑)という感覚は、Sには全く起きない。シンプルであれば何でもいい。でも形はスタイリッシュで好き。

現在は最新のS (Typ 007)と、エントリーモデルのS-E (Typ 006)が現行品として選べる状態だが、M-EよりM9Pが好きという様な感覚は無く、ダイヤルの色が何色とかどうでもいい^_^

むしろM9と多くの共通点があると思われる、CCDセンサーが僕の興味の的だ。SとMではカラープロファイルが大きく違う可能性も含めこれからゆっくり、Sと付き合いながら絵の感じを確かめてみたい。


最短付近。こちらはクロップ無し。Leica S-E + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/8.0, 1/125, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.