2018年6月2日 ichiro

世界に羽ばたけ!LFI、Leica Meet(最終回)


Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/1500s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

何かのセレクションに入選したり、いいねを頂いたりするのはとても嬉しいし、光栄な事だ。しかしいいねを獲得する事自体が、写真を撮る目的になってはならないと僕は思っている。クライアントが喜ぶ作品が求められる商業写真家と違って、我々写真愛好家は、自分のためだけに写真を楽しんでいい特権がある。


model: Sara. Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/4000s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

写真作品として抑えるべきTPOは存在すると思うし、クリアすべき最低条件もきっとある。しかしそこから先は、自分の興味を満たすモノ、素直に素敵と感じる写真を求めていく以外に、道があるだろうか。

自分の心に残る作品が、他人も同様に感じてくれるかどうかは全然別の問題だし、それは自分のコントロール外にある。ましてや国籍も違えば目の色も違う人達が、自分の写真をどう判断するかなんてのは、検討がつくはずもない。100いいねの写真の方がキャッチーかもしれないが、一つもいいねが付かなくても、自分の中で100いいねならそれでいいのだろうし、そもそも写真に優劣なんて無い気もするし、写真は多数決の民主主義でなくていい。

しかし、そこには落とし穴がある。

人様から全く評価を頂けない場合、大抵は何かそれ以前の根本的な理由がある^_^。自分が気がついていない何かを、他の多くの人は見抜いているのだ。つまり、独りよがりというやつだ。これはマズイ(笑)。そんなに簡単に芸術作品なんて撮らせてもらえるはずもない。いいねの数は自分の未熟度を雄弁に教えてくれる、最高の指標という訳だ。

ただし、いいねは万能ではない。どこをどう改善すべきかは、何も語ってはくれない。トライ&エラーを繰り返しながら、考察を続ける以外にない。


Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/180s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

 

ライカの国際的な登竜門

何十年も毎日1000枚、猛者達の写真を見続けるのがライフスタイルのeditorial staffと、ライカを手に入れて嬉しくて1000枚撮ってみた人との間には、写真に対する審美眼は天と地ほど差があると考えるべきだ。ライカの質感?そんなモノは当たり前。ここに投稿されるのは全部ライカだ。写真を見る目を少しでも養いたい、少なくとも人様にお見せできる作品を撮りたいと望むならば、自作品を客観視する姿勢が要求される。

誰しも最初の1ショット目から始まった。あとは自分の成長をどこで止めるかを自分で決めるだけ。

幸い、絶好の登竜門が貴方のために用意されている。いずれも投稿者の実績や経験は全く問わないし、登録したメンバーは誰でも投稿でき、他のメンバーの写真をいつでも見ることが出来る。日本のライカグループは以前紹介したので、今回は海外バージョンだ。

 


Passing by. Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/5.6, 1/350s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

 

THE LEICA MEET

THE LEICA MEET

毎月40作品がSelection of Excellenceに選ばれ、世界中のライカユーザーがしのぎを削って自分の実力を競い合っている。僕はここに競争社会の縮図を感じる(笑)興味本意で投稿してみても、次々と他の写真が同時並行的に投稿され、初期の15分で反応が無ければ、あっという間に自分の写真はタイムラインの彼方に消えて行く。

そしてみんな、優しく無い^_^。コミュニケーション能力の問題ではない。写真が面白いか、面白くないか、それだけ。極めてシンプルで潔い。写真が面白くなければ、面白いほどに誰からも相手にされない。最初、余りにも無視されるので、人種差別を疑ったくらいだ(笑)しかし優れた作品には500いいね以上付いたりする。

その意味でとってもシビアなグループだからこそ、ここに身を置いておけば相当に鍛えられると思う。セレクトするeditorial staffも、ライカの世界では著名なフォトグラファーばかりらしい。

それぞれグループにより好まれる写真の傾向が異なる所が面白い。ここはどちらかと言うと、広角レンズ的に引いて全体像を見渡し、被写体そのものよりそれを含めたトータル・コーディネートを求められている気がする。どこが貴方独自の視点なのか。他に比べ何が優れていて何を工夫したのか。単にキレイな景色、美人なモデルだけでは、ほとんど見向きもされないだろう。

 

LFI Gallery(LEICA FOTOGRAFIE INTERNATIONAL)

LFI Gallery (LEICA FOTOGRAFIE INTERNATIONAL)

ドイツ本国の公式サイトに作品を投稿するなどと言う大それた行為は、とても敷居が高そうで、実は誰でもすぐに参加出来る。LFIはM MagazineやS Magazineのマネージメントをしていて、直接ではないがThe Leica Camera Blogにも繋がっているそうだ。コンテストも不定期に開催している。

またLFIの直接の主催ではないが、Leica Cameraが主催するThe Leica Oskar Barnack Award (International Photo Contest)も毎年開催されるそうだ。

ライカユーザーは普通、他社カメラを散々使って最後にLeicaに辿り着く人がほとんどだ。その意味では世界中でここより成熟した写真が集まる投稿サイトを他に知らない。

ここではいいねのシステムが無く、セレクトされなければどの様に評価をされたのかを知る事は出来ない。しかし投稿すれば等しくLATESTに順番に掲載されていき、優れた写真はLeica Master Shotsや、様々なカテゴリーにセレクトされる。

Mは盛り上がっているが、Leica Master ShotsのSが長いこと全く動きが見られないのは、絶対的な投稿者数が少ないのだろうか。

LFIがLFI Magazine, LFI BLOG等に写真を使用したい際には、個別に登録メールへ問い合わせをしてくるそうだ。自分の写真がLFIマガジンに掲載されるなどという事は、まるでライカ100年の歴史の1ページを飾る様で、ライカ・ユーザーにとり最高の誉だ。

誰でも参加出来るが、一気に大量の写真を投稿したり、他人に迷惑がかかる様な空気読めない行動する人は、ライカ・ユーザーに限っては心配は要らないと思っているが、ご注意を。

 

Leica FOTOPARK

Leica FOTOPARK

写真投稿サイトとしては、かなり歴史が古いらしい。こっちは個別にセレクトされる事は無いが、ユーザー同士のコミュニケーションが親密で、投稿すればすぐに多くのいいねが寄せられるはずだ。その点、LEICA MEETよりはずっと温かい(笑)日本のSNSと海外のフォトグラファーの視点の違い、評価の違いを確認するには最適だ。(それほど傷付かなくて済むw)

FacebookやFlickrと違い、LikeとFavoriteという二種類の評価が付けられる点が面白い。恐らく、後で何度も見返したいお気に入りは、Favoriteという事だろう。

ちなみにLFIとFOTOPARKは、写真にウォーターマークを入れている人が極めて少ない。そこがセレクトの有無に影響するかどうかは分からないが、郷に入れば郷に従う方がいい。投稿サイズはマックス3MBのファイルサイズという規定なので、それに収まるギリギリのサイズで投稿すればいい。(仕様変更があった様だ。最大15MB?)

よく、不正コピーを恐れてサイズを縮小したり、消しにくいウォーターマークを苦心する人が居るが、そんな心配は無用と僕は思っている。とんでもなく素晴らしい大量の写真がそこには溢れていて、みんな堂々と裸で出している。その中で貴方の写真を盗む理由があるだろうか(笑)

盗む人が居たとしたら、それは別の意味で写真がセレクトされた事に他ならないし、そんな心配は、メインストリームでセレクトされる様になってからでいい。

 

The Leica Portrait Group

The Leica Portrait Group

以前からお気に入りのFacebookグループで、何人かとても好きなフォトグラファーが参加されている。僕の写真も2度セレクトして下さった。LEICA MEETほど参加者は多くは無いが、全体的に写真のクオリティも高く、ポートレートの提出の場にはもってこいだ。

前回から登場したイタリア人モデルのSaraは、こちらの管理人さんのルイージが紹介して下さった。数日ごとに一番いいねの数が多かった作品が、表紙写真に選ばれる。

 

Spiral. model: Chico. Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/60s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

 

先輩から、貴重なアドバイスを頂いたので紹介したい。


SNSではなく海外の公式サイトへの自身の写真の投稿は、最終的には自身の目に見える物、ひいては写真を撮る時の感性を変える、と考えて良いと思います。日本人が見る景色と海外の人が評価する景色は殆どの場合違う、と思います。

投稿当初でビギナーズラックで選ばれることがあります。勢い込んで次々と投稿するのですがなかなかセレクトされません。そこで疲れて投稿を中断してしまいます。一方、他の人の投稿は次々と投稿されるので、ついには投稿しなくなります。

他の人の写真を見るのは、同じような写真を作らないようにすることだ、と今は思っています。あのよう(又はあの人のよう)に撮りたい、現像したい、プリントしたい、ではeditorial staffはフォトグラファーのオリジナリティが不足している、と思われても仕方がないと思います。

点数の結果は冷静に見る必要がありますが、点数が少ないと思って投稿を断念するのは早合点だと思っています。続けることで自分の写真に対する主観性や客観性が変化して行きます。評価が低い写真でも、これは譲れない写真と思ったら、その写真を別のサイトに投稿してみてください。それはそれで何がしらの結果が自身の心に染み込みます。


真夜中の紫陽花。iPhoneのライトをストロボ代わりに使ってみた。Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/30s, ISO 800) ©2018 Saw Ichiro.

 

例えば音楽家がグラミーなどの国際的な賞を求めるならば、現地の業界中枢深くに入り込み、まず米国ヒットチャートを賑わす音楽に携わらなければならない。アカデミー賞などの映画の世界も、特殊な政治的ルート獲得が必要だろうし、日本語の映画は恐らくそもそも不利なスタートポイントだろう。

しかし言語が不要な写真の場合は、国際的に評価されるチャンスの敷居が、遥かに低い。僕の様な素人がいきなり世界の超ベテラン勢に並びイーブンに作品を見てもらえる環境が存在する事自体、特筆すべき写真のアドバンテージと言える。

 

model: Rei. Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/125s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

ソール・ライターやヴィヴィアン・マイヤーは、誰にも作品を見せずに自分のためだけに撮っていた。決して他人の受けを狙わず、己のためのみの美を追求していた面影が、作品から垣間見れる。だからこそ、何者にも迎合しない至高の一枚と感じる作品が少なくないし、好きな写真をどれでも一枚だけ部屋に飾って良いと言われたら、LFIやLeica Meetのどの作品より、僕は迷わずソール・ライターを選ぶ。

しかし忘れてはいけない。彼らは類まれな才能の持ち主であって、彼らのスタンスだけを凡人の僕が真似してはいけないのだ(笑)他人の評価を度外視して、自分の部屋に飾りたいかどうかだけで作品を撮るのは、ライカの名に恥ずかしくない程度には、いっちょ前になってからでも遅くない。

 

おわりに

これをもって、このブログは終了しようと思う。最近の僕の写真は、良く言えば少しづつ自分の道を模索しつつあり、つまり本来のライカの描写とはかけ離れてきている。ソフトフィルターやら変なビニールをレンズフードの上から被せたり現像でいじくり倒したりしていて、もはや未来のライカユーザーの何の参考にもならない(笑)自身の興味がすでに「ライカのファインダー」の向こう側に移行しつつある。(もちろんライカには末永くお世話にならねばならないが)

国内や海外の有益なライカ・コミュニティとの橋渡しを終えた今、もう僕の出る幕は無いしこのブログの役割は終えたと思っている。このブログを一年近く続けた事で、写真に対する考察がちょっとだけ深まり、多分、一年前の自分と今の自分とは、技術的にも観念的にも少し違ってきた実感がある。作品にはほとんど現れてないかもしれないが(笑)。

そんな事よりも、このブログが誰かの写欲やモチベーションに少しでも貢献出来たなら、僕にとって自分の成長よりも嬉しい事だ。今までこのブログを訪れて下さったたくさんの方々に、全身全霊の感謝を申し上げます。


遥か異国で出会った夕日に。Leica S-E (Typ006) + Leica Summarit-S 70mm f/2.5 ASPH (ƒ/2.5, 1/1500s, ISO 100) ©2018 Saw Ichiro.

そして僕は、取りも直さず今日もこの問いに戻って来る。貴方は何のために写真を撮るのか?以前友人がくれたアドバイスが、僕の脳裏にはいつもある。うまい写真を撮る必要など何もない。

知識や論理で頭でっかちになる前に、自身の作品を積極的に公の場に晒すべきだ。頂いた評価を真摯に受け止め、自分の感覚と照らし合わせ高みを模索していく。その試行錯誤そのものが、知らぬ間に感性を磨き、審美眼を養い、貴方の人生を豊かにする糧となるに違いない。

 

「やったことは、たとえ失敗しても20年後には笑い話にできる。でもやらなかったことは20年後には、後悔するだけだ」
By マーク・トウェイン

 

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